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【祖母との逸話】鏑木清方没後50年展 東京国立近代美術館 美術館めぐり2022

鏑木清方没後50年展 東京国立近代美術館。
母と2人で見てきました。
2019年に再発見され東近美に所蔵となった美人画三部作のうち「築地明石町」が第一目的。

「築地明石町」との関わり

母の母、つまり私の祖母(明治32年生まれ)が「築地明石町」に描かれた美人画のモデルである江木マセ子さんにお世話になった、と聞いていたので、祖母ゆかりの作品と勝手に位置付けて非常に親しみを感じながら鑑賞してきました。

江木マセ子さんがこの絵のモデルになった頃にはもう祖母はそこで働いていなかったけれど、祖母はこの絵のモデルが江木さんである、と言うことは当時から知っていた様である。なぜ、どんな経緯でそれを知ったのかは母も知らず。当時、帝展の賞も取った作品なので新聞などのインタビューなどで知ったのかな。しかし祖母の評は「マセ子さんは(この絵よりも)もっと美人だった!」とのこと。
まぁまぁ、そこは絵の表現だから、ね、おばあちゃん。

「築地明石町」のその後

母は、母の姉と1950年代に日本橋高島屋で行われた展覧会でこの絵を見たそうだ。
(※訂正。美術館図書室で50年代の展示図録について調べていたらどうやら、母が見に行った展覧会は銀座松屋で1956年に行われた明治大正昭和美人画名作展、だった様子。80歳近い母の記憶も曖昧だし、日本橋高島屋は建物がそのまま残っているので混ざったのかな)
この絵が切手の絵に採用されたのもよく覚えているそう(調べたら1971年のことだった)。

ところが1975年のサントリー美術館での展示を最後にこの3部作は所在不明、となってしまう。(これは清方本人が作品管理をしていたため、亡くなった後に本人しか知らない情報になったから、ということらしい)

東京国立近代美術館はこの絵の存在は知っていてずっと探し続けていたそうです。
そしてある個人の所持が判明し画商を通して2019年に東近美が3部作まとめて買い上げ所蔵した、とのこと(展示室で小声で説明してくれた係の方に感謝)

うーーん不思議な巡り合わせ。

絵について

でも、やはりすごく素敵な作品なんですよね。顔の表情の描き方なんて、いわゆる日本画っぽくなく非常に今っぽい。
表現が古臭くない、というか。
色味、着彩の話で言うとマリーローランサンの様な水彩画のぼやっとした柔らかさが見える。
見ているうちに、あ、この新鮮さは我が家にあった雛人形の顔立ちに近い感じあるんだ、と気がついた。
かわいいさ、よりスッキリした美人顔が素敵だった雛人形。当時流行っていたリカちゃん人形よりなにより好きだった顔だ。

築地明石町の江木さんもモデル当時41歳。
大人の品良い美しさを感じる、非常にスッキリした、見ると背筋が伸びる絵。

そしておばあちゃんへ「お世話になった、憧れた、女性がこうして後世に語り継がれる一枚の絵として美術史に残って、よかったよね」と、伝えたい。

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