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骨盤を立てる、とは?

ひょんなことから、歩き方や走り方を教えていただく機会があり、その時に言われた「骨盤を立てる」という言葉。

その方の言う「骨盤を立てる」は、骨盤が若干後傾で前に押し出された状態だったことをきっかけに、「骨盤を立てるって何なんだ?」とふと思ったことがありました。

そんなわけで今回はそこに触れていこうと思います。

発する人によって意味合いが違うことがある

「骨盤を立てる」に限らず、いかなる言葉でも、発する人によって意味合いが異なることはよくあります。

シンプルなところから言えば、価格が高いか低いかも異なるし、美味しいかどうかも異なるし、

身体に関することで言えば、その人がその言葉に対してどういう定義を持っているか、と言うことが関係してきます。

私が行うロルフィング®︎は筋膜にアプローチをする、ということがベースにありますが、筋膜に関しても、表現も理解も様々。私は基本的にInternational Fascia Research Congressと呼ばれる団体での考えをベースにしてますが、面白いもので、筋膜とファシア(英語のfasciaのただのカタカナ表記)は異なると表現する方もいたり、ほんと、その人の定義によって変わるんですよね。

「骨盤を立てる」。この言葉も、定義によって異なる一例かと思います。

どんな意味が考えられるのか

その時には「骨盤を立てるってどういう意味なんですか?」と聞けなかった小心者の私。どんな意味を人によって持ち合わせる可能性があるのか考えてみました。

「骨盤のニュートラル」

1つには「骨盤のニュートラル」の意味合い。これには「正しい位置」というニュアンスもある気がします。が、しかし、このニュートラルの定義も人によって様々です。

詳しくはこちら

「その動きがやりやすい位置」

例えば、今回私がこの言葉を聞いたのは、かなりの長距離走ることを得意とされている方から聞いたので、長距離走るにおいて、走りやすい位置、ということだったのかもしれません。

各種サポートやアートなど、それぞれのジャンルでの「正しい」がありますが、そういうことである可能性も。

「その人にとって動きやすい、痛みが出ない位置」

時と場合によって、自分にとって調子の良いと感じた位置を「正しい場所」と他の人に伝える方もいたりします。これが運良くフィットする場合もあれば、効果がないことも。

よく、「注: 個人の感想です」とメディアで取り上げられたりする時に書いてあるやつですね。

検索してみたら

検索してみたら、これが面白かった!「骨盤のニュートラル」「骨盤の正しい位置」「骨盤が前傾でも後傾でもない状態」「骨盤が左右水平で地面に対して垂直」「骨盤が傾いてない状態」「骨盤が左右均等に体重が乗っている」…

なんといろんな意味合いが!

そして、「立腰」という言葉もあったりして、私が耳にしたときは、要はシャキッと座りなさい、という感じだったのですが、

これも検索してみたらすごかった。「腰を立てること。腰とは腰骨のことで、いわゆる骨盤」なんていう説明も。

そうか、「立腰」も「骨盤を立てる」なんだなぁ。検索する言葉が異なると、多少異なる説明も出てくるもので、「立腰」で調べた時に出てきた「立腰の姿勢のやり方」がなかなか激しかった。

「骨盤を立てる」上で大切なこと

上記に触れたように、まぁ、ほんとに、いろんな解釈があります。なので、大切なのは、「骨盤を立てる」という言葉を発した人にとっての「骨盤を立てる」がどういうことなのかを明確にすること。

ま、とはいえ、私のように小心者だったり、聞けないシチュエーションもあったりしますよね。

なので、まずは実際にやってみて、自分に合うのか合わないのか確認して、合わなければ、さっさとやめること。これ、すごく大切なことなんです。

私のnoteを読んでくださっている方は散々目にしているかと思いますが、身体って個人差すごく大きいんです。

そもそもの身体の構造の個人差もあれば、構造の差からくる適切な動きの個人差もあり、そこにまた各々の癖の動きの個人差もあり、

おまけに言葉の捉え方の個人差もあるので、その人が言わんとしていることを100%の意味合いで受け取っているのかも不明だし、

言葉を100%の意味合いで捉えたところで、それを「動き」としてアウトプットする上でのコーディネーションにも個人差がある。

確率で計算したらとんでもないことになりそうです。

そして、ひょっとしたら、その人にとっての「骨盤を立てる」という定義自体には無理がなく良かったとしても、「どうやってその位置にもっていくか」のやり方一つで、良い方にも悪い方にも転ぶ可能性があります。

これまた、私の口癖のようによく使う「やり方次第で効果は激変」です。

やってみてどうだったかの体験談

私が今回「骨盤を立てる」ように言われた時に、そう言われた方のやり方通りにやってみた感想としては、

立っている状態で、おしりにぎゅっと力を入れて、骨盤を少々後傾にして、足の位置に対してちょっと前に押し出す感じ。

この写真のような感じです。(この写真よりもう少し後傾強くやっていました)


私はもともとかなりの骨盤前傾タイプなので、多少の後傾への意識は良いこともあったりするんですが、

いやぁ、前腿パンパンだし、膝は伸び切りそうになっちゃうし、おしりの筋肉ガチガチだし、あまり良いパフォーマンスは生まれなさそうな感じではありました。(注: 個人的な感想です)

悪い方に転びにくい「やり方」のポイント

詳しくはこちら↓

読むのが面倒な人のために要約すると、骨盤に限らず、「良い姿勢」とか「良い使い方」「正しい使い方」もそうですが、「力づくでその位置に持っていっても、あまり良いことはないよ」ということです。

不要な緊張をゆるめてから、力づくではない方法で改善させていきたいところ。やはり、詳しくは上記をお読みくださいませ。

最後に

そもそもの定義の違いは必ずあるので、そこも要チェックではありますが、

その「骨盤を立てる」の「良しとされている場所」が本当に自分の身体にとって「良い」場所だったとして、現在そこにいることができていないのには、いろいろな理由が考えられます。

大きな理由としてあげられるのが、どこかに緊張がある。ということ。

緊張、こわばり、力み。これまた表現はいろいろですが、それに似た感覚。そして、その緊張は、今まで生きてくる上で、もしくは身体を使ってくる上で必要だったことから生まれた緊張です。決してダメ出しする必要はありません。

ただ、その緊張はもう必要ないかもしれません。それなら手放していけばいい。ま、そんな簡単にいかないこともあったりするんですが、手助けが必要な時にはロルフィングおすすめです。
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緊張があるから今の状態なのに、その緊張をよそに、力づくで見た目良い位置へと促したところで、力の引っ張り合いになってしまいがち。

もちろん、これもまた、ひとまず力づくでもやってみて「調子めちゃいいぜ!」という人はそれで良いんですよ!ただ、力づくでやった結果、「なんだか変わんない」「なんだかしっくりこない」「余計辛い」なんていう時には、その力づくでのやり方を、やめてしまえばいいんです♡

今は健康志向の方も多く、良い姿勢や良い使い方を気にする方もたくさんいます。「骨盤を立てる」もよく使われる言葉の一つ。ですが、「正しい」は個人差もあれば、状況によっても異なります。身体の正解は一つだけではないので、どうか、「こうあるべき」にがんじがらめにならないでいてあげてください。


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*この、ゆるめる&ととのえる&力づくではやらない観点からのダンスでの身体の使い方もシェアしています。ダンス基礎基礎WSシリーズ、お問い合わせ受付中
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