Big Bang Theory S1Ep4 下村博士のノーベル賞受賞1年前のエピソードと発光する金魚

この記事のタイトルは、ドラマで取り上げられているネタからつけたものです。ドラマの正式なタイトルはこちらです。

The Luminous Fish Effect:オタク青年と母親の法則

ビッグバンセオリーを見ていて面白いなと思ったオタクネタで自分が知っているネタ、調べたネタをまとめておいておくために作ったものです。ざっくりとした背景はこちらもご覧ください。目次もかねて作成しています。

あらすじ

新学部長ゲーブルハウザー博士の着任パーティーに参加する4人。シェルドンはゲーブルハウザー博士の業績を認めておらず、パーティーで学部長を愚弄してクビになる。
そこでスクランブルエッグの実験、金魚を発光させる実験、機織りの実験と、迷走する実験をあれこれ始めるシェルドンに困惑したレナードは彼を心配して、ある人に助けを求めるのだが...

タイトルに込められた下村脩博士の業績と1年後のノーベル賞受賞

このエピソードのタイトルは、原題が「The Luminous Fish Effect」、日本語では「オタク青年と母親の法則」となっていて、原題と日本語どちらもテーマの本題を違う角度から捉えている。

大学をクビになったシェルドンが最初に卵とスクランブルエッグの研究が失敗に終わった後、こんなセリフで金魚の実験を始めている。

Sheldon: I read an article about Japanese scientists, who inserted DNA from luminous jellyfish into other animals, and I thought hey, fish nightlights.
発光クラゲのDNAを他の生物に組み込んだ日本人科学者の論文を読んだんだ。それでほら、「魚の常夜灯」になると思ったんだよ。

発光クラゲのDNAの研究をしていた日本人研究者と言えば、ノーベル化学賞を受賞された下村脩博士のことに違いありません。

このエピソードの米国の放映は2007年10月15日ですが、Wikipediaに次のような記載があります。

2007年(平成19年)1月に「緑色蛍光タンパク質 (GFP) の発見と生命科学への貢献」により、2006年度朝日賞を受賞。2007年長崎大学名誉校友の称号を受ける。

シェルドンが読んだ(とされる)論文が具体的にどれか分かりませんが、下村博士で間違いないでしょう。

そして毎年、ノーベル賞の発表は10月上旬ですから、このエピソードが放映された1年後に下村博士はノーベル賞受賞が発表されました。

タイトルに日本人科学者が関わっていて、エピソードのネタ元になっているとは、感慨深いものがあります。

そしてウィキペディアを見ていると、こんな記載がありました。

息子の下村努はカリフォルニア大学サンディエゴ校主席特別研究員を務めており、コンピュータセキュリティ専門家として知られている。1990年代には努は連邦捜査局に協力しケビン・ミトニックの逮捕に貢献しており、そのエピソードは『ザ・ハッカー』として映画化された。

こちらの作品ですね。

優秀な遺伝子というのは、やっぱりあるのだなと思いますね。

ゲーブルハウザー博士への挨拶とマハロ

シェルドンとレナードがアパートの階段を降りながら、「こんな挨拶はどうだろう?」と披露するのが、侮辱に満ちたもの。その挨拶をした後で、いきなりシェルドンが「マハロ」と締めくくっていて、レナードが「(マハロは)しゃれている」と返事してます。

マハロはハワイ語で「ありがとう」を意味する表現らしいです。

だとすると、ゲーブルハウザー博士はハワイ出身のユダヤ人という設定の可能性がありますね。苗字が妙にユダヤ人っぽいし、と思ってググってみたのですが、ゲーブルハウザー役のマーク・ハレリックがテキサス出身のロシア系ユダヤ人でした。

シーズン1の第12話「The Jerusalem Duality:天才 VS 天才少年の法則」でも一番最初に、メキシコに第二のイスラエルを建国するアイデアを最初に披露した相手はゲーブルハウザー学部長でしたし。

ハワイ出身のユダヤ人の芸能人の一人がベット・ミドラーです。こちらも同じ「Big Bang Theory S1Ep12 フィールドオブドリームズに絡めたエスニックなネタの重ねワザ」に書いています。

慣用句の表現も物理現象に

大学をクビになったシェルドンがスクランブルエッグをしている時、ペニーがショッピングモールに行くけど、なにか買ってくる?と御用聞きにやってくる。

シェルドン、これは奇遇なとばかりに卵を48個も買ってくること、サイズ別、種類別にとか言い出す。到底、覚えきれないペニーに、シェルドンが自分も一緒に買いに行くといってペニーの車で出かける。その社内での会話。

ペニーにも大学がクビになったのね、と仕事の話題になった時、ペニーがシェルドンを励まそうと、こんなセリフを語る。

Penny: Well, maybe it’s all for the best, you know I always say, when one door closes, another one opens.
ドアが閉まれば別のドアが開くわ

この表現は、アメリカのドラマで何度も聞く日常的な慣用表現ですね。

《ドアが一つ閉まるともう一つが開く》 「沈む瀬あれば浮かぶ瀬もあり」「捨てる神あれば拾う(助ける)神あり」、捨てる神あれば拾う神あり

ところがシェルドンの返答がこれ。

Sheldon: No it doesn’t. Not unless the two doors are connected by relays, or there are motion sensors involved.
いや、違う。二つのドアが連結されているとか、運動センサーが付いていれば別だけど。

ショールまたはサラピか、ポンチョか

ということで、卵を4ダース=48個を買ってスクランブルエッグを沢山作ったと思われるシェルドンは卵の実験は行き詰まり、魚の常夜灯の研究をしているときにひらめいて、わざわざ機械を買い込んで機織りを始めてしまう。

ここに至ってとうとう心配したレナードがテキサスにいるシェルドンの母親に電話をかけてきてもらう。

部屋のドアを開けると、南米の民族衣装のようなものをかぶったシェルドンが機織りしている姿を見たシェルドンの母親とレナード。

シェルドンが「なんで母親を呼んだの?」との質問するのだけれども、レナードの回答がこれ。

Leonard: Because one of the great minds of the twenty-first century is raising glow-in-the-dark fish and weaving sarapes.
「21世紀の偉大な頭脳が光る魚を育て、ショールを織ってるからさ」

日本語字幕ではショールになっているけれど、オリジナルでは「サラピ」(ただし複数形の「sarapes」)。サラピと言われても、私も知りませんでしたし、ショールならイメージできました。

メキシコの民族衣装なんかも、近い分、アメリカでは良く知られているのかもしれません。

スカーフのような形状で、一直線のものが一つなら「sarapes」にならないはずですし、レナードのセリフは「Weaving sarapes」なので、いくつものサラピを織っているということなのでしょう。

だから母親を呼んだということともつながりますし。

また、このレナードの説明に対するシェルドンの反論がこんな感じ。

Sheldon: This is not a sarape. This is a poncho. A sarape is open at the sides, a poncho is closed, this is a poncho, and neither is a reason to call someone’s mother.
ショールじゃない。ポンチョだ。ショールと違って両側が閉じてる。そしてどっちにしても母親を呼ぶ理由にはならない。

シェルドンが、身に着けているのはサラピではなくてポンチョと言うときはどちらも単数形になっています。たしかにポンチョは両側が閉じられて、袖を出すところが開いています。

母をたずねて三千里のマルコが来ていたので、ポンチョは日本人にとっても多少は知られていますね。

シリコンベース生命体のDNA

母親が作った夕食を食べ、一晩明けた明くる朝。母親が部屋に行くと、分子模型を作っているシェルドン。「何を作っているの?」との質問からのやり取りも笑える。

Sheldon: It’s my idea of what DNA would look like in a silicon based life form.
僕が考えたシリコンベース生命体のDNAだ。
Mrs Cooper: But intelligently designed by a creator, right?
でもデザインしたのは創造主よね?

あのシェルドンの分子模型を作ろうとすると、どれぐらいのキットが必要なんでしょうね?

ちなみに、シリコンベース生命体かどうかは分かりませんが、日本では未確認生命体のDNAがでてきたドラマがありました。

今ならYouTubeでも1週間に2話ずつ、東映特撮YouTube Officialの公式アカウントが公開しています。

母親のおかげでシェルドン、復職

シェルドンは復職したことだけ書いておきますね。オチを書いては面白くないので、エピソードをご覧ください。

この記事も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本エピソードで他に見落としているネタがありましたら、コメントいただけると嬉しいです。

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