視界とレーダーの狭間 -ルンガ沖夜戦-
1942年11月30日 23時
ガダルカナル島・ルンガ岬沖
日本海軍 第二水雷戦隊 駆逐艦『長波』
月のない夜だった。
「昼間、敵のB(B-17爆撃機)に発見されている。敵艦隊の迎撃があるのは必定だ。しかもこちらは片翼をもがれた状態に等しい……」
駆逐艦『長波』艦橋で、第二水雷戦隊司令官の田中頼三少将は腕組みをしていた。
駆逐艦8隻で編成された艦隊は、旗艦の『長波』と『高波』の2隻を除き、飢えに苦しむガダルカナル島将兵への輸送物資を満載している。各艦約200本のド