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春蘭・菫で描く


夏の終わりのある昼下がり、一頭の蝶(ツマグロヒョウモン)がスミレの鉢に産卵した。卵から孵った幼虫が葉を食い尽くして、何頭か保護、その後も幼虫は増えて、26頭を確認。屋外の多くは行方不明になったが、8頭が無事羽化して秋の空へ旅立っていった。

蝶の母親、卵、幼虫、蛹、こどもの蝶、と見届けるのは初めて。なにやら虫疲れもしたけれど、その間の散歩で、ヒョウモン蝶にイノシシとの遭遇危機を救けてもらったので、少しは恩返しができたのなら嬉しい。

蛹の殻だけが幾つか残って、なんとなく淋しい思いでいた時、ふっとある考えが湧いた。一頭のオスがぶら下がっていた春蘭の葉で、記念の絵を描こう。



蛹4号がぶら下がっていたシュンランの葉で記念の筆遊び。まずは「蝶」という字、それから「夢」「翅」など。硬くて跳ねる春蘭筆に難儀して、ツマグロヒョウモンならやはりスミレだと、葉っぱを食われた茎を採集。左:春蘭筆「蝶」、右:菫筆「翅」。



ふうらは蝶が好き。飛ぶのも、舞うのも好き。

線の細い一枚目が春蘭の筆、



線が柔らかい二枚目が菫の筆。


「夢」字。蛹はツマグロヒョウモンのつもり。



(Twitter 10.4-5)



「夢」という字には、蛹が眠っている。

この言葉は去年の秋、ある朝の夢うつつに浮かんだもの。やはり三頭の蛹の面倒を見ている最中だった。二頭のルリタテハ、一頭のツマグロヒョウモン。瑠璃色の蝶は生まれて、橙色の蝶は眠ったままだった。無念の思いをしたツマグロヒョウモン、それが一年経ってこんな縁に発展した。

先の朝に浮かんだもう一つの言葉:

「未来」の二文字には、ともに羽が生えている。


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