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正月能登地震

大晦日に奥能登輪島山中の龍昌寺から餅が届いた。みんなでわいわい搗いただろう賑やかなエネルギーが詰まっている。それを雑煮にいただいて正月気分を味わった午後、能登半島を大地震が襲った。

東日本大震災の一週間後に訪れた時、自然に合掌羅漢ばかり巡っていた。この日もまた掌を合わせるひとの前に多く佇んだ。

それぞれの羅漢が、それぞれの思いで掌を合わせている。ここの石仏は祈られる側ではなく、祈る側に立っているように思われる。境内には「三界万霊平等利益飢渇飽満」の文字を刻んだ三界万霊塔がある。何らかの厄災の折に建てたものだろう。阪神大震災でも揺れたかれらの願いは能登にも届くだろう。


地震、台風、豪雨・豪雪、ウイルス…人間と自然を苦しめる厄災の数々。それにもまして人類史から消えない戦火。
ここの羅漢たちは悲しみをよく識っている。ひとりひとりの悲しみに立って、みんなの悲しみの世界への眼差しがある。だからぼくはここへ来るのだ。ここがぼくのふるさとで、ここからぼくも〈ふうら〉も旅立った。

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墨絵で始めた〈ふうらかん〉の世界。それが陶像に発展したのは能登や金沢の友人陶芸家のお陰。窯も持たないのにたくさんの陶像ふうらを生み出すことができた。合掌羅漢を巡ったのだから、合掌風羅も取り出した。
左は珠洲の中山達磨氏の窯の火を潜った。粘土も珠洲。右は輪島の龍昌寺の敷地で江崎満氏らとの野焼きから生まれた。
共に今回大変な被害状況であるらしい。詳細はまだわからない。能登半島へ向けて掌を合わせる二人の写真を撮っておくことしか、いまのぼくにはできない。


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