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ふうら逍遥

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ふうらかんの野外写真集です。
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#草花

風がおいしい

ふうらと散歩は久し振り。このところ近場の路地巡りが多かったから、思いきって遠足。目当てはキンミズヒキ、ガガイモ、スズメウリなど。元気があればウマノスズクサまで足をのばして、ジャコウアゲハの成虫か蛹にでも逢いたい。 中国自動車道沿いの道を歩いたが、田圃側も植栽側も除草剤が撒かれて草が枯れ枯れ。たくさん咲いていたタカサゴユリもこの秋は一輪も見ない。赤の美しいイヌタデは盛んだったが、一箇所生育していたオオイヌタデの辺りは無残な景色。キンミズヒキを僅かに見たのみ。だんだん味気ないコ

ふうら合掌

長い夢籠りにあった三番目の〈ふうら〉と野に出た。 南無野。 ふうらは野を愛し、野に帰依する。 宇宙にこころを広げ、宇宙の摂理に寄りそう。 小さな空地に、星粒のような花。 タンポポの絮はぼうっと浮かぶ彗星か、球状星団の如し。 仰げばこの惑星が巡る太陽という恒星の光。 こちらも小さな草地に散開星団のように咲くイモカタバミ。 小さな植物にはステラリア属(ハコベ属)などもあり、小草と微星はよく親和する。 〈ふうら〉の合掌は、花たちへ。 花は草は、なにを願っているだろう。 夢籠り

一遍の春

一遍上人の生誕日が1239年3月21日(旧暦2月15日)とも伝わっているので、お伴して野良へ。五年ぶりであるかもしれない。 さっそくヒメオドリコソウの小群と邂逅。後ろでは鼓草(タンポポ)が囃子を受け持ってくれる。次の群落では三味線草(ナズナ)が鳴り物を引き受けてくれた。 のらはホトケノザの花盛り。すばらしい群落があったので、一遍さんはその中へ。踊る花たち。踊る上人。 里山からはウグイスの調い始めた歌が届き、すぐ傍らの畑からはヒバリが翔け上がりながらスキャットする。 *

ふうらの春

野辺に花がちらほら、光もうららかになってくると、ああ、ふうらがここにいればなぁ、と思う。以前はいつでも一人か二人一緒だったが、重いものをなるべく持たないようにしているこの頃は手ぶらが多い。 そんな思いを二、三度して、ようやく散歩にお伴してもらった。 18日。柿本人麿、小野小町、和泉式部の命日と伝えられ、精霊の日とされている。空では、この日初めてさえずるヒバリの高らかな歌。「ゲージュツ、ゲージュツ、ゲージュツ」と聴こえてくる。ツバメは昨日渡ってきたばかり。  * 20日。