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ホログラム理論2

超弦理論の研究から、空間の「次元」が変化してしまうという驚くべきプロセスが発見されました。

三次元だと思っていた空間が四次元になったり、二次元になったりする現象がある。

また、同じ現象でも見方によって、三次元で起きているようにも、なんと九次元で起きているようにも見えたりするというのです。

識者はこんな例え話をします。

私たちの日常の経験では、氷は固く、水は形が自由に変わるもののように感じられます。しかし、ミクロの世界までいくと、この性質の違いは分子の結合のしかたによって説明されます。分子自身に、氷のような性質や水のような性質があるわけではなく、個々の分子を見れば氷と水の区別は消滅してしまいます。

膨大な数の分子が集まったときに、その集まり方によって、氷のような性質や水のような性質を持つのです。
 また、氷と水の区別のように、「温度」という概念も二次的なものです。

私たちはふだんの生活で熱さや冷たさを感じ、それを測るために温度という尺度を使います。しかし、ミクロな世界までいくと、個々の分子が決まった温度を持っているわけではなく、温度とは分子の平均エネルギーの現れにすぎません。分子のレベルでは温度という概念も消滅するのです。であるならば、温度とは、マクロな世界に住む私たちが感じる幻想といってもいいでしょう。

空間の次元も、これらの例と同じであることを示唆しているのが超弦理論です。

ある次元が、異なる次元に変化する現象があったり、ある次元で起きていることが、見方によって異なる次元で起きているように見えたりするのでは、空間という概念がはたして本質的なものなのかどうか、疑わしくなってきます。

温度が分子の運動から現れるものにすぎないように、空間というものも何かより根源的なものから現れる二次的な概念、つまりは幻想にすぎないのではないか。超弦理論はそういっているのです。


 このように書くと、なにやら突拍子もない話のように思われるかもしれません。しかし、物理学者は本来、突拍子もない話を好みません。むしろ、とても保守的な人々なのだそうです。

例えば、いったん確立した理論はそう簡単にはあきらめず、壊れるまで使おうとします。

アインシュタインの理論も、できれば変更したくなかったのでしょう。ですから突拍子もない話しは、物理学者のメンタリティとは相容れないものです。

素粒子物理学の最先端では、重力の理論と量子力学がどちらも重要なのだそうです。

そのためには、重力の理論と量子力学を矛盾なく組み合わせる新しい理論が求められてきました。そこから考えられた理論が物質の基礎が「ひも」であるという超弦理論だったのです。
関連記事「意識は、そして科学は“幻想”なの?」大栗博司×池谷裕二

そして、この理論が数学的につじつまが合っているかどうか確認していく作業の過程で、空間の次元が変化するという驚くべき現象が明らかになりました。

つまり、自然界の基本的な姿を科学の方法で探っていくと「空間とは何か」を考え直さざるを得なくなったのです。

この記事を書く動機は、NHKの番組です。この放送によれば過去に一つの論争があったそうです。論争の発端は、車いすの天才・ホーキング博士が提示した「ブラックホール情報パラドックス」です。パラドックスとは逆説という意味です。

以前私は「パラレワールド・二つの世界の物語」書きました。高度の物理学が専攻でもないのですが、興味や関心だけは人に負けないのでAmazonで出版したのです。Noteでも取り上げましたからその続編との言えるのがこの記事です。

ブラックホールに飲みこまれた物質の「情報」は永遠に失われるというホーキングの説を認めると、物理学の根本原理が揺らぐとして強く反論したのがサスキンド博士だ。

理論物理学の2人の巨頭が繰り広げた大論争は20年に及び、この宇宙を記述するための新たな理論「超弦理論」の研究が大きく進展した。果たして宇宙は全て幻なのかというのが次回ホログラム理論3です。

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