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Day2 波とビーチとUFOと

    ホテルの部屋に備え付けの目覚まし時計で、緩やかに目を覚ました。音がやかましくなくて助かる。だる絡みしてくる布団をよいしょと除けて起き上がる。半袖Tシャツで寝ていたが特に寒いということもなかった。さすが沖縄。

    普段の僕からすると2倍くらい量のある朝食をひいひい言いながら食べきった。

    そしてなんだか、右の唇に違和感が。おいおいおい冗談きついぜマイケル、これは僕の人生経験からすると、「口内炎」ってヤツじゃないか?修学旅行はまだ4日もあるんだぜ?勘弁してくれよ。


    唇に向けて呪詛を唱えて、スーツケースを運んだあとにバスに乗って向かうは運天港。沖縄北部の港だ。那覇のホテルからなので結構道中は長かった。

    軽石の状況によっては船が出ないこともありうる(つまりずっと本島や島に軟禁もありえる)とは聞いていたが、とりあえず船が出るようで安心。あとは自分が船酔いしないかどうかだ。酔い止めを飲んでいざ。

    3階建てで漁船よりは大きく豪華客船というには小さいくらいの船に乗り込む。クソアバウトな形容したけど近付くと結構大きい。

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    朝の爽やかな風を浴びながら外を見ると、煌めく太陽の光を跳ね返す海は、2色になっていた。軽石だ。細かいものが浮いているのだろう、まるで黄土色の絵の具を水に浮かべたかのようだった。

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    さあ伊平屋島へと出航。

    結構なスピードが出ている。もちろんすることと言えば船内の探索である。テラスのようになって屋根があるところ、室内には新幹線のようなシートの場所や寝ころべるスペースもあった。

    室外、特に先頭にいくと僅かな飛沫と強烈な向かい風を浴びることとなる。ひとりで歩き回っていたからか、クラスラインに上がってた写真にはほとんど写ってなかった。笑えるね。


    20分ほど歩き回ったところで、頭が少し揺れる感覚に襲われた。軽い船酔いだろう。これ以上動き回るのは得策じゃないだろうと判断して、風の当たらない船の1階にあたる細い通路に腰をおちつけることにした。

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    船体に当たって弾ける波が、虹を作るのがよく見える。

    そこからは島がみえてくるまで近くを通った友人らと話しながら海を眺めて過ごした。


    そしていよいよ行く手にふたつの島が見えてきた。片方は伊是名島。奥に見える方が伊平屋島だ。赤いアロハの現地民らしき人とともに船の先頭へと向かう頃には、緑の山が顔をのぞかせてきた。

    そしてもうひとつ、目を惹くものが。

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    山の斜面に断層とおぼしき露頭が!地学選択者としてわくわくしてきますね。なんだろう、石灰岩かな?とか友と話した。(後に判明した情報によると、この地層はチャートと思われる)


    そして遂に伊平屋島に上陸。入村式を経て、青いツナギを着た50〜60代くらいの男性の前に並んだ(仮にKさんとする)。これから3日、ホテルの同室2人を含む計6人で、Kさんの家にお世話になる。

    まずはKさんの車にスーツケースを積み込むのだが……6人分のスーツケースはさすがに入り切らず、後ろを開け放ってひとりが落ちないように支えるという形でKさん宅へ向かった。どうやら離島に道交法はないらしい。Kさんは米や大根などを田畑で育てて暮らしているそうで、精米をやらせてくれると車で言っていた。

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    Kさん宅は、アニメなどで見るような「ザ・おばあちゃん家」みたいな平屋建てだった。畳敷きで襖とか障子とかあるし。一緒に住んでいるKさんのご両親(70〜80代だろうか)にも挨拶をして荷物をおくと、早速昼食作りが始まる

    フライパンに油を敷いて、切った野菜やらスパムやらを豪快にいれて、さらに沖縄そばをいれて調理していく。焼きそばである。メンバーを交代しながら炒めていく。もちろん僕もやったが、鉄のフライパンが重い&熱いの二重奏でまるで歯が立たなかった。

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    そして僕らが盛り付けてる間にKさんが野菜炒めを作ってくれ、ザ・男飯という感じのお昼ができた。

    普通の焼きそばより太めの沖縄そばと少し薄味の相性がよく、みなガツガツと食べていた。僕は遠慮したが、ご飯をお代わりしたメンバーもいた。若いっていいね。

     メインを食べ終わったあと、机の上には暖色系のフルーツが3皿。はて、なんだろうか。

    ひとつは淡めの黄色に見慣れた扇形。パインだろう。

   ふたつ目は少しくすんだ橙色の果実。う〜ん、柿。

    みっつ目は鮮やかな柿色の果実。1口大にカットされている。見た感じめっちゃ潤っている(誰も写真撮ってなかった。申し訳ない)。マンゴーと答えたくなるが、マンゴーよりもジューシーで、馴染みのない不思議な味がした。仄かな甘みがなんだかクセになる。

    みなが頭に疑問符を抱えながら食べていると、食べてないS君が「パパイヤ…?」と言った。まさかと思ったが、Kさんがすかさず「正解!」との声。エスパーかお前。

    Kさんいわく、これは木で完熟まで熟したもので、一日で腐ってしまうため市場には出せないものだという。めっちゃ贅沢じゃん。



    この後はビーチレクへと、車にまた乗せてもらって集合場所に向かう。今度は後ろのドアも閉まっている。

    そしてビーチについた。めっちゃ綺麗!全部真っ白……とは残念ながらいかなかったが。渚から特に白いサンゴのゾーン、その手前に広く黒い軽石のゾーンが帯のようになっていた。

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    軽石がなければどれほど美しいのだろうと思わざるを得ない。

    早速海に飛び込んで注意されてる人もいた。気持ちは分かる。

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    綺麗な色のヤドカリや貝がいたり、大きなサンゴ礁らしきものがあったり、一日ここにいても飽きなそうだ。

    ある程度砂浜を漁ったところで、いよいよ委員さんが考えてくれたビーチレクが始まった。かなり盛り上がった。バレーは負けたけど楽しかった。


    陽が傾き出すまでビーチを堪能した後は、Kさん宅に戻りみなシャワーを浴びるなどしたあと、夕陽が沈むところを見ようということになった。6人とも昨日那覇で見た真っ赤に燃える夕陽を想起したことだろう。バスの中からでもあれほど美しかったものが、この伊平屋ではどう目に映るのか。Kさんの運転で、夕陽がよく見えるという丘まで連れていってもらう。

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    しかし、何の悪戯か夕陽の行先にちょうどよく雲が居座っていた。無念。


    しばらく写真を撮ったりしたあとは、車でKさん宅に戻って夕食の時間だ。メニューはソース焼きそばと野菜炒めと味噌汁+‪α。再びみなで協力して料理の時間だ。


    なんだか昼と似たような夕食を済ませて、すっかり外が暗くなって、星を見に行こうか、という事になった。三度Kさんの車に乗って移動する。

    東京でも、住宅街の夜なんかは暗いが、伊平屋の夜はそれとは比べ物にならない。なぜなら街灯がない。都会に生きる皆様方よ、想像できるだろうか。夜中に、街灯がひとつも無いのだ。マジで真っ暗である。

    …と言ってもほんとに真っ暗だった訳では無い。前日の月からも分かるように、今日の月は満月に近い。なので海岸に降りて、目が闇に慣れてくると、月明かりが眩しいくらいに道を照らしてくれていることに気付いた。

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    そして、やがて星も姿をのぞかせてくる。写真に収めるのは難しかったのだが、オリオン座が全身綺麗に見えたし、10や20はくだらない数の星が見えていた。今日ほど星座の配置を覚えていなかったことを後悔した日はない。

    そして僕らの目に止まった光がひとつ。水平線の近くで一際明るい光があった。それは、よく見るとふたつあるように見え、さらに赤と緑に点滅し、時折姿を消した。最初は飛行機かとも思ったが、それにしては動かなすぎる。帰りの車の中で、Kさんも交えて議論を交わした。結論はUFOだろうということに。人生、不思議なことがあるものだ。


    このままじゃ5日目のnoteを書き終わるのに何ヶ月かかるのだろうか。そんな不安を抱きながら眠りに落ちていった(嘘)。

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