見出し画像

初個展

2020年ももうしばらくで終わります。
今年は誰もが予想できなかった大波にさらされ
時の進み方もいつもと違うような感覚を覚え、なにかポッカリと穴があいたような
そんな気持ちでいる方も多くいると思います。

「あれ今年一年何してたんだっけ?」

そう、なんともぼんやりと形容できない一年。
上手く世界と自分とのチューニングが合わないような(なんとなくわかりますでしょうか?)そんな感覚。
もっと妥当な言い方があるのかもしれませんが僕の語彙力不足は横に置き
今年はそんな一年だったと感じています。

ともかく前兆はあったことは間違いないと思います。
遡ることウン十年、大騒ぎだったバブル時代、あるいはアメリカ同時多発テロ、
東日本大震災。
何かが間違ってるんじゃないだろうかという
ぼんやりとした疑問を持つようになった人も少なくないのではと思います。

とはいえ今年のこの大騒ぎは誰も想像していなかった。
完全なパラダイムシフトが起こってると言えるのではと僕は捉えています。
全てではないにしろ近年正しいとされてきた多くのことが
嘘だった、もう通用しないということですから、、、

僕としてはそもそもが楽観的な性格で、あぁいつもの感じでちょっとしたら
元通りになる。

まぁ初めはそんな認識でした。
それはコロナ騒動が起き始めた2~3月頃のこと。

開けてみればこの有様。

いまだにこれまで当たり前だった自由を僕らは制限されています。

とはいえ(あくまでも明るい未来を想像しながらですが)
改めてこの時間があったからこそ
ゆっくりと自分自身と向き合える時間になったのではないかなと
僕は今しみじみ感じています。
自分にとって何が本当に大事なのか、
家族の大切さはもちろんですが
働き方や総じて今後の人生について思いを馳せる良い機会だったのではと
この一年をとらえています。

この一年で僕自身が挑戦したことは大きく二つ。

一つ目は多くの皆さんにご支援を頂いたクラウドファンディング
改めてこの場でも御礼申し上げます。
ありがとうございました。

そして、もう一つは酒井義夫としての初個展の開催です。

おっと待てと感じるかたも多かったかと思います。
これまでオンリー椀を中心にポップアップや受注会を各地で開催してきていることからそう感じるかと思います。

ただ、これまではあくまでも「ろくろ舎」としての催事です。

そもそも、ろくろ舎は僕1人で成り立つ工房であり(経理を嫁さんにお願いしていたり外注先などにお世話になっていることなどは一旦除外して)
イコール僕の名前が表に出ることが多くなるのは必然ではあるのですが
立ち位置としてあくまでも1職人であり1メーカーだという自負の元
屋号を掲げて活動してきました。

もちろん、今もその気持ちに変わりはないのですが
ろくろ舎を立ち上げて6年。
一人歩きするろくろ舎という名前と酒井個人の想いとの
乖離が少しずつ出てきたことも事実です。

自由に表現されている作り手を羨ましく感じることもありましたし
彼らに刺激を受けた部分も多々あります。

そんな中でろくろ舎では表現できないことを
気にせず純粋に個人の興味のもと展示をやってみたいという気持ちが
強まってきたそんなろくろ舎として6年目、2020年。

世の中を席巻したパンデミック。
昨年、一昨年とろくろ舎の軸であった
オンリー椀が機能しなくなり
いくら健全な物作りでも大きな波には逆らえないことを痛感しました。

実際にこれまで疲弊しながらも木地師としての軸であった
下請けの仕事を受注品にすっかりすげ替えることができ有頂天だった
僕を奈落の底に落とすには十分な破壊力でした。

正直なところどうしたものかと頭を悩ませていたのは事実です。

考え抜いた末
これはろくろ舎としての動きと両輪で酒井自身の価値も上げていかないと
戦っていけないのではと僕はこの状況を認識しました。

ありがたいことに受注会ができなかった反面、
オリジナルの卸が増えてきたことで
精神的にも少し楽になり個展に関してはそこまで売り上げに頭を悩ませずに
やりたいことを素直にやってみようという後押しにもなりました。

Matoya さんでやれたのもすごく自分としては本当に良かったなと感じています。
これまでのセオリーにはないタイプのお店だなという感覚がありましたし
僕の新しい挑戦を一緒に楽しんでくれそうだなという直感もありました。

店主、的山くんと山に一緒に登り植生に一喜一憂しながらのビジュアル撮影も
楽しかったし、足腰が弱った僕にとって良い運動になりました笑

さて、ドキドキしながらも会期が始まると
ピンポイントでこの展示を楽しみにしてくれていた方々が沢山きてくださいました。

正直始まるまでは職人として作家ではないアプローチを取った今展示が
どれくらい受け入れられるだろうという不安がありましたが
そんな気持ちは一瞬で吹き飛びました。

今後もとても個人的に
なんならよりエゴイスティックに自分の興味にフォーカスした
個展をライフワークとして続けていけたらと考えています。

まだ枯れる歳ではない。

さて来年は何をしよう。

みなさんは何をしますか?

もっと勝手にもっと自分のために時間を使うことも時には
悪くないんじゃないかなと思います。

では、また会いましょう。
良いお年をお迎えください。

一年間ありがとうございました。

2020/12/29 ろくろ舎 酒井義夫




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?