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タロットカード解説【13 死神『Death』】

キーワード:終わりと始まりを統べる神は何を見ているのか

【解説】

 黒い鎧を装備した『死神』が、白い馬に跨って堂々と道を進んでいる。手に持っている旗には聖母マリアの象徴である“神秘のバラ”が描かれている。道にはすでに『死神』に命を奪われた者が横たわっている。『死神』の行く手には3人の人物が描かれている。一人は観念したように『死神』に首を差し出し、また別の者は『死神』の姿を見てただただ茫然として、また別の者は死神に何かを訴えているようだ。この者の訴えを『死神』が聞き入れてくれるとは思えない。高価な服に身を包み、王冠を被った者でさえも『死神』からは逃れられない。
 タロットカードに詳しくない方でも、『死神』が“命を奪う不吉な存在”ということ位なら分かるだろう。先程述べた『死神』の姿は、『新約聖書 ヨハネの黙示録』で表現されているもので、ウェイト版のタロットカードにおいても同様の姿で描かれている。
 タロットカードにおいても『死神』は、“生と死を司る神”である。人の生と死は繋がっているといった宗教的な輪廻転生の意味も含まれるが、何も我々にある“生と死”はそれだけではない。あらゆる物事に“終わりと始まり”があるように、長き人生に起こる出来事の始まりと終わりを表しているのだ。人生のありとあらゆる局面で今までのやり方が通用しなくなった時、人間には自分を変えていく力が備わっている。古い自分を脱ぎ捨てて再スタートを切る力がある。そういったやり直しの時間さえも『死神』は示すことがある。不気味に感じる『死神』も、そう考えると少しは恐怖も和らぐことだろう。
 最後に一つだけ不思議な話をして終わりにしたい。古い時代に制作された複数のタロットカードには、『死神』のカードに不可解なモノが描かれている。実は『死神』の頭にハチマキか包帯のような白い布が描かれているのだ。これはハチマキなどではなく『目隠し』なのではないか、という説がある。15世紀に描かれた絵画で、『恋の神』、『運命の神』そして『死神』が3人並んで目隠しをしている絵が存在する。また、イタリアのフィレンツェにある墓地には現在でも目隠しをした『死神』の像が建っている。これは『愛』、『運命』そして『死』が一切の公平な基準や善悪、タイミングや相手、身分も何もかもお構いなしに好き勝手に人間にやってくるという観念を描いたものである。先程述べた神は、3人共タロットカードでも登場する。『恋人たち』のキューピット、『運命の輪』の運命の女神、そして『死神』である。しかし何故、『死神』だけは目隠しを外したのだろう?誰が?なんのために?…その答えは未だ不明である。しかし、タロットカードであったとしても、『死神』が深淵にも思える眼窩で我々を見返す様は、恐怖を感じずにはいられない。どんな人生であれ、最後に『死神』にお世話になることのない者はいないのだから。


【正位置/逆位置】

正位置:
終わり、死亡、破壊、失敗、過去を捨てる時期、行き止まり、不幸なできごと、転換期、絶望感、孤独、大きな変化、改革、このままだと進展はない

逆位置:
やり直し、低迷期が終わる、初心を思い出す、再スタート、心機一転、新しいチャンスやアイデアが浮かぶ、勇気が湧いてくる、気持ちがスッキリする、意地を捨てる


【恋愛】

正位置:
辛い出来事、失恋、離婚、死別、引き際、周囲から反対される、心変わり、冷えた関係、何も残らない恋愛、白黒はっきりつける必要がある、お互いのためにならない恋愛

逆位置:
出会い、新しい恋、再燃、希望が持てる、再会、一途な恋愛、状況が良くなる、復縁、チャンスがある、トラウマからの解放


【片想い】

正位置:
良い方向には動かない、気持ちを決める、打つ手がない、ターニングポイント、自分のアプローチを振り返って反省する、考え直す、悪縁を断つ、恋愛運の停滞

逆位置:
貴方の魅力に気付く、大きな変化を受け入れる、仕切り直し、最初からやり直す、問題から距離を置く、気持ちを整理すること、自分自身との戦い


【相手の気持ち】

正位置:
別れたい、恋が終わっていくように感じている、恋愛感情はない、好きになったとしても交際はない、もう無理だと思う、関係性を変えたい

逆位置:
やり直したい、考え方を変えたい、変わりたい、自信がなくて行動できない、現実を見るのが怖い


【仕事】

正位置:
業績が下がる、計画倒れ、ミスを連発する、やる気が出ない、失業、転職、退職、何をやっても無駄な結果になる、計画が白紙に戻る、思い切った改革

逆位置:
新しいアイデアが浮かぶ、やり直し、良い意味で忙しくなってくる、業績が上がる、人の生死にかかわる仕事が向いている


【未来】

正位置:
何の進展もない、期待していたことは起こらない、消化不良に終わる、体力の低下とストレスが増える、大きなトラブルや事故、人生の転換期、限界、理想が高い、努力が足りない

逆位置:
マイペースな人生、新しい物事にチャレンジ、イメージチェンジが良い、未練を捨てて再スタートすると良い


*リーディングの際に注意すること*

タロット占いにおいて、各カードの意味をただ暗記するだけの学習法は意味のないものである。上記の解説はあくまでも参考である。由来や意味合いから貴女のインスピレーションを働かせ、お客様に合ったアドバイスを提示していくことが重要になる。


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