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リターンしようかな・・・と思ったら

僕は30才の時に12年毎日乗り続けたバイクを降りることとなりました。
以後、62才の今日まで、バイクには触れることさえない32年間を過ごしました。
ここで、『リターンしちゃおっかなぁ』とお考えの中高年の方々に、参考になるかどうかはわかりませんが、
僕の経験からリターンがどれだけ簡単なのか、難しいのかをお話したいと思います。
この経験が、必ず読んでいただいた方々に当てはまるかどうかはお約束できませんので悪しからず。
あくまでも僕の経験です。

32年という長いブランクからいきなりCB1300など、まともに乗れるのか?という不安。

正直な気持ち、大きな不安を抱えていたわけではありません、が、まったく不安がなかったかというとそうでもありません。
・足つきは大丈夫か?立ちゴケしないか?
・1300ccというマシンの加速についていけるのか?
・交差点でフラついたり周りの車に迷惑がかかることはないか?
・追い越し、追い抜き、信号待ちからの発信、渋滞時の半クラは無難にこな
   せるか?
これらの不安、考えていてもしょうがないので
『乗ってみなきゃわからん!』
ということで乗ってみてから考えることにしました。

名義変更を終えたCB1300、千葉から栃木県のとあるお店へ、買ったばかりの新品ヘルメットとグローブを抱えて行きました。
行くまでの道のり、電車の中、不安2割、期待とワクワク7割、やっと32年の夢が叶うというドキドキ感1割という感じです。

お店に着き、購入に関する書面にサイン、お金を支払い、『ありがとうございました!』とお店の人に挨拶、、、そして

・32年前にバイクを降りてから初めてのエンジンスタート
・クラッチレバーを握りギヤを1速へ
・半クラで歩道の端へ行き、通りへ出る手前で停車して右側からの車がない
    ことを確認して発進。

ここまでで足つきも半クラもまったく問題なし、クリアです。
走行を始めてフラつき、ヨロヨロ、シフトチェンジ、なんら問題なし。
(免許を持ってるんだからできて当たり前なのでしょうが・・・)

そして快適に片側二車線の国道を南下します。

『あ、あれ? あれれれれ?』

良い意味での驚きです。
体がすべてを覚えていました。
シフトアップ、シフトダウンの時に若干のギクシャク感はありましたが、何も考えなくても、アクセル操作、クラッチ操作、ギヤチェンジ、後方確認、エンジンブレーキ、車を追い越す時の車に対する挨拶、どれもこれも体が勝手にやってくれている感覚。
交差点での停止、発進も何も考えることはありません。
これは自分でもびっくりしました。
確かに「バイクに乗るのは久し振り」感はありますが、とても30年という長い時間じゃなく、1ヶ月ぶりに乗るくらいの感覚なのです。
大袈裟ではなくて本当にそんな感じでした。
体が勝手に動いてくれるおかげで操作方法を思い出したという、そんな感じです。

栃木から千葉の自宅まで約4時間、ノンストップで走り続けました。
自分自身の慣らしをする目的もあって、敢えて全行程高速道路は使いませんでした。

若い時に体に沁み込んだバイクのコツ、頭では記憶が曖昧でしたので32年は長い・・・と思っていましたが、
脳の中の記憶は薄れていても、体の記憶は殆ど薄れていない、これが結論でした。

300kg近い車重の取り回し

自慢するつもりはありませんが、僕は身長が低い割には筋肉体質で骨太、若い頃はリッターバイクであっても『重くて辛い』と感じたことはまったくありませんでした。
バイクの扱いには常人とは比較にならないほど慣れていたようです。
750ccのバイクも、車一台分の幅があれば180度転回をその場でやっていました。
普通の人が125ccを振り回す感覚で400ccのバイクを振り回していました。
そんな現役時代だったので、1300ccであってもそれは同じだろうと考えていました。
最初の1週間は恐る恐るの取り回しで、さすがに280kgは重かった~。
それは正直な思いです。
現役時代に比べたら筋力はそれなりに落ちてますし、これは仕方ないかとは思います。
でも、1ヶ月とかからずに取り回しには何の違和感も持たなくなりました。
ちなみに、マンションの駐輪場の一番奥の枠を借りているので、頭から駐輪場に入れると、出す時にはケツから出すハメになるので、駐輪場の狭い幅の中で向きを変えていました。初めの頃は少しきつかったです。
でも、これも1ヶ月かからずに慣れてしまったので、今は鼻歌を歌いながらでも一発で自分の枠に出し入れしています。
結局のところ、重さが問題なのではなく、コツですし、慣れてしまえばなんとでもなるということだと、そう結論づけました。

総論・リターンは難しくないどころか、悦びが優る

そうなんです。
不安な気持ちを持っていたことを「損したな」と思った次第です。
もちろん、乗っていなかった時間を考えるとそれも仕方のないことではありますが、、、、
ただ、これだけははっきり言えます。
頭が記憶していることは確かに薄れてしまっていました。
でも、体は運転の方法をしっかり覚えています。
何故なら、バイクの運転のどこをとっても、理論で運転するのではなく、耳から入ったエンジンの音を聞き、それを基にして半クラ、ギヤ操作、をしていました。
バイクの傾きもアクセルの感覚もすべて、脳ではなく手の感触や体全体をセンサーとして使っていたことで、体がきちんと記憶していました。

バイクの操作の感覚が取り戻せたら、その瞬間から不安よりも悦びの方が優ると思います。
少なくとも僕はそうでした。

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