「シネフィル・バスターズ」を見た

システマ・アンジェリカ✕劇団くるめるシアター 6月企画公演「シネフィル・バスターズ」を見てきました!
そこそこ弾丸で決めてしまったので1人で見たのですが、誰か誘えばよかった…と思うほどのクオリティでした。映画好きには見てほしい(かった)


・ストーリーラインは王道、スパイスとしての映画が全面的に効いてて、食後にコーヒーが出てくるような印象
・セリフ、「口語っぽくて聞きやすい」「口語っぽくなくて聞にくい」はあるけど、これは「口語っぽくないけど聞きやすい」だった 何がそう感じさせるんだろう リアリティラインの低さ...?
・繋ぎが本当に上手い!特に感動したのはタイトルイン(劇中にドカン!と出すの、藤本タツキみを感じた 大好き)→授業終わり!のシーン またこの准教授もいい味出してた...最後の最後で「俺もかつては青春にいた!」と気づくのも好き
・脚本書いてる時の「なんだこれは」「殺してくれ!!」「そうだインプットしよ」の流れあるあるすぎる
・背負い投げシンプルにすごい
・「びっくりしてティッシュ食べちゃった!」のくだり好き そうはならんやろ感 こういうリアリティライン下げが文語セリフの自然さに繋がってるのか...?
・セットがすごい!ドアついてるのもだけど、壁の汚しがリアルだった 落書きにエイリアンいて面白かった
・最初「マセ田祭の運営キャスト」みたいなネタが出てきて、身内ネタ強かったら分かんないかもな〜思ってたけどだいたい理解した 早稲田、高校みたいな大学祭なのね
・ノンバイナリという性別を話に活かしてる脚本初めて見た 別にマイナーな属性を「全て出せ!」とも「理由がないなら出すな!」とも思わないけど、「男でも女でもない...まさか!!」の文脈に繋がってるの面白かった と同時に作者のバランス感覚の上手さを感じた
・コマ撮り演出、珍しい!好き 8ミリを映すのも好き 物理的な演出のバリエーションが豊かで洗練されてる
・みんな好きだけど、エモちゃんが名前に反して表現力豊かなキャラクターで面白かった。
・やけに冗長、お涙頂戴な「マセ田大学運営キャスト」のアナウンスをぶち切って始まるゲリラ上映...王道じゃない青春の輝きを感じる
・開始直前の「音響!」「よし!」「木刀!」「よし!」の流れ、馴染みある... あの掛け声はジェットコースターのウィンチみたいなものなので、引き返せない、始まってしまうといった焦燥感と高揚を思い出した。「木刀!」は笑っちゃったけど
・フィルムに混ざって流れる「登場人物のその後」、情報としてもっとゆっくり見たいなと思ってたけど、最後の最後で部長の行く末(映画会社に就職後、自殺)を見た瞬間に『演出なんだ...』と思った それまでがスパスパと切り替わっていくぶん、最後の間に重みを感じた スタンド・バイ・ミーのラストの、青春という夢から覚ますような無慈悲なナレーションが好きなんだけど、近いものを感じた あとはチェンソーマンの「死者:早川アキ」の文字
・部長が夢の続きに立ち、何を持って死を選んでしまうのかは分からないけど、夢の中に生きた人だったのかもとも感じた ギャツビーとかグランドブタペストホテルのグスタヴとか、誰かの夢の中にいて初めて呼吸ができる人だったのかもしれない 誰とも1対1の関係を作らず、いつの間にかフェードアウトしてしまうキャラクター好き
・フィルムが流れ始めた瞬間からちょっと泣いてたのに、最後のナレーションでだいぶ泣いた 学生演劇で泣くの初めて
・唐突なキャラの死でカタルシス作るのあまり好きじゃないんだけど、この展開は好きだった なんだろう...なんでだろう...
性と死はタバスコみたいなもので、入れればある程度刺激的になる(どんなつまらない映画でも主要キャラが死ぬと背筋が伸びる) 話の内容が薄いと水にタバスコを入れた時のように、「味はしたけど...」という感想になってしまう 要素が多いからこそ「引き締め」みたいな役割になったのかもしれない
・学生演劇、学生なりに準備可能な舞台セット・衣装を研究する他に「無料でできるインプット」として見ている側面があったんだけど、これは見た瞬間「無料で見ていいものじゃない」と思ってお金包んだ 良かった...
・映画は大学2年〜今までに450本くらい見てるけど、全然知らない映画も出てて、きっと気づいてないオマージュもあるんだろうな 参考にした映画一覧欲しい あとウォン・カーウァイみたいな恋愛で通じる環境羨ましい
・青春の、騒がしくて未完成で美しい不協和音が、最後にぶつんと途絶えて暗闇になるの、その高低差で脳が焼かれてしまった チケット取り忘れて諦めかけてたけど、劇場行ってよかった...いいものを見た

・でもやっぱりみんなのその後が文字情報でほしい!

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