不条理な状況では冷静な判断ができる
[要旨]
よく、「ピンチはチャンス」と言われますが、それは、単に気休めではなく、ピンチのときは、順調なときにはなかなか気づかないことに気づくことができ、それによって、より正しい判断ができる機会でもあると考えることができます。
[本文]
先日、アパホテルの専務取締役の元谷拓さんの、リモートセミナーを聴きました。そのセミナーは、元谷さんのご著書、「アパ社長カレーの野望」の解説が主なものだったのですが、最後に、質問コーナーがあったので、私から質問をさせていただきました。質問は、同書の中に、元谷さんのお父さんで、アパグループ代表の元谷外志雄さんの座右の銘として、「逆境こそ光機ある機会なり」ということばをご紹介いただいていますが、現在はその機会と元谷さんはお考えですかというものです。
これに対する元谷さんのご回答は、「不条理な状況が続いている時は、正しい選択ができる人にとっては、冷静な判断ができる時だと考えています」というものでした。「ピンチはチャンス」という言葉は、人口に膾炙しており、多くの人もそう考えていると思います。私も、「ピンチだからといって、消極的にならず、積極的に行動しよう」と思ったりします。でも、その一方で、「ピンチはピンチであり、これを打開することは難しいことに変わりはない」と、心の片隅で感じていました。
しかし、元谷さんのおっしゃるように、ピンチのときは、順調なときでは分からないものが分かる状況にあると考えると、本当にチャンスなのだと思えて来ます。私は、このような発想をしたことがなかったので、とても感動しました。だから、いま、日本中の会社はコロナ禍の中にるわけですが、こういうときこそ、ビジネスパーソンの真の実力が試される機会になっているのでしょう。