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【音楽レビュー】AIR Original Soundtrack

ようやくKey(麻枝准)の記事に辿りついた。

高校に入り部活を辞めた僕は軽音楽部に入ることも出来ず、高校の友達とやったエルレガーデンのコピーもすぐに面倒になって辞めてしまう。勉強も出来なかったし大学に行く必要もないと思っていたので、音響技術の専門学校のパンフレットを取り寄せていた。ラジオ関係の仕事に就こうと思っていたのだ。そんな折、男子校だった母校では美少女ゲームが流行していた。「To Heart2」や「君が望む永遠」といったところが代表的だ。生徒会やそれと近しい存在の軽音楽部や水泳部が色んな情報を持っていた。僕も帰宅部ということで帰ってからゲームをしたり「涼宮ハルヒの憂鬱」などのライトノベルを読んでいた。今考えると絵にかいたようなモラトリアムを過ごしていた。そんな中で存在を知ったのが「AIR」だった。ネットでは泣きゲーの代表として有名だったし、次の作品である「CLANNAD」も気になったが、当時アニメもやっていたこともあり、この作品にハマっていった。と言ってもゲームはやっていないので、いきなり大宮のGAMERSでサウンドトラックを購入したことになる。(追ってアニメは確認した。)

鳥の詩」についてはイントロから神々しい雰囲気があるし、何より歌詞が神秘的だ。のちに彼も語っているがサビの終わりにある「わたつみのような強さ」という歌詞が特徴的だ。それまで切なくも懐かしく優しい歌詞だったにも関わらず急に神様が現れる。「鳥の夢」「入道雲」・・・そんな彼独自の歌詞を味わっているとアウトロのピアノと共にフェードアウト、そして「夏影」が始まる。イントロの懐かしく暖かいストリングス。そして、美しいピアノの主旋律、途中から小さな鐘の音が響き違う音色のストリングスが現れ空に吸い込まれそうな感覚になる。僕はこの曲を聴きながら何度も大宮の氷川参道を歩いた。本当に神秘的なものに吸い込まれそうな感覚に包まれたのだ。こんな曲を生み出しているのにハ長調でしか作ることが出来ない素人だと未だに言っているのだからすごい。

彼の曲ではないが「月童」も素晴らしい。世界観が変わるのだが、田舎の夏祭りで子どもたちが金魚すくいなどをしているような懐かしい風景が目に浮かぶ。見たことのないはずの風景が浮かぶというのは音楽の力のすごさを感じる。

このサウンドトラックには曲のレビューがありよく読みこんだが、やっぱり麻枝准のコメントが一番刺さった。彼に魅力を感じた僕は続けて「CLANNAD」「Kanon」「智代アフター」のサウンドトラック、さらにriyaとのコンセプトアルバム「Love Song」を購入し、高校3年生の夏頃からは彼の作る音楽の切なさと暖かさに没頭していく。そして、彼のような「シンプルなメロディだが心に刺さる」ということにとても魅力を感じる。そんな魅力をベースとした何かを創造出来ないか、僕は今でも持っている大きな想いを植え付けられることになる。そうして心機一転、何か誰かの心に残ることをしたいと思い、恩師も卒業した有名大学の文学部を目指すことにした。

受験勉強を始めると僕は成績を伸ばしていった。元々が底辺だったこともあるし、おそらく彼の曲に励まされていたことが大きい。そして、高校の自習室や予備校で勉強していると仲の良かった友達と一緒に頑張ることが出来て、今まで頑張っていなかった分の青春を感じることが出来た。勉強というのは青春を邪魔することだと思っていたのに、勉強することでこれまでの人生の中で一番青春を感じることが出来るとは思っていなかった。結果については別の記事で書くが、ここまで後押ししてくれたのは恩師の言葉、そしてこの麻枝准を始めとしたKeyの音楽の影響が大きい。こんな思いにさせてくれた彼に感謝すると共に、彼に影響され不器用な人間になってしまったことも少しだけ恨んでしまう。



   

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