新潟県上越市→東京大学大学院修了(加藤道夫研)→建築意匠設計。

新潟県上越市→東京大学大学院修了(加藤道夫研)→建築意匠設計。

マガジン

  • Research : 雑考

  • Research : 路上緑化観察

    植物の観察を通して場所や建物に愛着を見出す活動。都市のスキマや荒地に生きる雑草、建物に繁茂するツタやコケに価値を見出し、周辺環境および人との応答を読み解く。「路上緑化観察」という名は藤森照信、赤瀬川源平らによる“路上観察学会” のオマージュ。

  • Research : RADS(新建築広告研究)

    Research of AD on Shinkenchiku 広告を読み解き建築史を描く。

  • Works

  • Research : 勉強会

    2018年度に行われた社内勉強会の記録。

最近の記事

office×residence(ongoing)

職住一体の集合住宅の提案コンペ(制作にあたってのメモです) 町家において、オモテに面するドマやミセを職人の仕事の場、奥まった場所をザシキとしたように、かつて職住は一体であったとされています。 こうした住まいのありようは、都市計画やライフスタイルの多様化によって細分化されていき、分離され、現在に至ります。 近年、情報化の進歩や単身者世帯の増加、高齢化の後押しもあり、住まいと労働をはじめとする多用途の関係を見直し、あるいは掛け合わせによって価値創造をするなど、さまざまな取り組

    • タトアーキテクツのReorganization

      ギャラリー日本橋の家で開催中の 『島田陽/タトアーキテクツ展 :REORGANIZATION』を観ました。 日本橋の家は昨年の『Architets of the year 2019』ぶりということで、オーナーの金森さんにご挨拶してから、まず解説文を中心にざっと一周します。 会場の日本橋の家は安藤忠雄の設計によるRC造の都市住居で、内外や高さ方向の立体的な構成が特徴です。 今回、中庭や吹き抜けにあたる部分にカラーフィルムが立体的に配置され、インスタレーション的に展示空間

      • 前川國男最晩年における『場所』への眼差し

        学生時代のレポートが見つかったので紹介します。 前川國男(1905-1986)は、ル・コルビュジエに師事し、日本近代建築黎明期から壮年期までを駆け抜けた建築家の一人である。 この記事では、最晩年に発現した彼の場所への意識が、それ以前や彼の出生とどのように関係しているかを、最晩年に設計された新潟市美術館(1985)のスケッチとそれ以前のものとを比較した上で、前川の建築がどのように収斂していったのかを論じる。 なお、この記事においては、1980年から1986年の死没までを「最晩

        • 実体としてのテクトニクスへ

          学生時代のレポートが見つかったので紹介します。 ■はじめに 現在からおよそ 50 年前、 1960 年代以降のアメリカにおける場所・風景の議論を建築に接続することを試みる。 例えばル・コルビュジエのサヴォア邸は、近代建築の象徴としてしばしば建築の議論に挙げられる。インターナショナリズム、合理主義、構成、形式、均質などがキーワードとして浮かぶだろう。土地に依存せず成立するシステムそのものと言い換えてもいい。しかし文献を観察していると、合理的と評される彼の制作の中に、一貫し

        office×residence(ongoing)

        マガジン

        • Research : 雑考
          4本
        • Research : 路上緑化観察
          4本
        • Research : RADS(新建築広告研究)
          1本
        • Works
          3本
        • Research : 勉強会
          0本
        • Research : 西澤文隆論
          0本

        記事

          Void House(Dec,2019)

          スロベニア セチョヴリエサリナ自然公園の塩田にはかつて100軒以上の農夫たちの家が存在したが、約50年前に製塩が放棄されて以来、現在では約70の遺跡だけが遺る。 某コンペにおいて、塩田のとある家の廃墟を再生し、この土地における文化遺産保護の空間モデルの提案が求められた。 この場所に遺る家は、製塩という経済活動と自然現象との重なりの中で生まれたものであり、 かつ、その家々も物理的な石の重なり(=組積)によって形作られている。 提案は、CLT(Cross Laminate

          Void House(Dec,2019)

          荒地の観察記

          ①2019夏ごろ 荒地 ②2019.11.20 管理された「空き地」になる ③2020.01.31 自転車が乗りつけるようになる ④2020.02.02 車が乗りつけるようになる ⑤2020.02.29 1日で整地され更地になる それとなく毎日観察してきましたが、自転車が乗りつけるようになったあたりからあっという間に更地になってしまいました。 人や経済の動きは荒地のそれよりずっと早くて忙しなく、人為や経済はあくまで否定せず、それまでそこにあった記憶みたいな

          荒地の観察記

          Washer Desk(April,2019)

          天板と背板には強度が高く安価なOSB合板を使用。廃材が出ないよう、3×6板一枚を無駄なく使う寸法とした。(W=1800mm,D=450mm,H=450mm) 穴を空けた天板の裏からボルトを差し込む簡易な構法とし、解体・再構築を前提とした構成を採用している。 天板はボルトに据えられたナットで支持されている。 脚にはクロメートめっきを施した座金付ボルトを使用。

          Washer Desk(April,2019)

          Creaxia LOGO(October,2019)

          Webサービス、コンサルティング、マーケティング支援事業を展開する株式会社クレアシア(https://www.creaxia.co.jp)の企業ロゴの制作。 クレアシアとはCreate(創造)×Axia(価値)を由来とする造語であり、「ユーザーに主眼を置き、世の中に価値を創造する」ことを理念としている。 そこで、直線の「重なり」と「交わり」によってC(Create)とX(Axia)の文字列を一体的に構成することで、企業が目指す理念を表現した。 線という単純な要素の反

          Creaxia LOGO(October,2019)

          Silent Agora(November,2018)

          否応無しに情報に晒され、都市での生活に疲れてしまうことは誰にもあるだろう。しかし一方で、私たちは公園で一休みする時ですらスマートフォンを手放すことができない。 そんな時にひととき逃げ込める直径100mの空間を計画した。 この空間には46基のビーコンが同心円状に配置されている。ビーコンは通信回線の電波をジャミングする機構を内蔵しており、それ自体が人の行為を誘発する形状を有している。電波に触れる以外の時間の過ごし方の一切は滞在者に委ねられる。 都市空間における「自由」の

          Silent Agora(November,2018)

          路上緑化 備忘録②

          石川初著『思考としてのランドスケープ』へ宛てた、アジア都市研究者の林憲吾の書評を紹介します。 「私たちの身の周りの現象は、さまざまな異なるスケールの事情で成り立っている。 どういうことか。例えば、路傍の雑草を考えてみよう。アスファルトの裂け目にわずかに露出した土壌。地面の勾配を伝ってそこに浸透する水分。それなりの日当り。 雑草が姿を現すには、そうした環境が整わなければならない。雑草は局所的な環境に多分に左右される。 だが一方で、より広域の事情とも無関係ではない。そこに降る雨

          路上緑化 備忘録②

          路上緑化 備忘録①

          路上緑化…「園芸を含む、非計画的に、あるいは偶発的に生じた緑化で、本来あるべきでない場所に生じたもの」とでも表現したら良いでしょうか。 緑化の対象は建築に限りません。道路に生える雑草も「路上緑化」です。 実際は、こうした緑化は嫌がられます。 コケやツタのもつ「古び」のイメージは真新しい建物には似合わないし、植物はナマモノで管理が難しく、どこからともなく生えてきて、ほうっておけば建物を覆ってしまいます。 僕の興味に近しいことを僕よりずっと前から考えている、造園家の石川初

          路上緑化 備忘録①

          万博開催年の建築広告比較①

          そもそもの発端は2017年、修士論文の関係で戦後の建築雑誌を総覧していた際に感じた、「昔の新建築の広告の異常な多さ」です。 今でこそ巻頭と巻末に数ページずつくらいのものですが、1/3くらいを占めていたように記憶しています。というか、雑誌そのものが分厚く、その時は建築誌に載っている広告を分析してみたら面白いかもな、とぼんやり思っていた程度でした。 そして2020年1月、大阪万博まであと5年、EXPO'70からちょうど50年というこの年に、設計の参考資料としてたまたま1970年

          万博開催年の建築広告比較①

          路上緑化観察 ; 場所に愛着を持つということについて

          社会人になって2年が経とうとしていますが、変わらず継続していることがひとつあります。 「路上緑化観察」です。 学部在籍時から植物や緑化に興味があり、卒業設計でも修士論文でも扱いました。 廃屋に繁茂するナツヅタやアスファルトのひび割れから顔を出すタンポポなどが好きで、気になった現象の写真を撮って簡単な考察をすることを日常化しています。(instagramではこれを「ナイス緑化」と名付けて、コメント付の写真をアップする活動を続けています。) もちろん、ワイヤーに緑を絡めた

          路上緑化観察 ; 場所に愛着を持つということについて

          Glass-Landfill

          埋立地に液体ガラスを流し込む。埋立地の土壌は地中のごみの分解に伴って少しずつ沈降し、固化したガラスとの間には偶発的な空間が生まれる。第25回空間デザイン・コンペティション応募案(協働:釜谷潤) この提案の主題はふたつある。 ひとつは「大地」と「ガラス」を、”動的なもの”として用いるということだ。『動く大地、住まいのかたち』(中谷礼仁)を読むと、大陸プレートの運動の中で多様な文化が生み出されてきたことがよくわかる。また逆に、プレートの運動は文明を崩壊させることもある。プ

          Glass-Landfill