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精度高く未来を予測する方法

はじめに

将来の出来事を正確に予測することは大きなアドバンテージになります。例えば投資家は将来株価を正確に予測できれば莫大な利益をあげられるし、ビジネスマンなら業界の変化を予測することで頑健な経営を行うことができるでしょう。

この予測の重要性については言うまでもないかもしれないが、問題なのは「どうやったら正確な予測を行えるのか」ということでしょう。もちろん予測対象に対する知識が必要です。企業のビジネス内容を知らなければ株価を正確に予測することは難しいでしょう。しかし本当に知識さえあれば正確な予測ができるのでしょうか?

このnoteでは正確な予測をする方法についてまとめたいと思います。正確な予測をするための「心構え」ではなく、あくまでも実用的な「方法」についてまとめたいと思います。ですので、このnoteを読めば今すぐに正確な予測ができるかもしれません。

外側の視点

まず最初の方法は「外側の視点」を持つことです。外側の視点とは、「一般的にどのくらいの頻度で発生しているのか」という視点です。「外側の視点」の反対が「内側の視点」です。内側の視点は「この特定の事象はどれくらいの確率で発生するか」という視点になります。

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例としてアメリカ大統領選挙の予測を考えてみましょう。多くの人は自分の感覚などにしたがって予測を行うでしょう。なんかニュースから見る限りトランプ氏が当選する確率は30%くらいかな、といった「内側の視点」からの予測になりがちです。しかしあなたが抱いている印象は、普段接しているメディアや周囲の人間の意見を潜在的に取り込んでおり、その意味でバイアスがかかっているかもしれません。

予測をする際には(それが可能であれば)まず定量的な事実をチェックすることが大事です。現大統領が二期目を争う際、過去どのくらいの確率で既存候補が勝利しているのかをチェックします。第二次世界大戦後、大統領選挙に出馬した現役大統領10人のうち再選したのは7人であるため、「現職大統領が当選する確率」は70%になります(参照)。この確率が予測のベースラインになります。つまり過去のデータ通りであればその確率で発生するわけです。

最後に、得られている情報や自身の考えをベースラインの確率を反映させ予測を調整します。蓋然性が低そうであればベースラインより数%低くするなどします。

「外側の視点」を持つことは非常に大事ですが、これができている人は非常に少ないでしょう。「内側の視点」で予測をしてしまう人がほとんどだと思います。「内側の視点」に依存してしまうと、「専門家」の意見や些細なニュースに大きく影響を受けてしまいます。情報の取捨選択やポジショントークの見極め等に「外側の視点」は非常に有効です。

問題の分解

例えば、ビットコインの価格予測を考えてみましょう。ビットコインの価格を予測することは漠然として取っ掛かりがないような問題に感じるかもしれません。

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ここで有効なのが問題の分解です。ビットコインの価格自体を予測することは大変かもしれませんが、価格に影響を与えそうな要因に分解し、それらを個別に分析・予測するのです。個々の要因の蓋然性がどれほどなのか、そしてそれらの要因がどれほど強く価格に影響を及ぼすのかについて考えます。最後に分析した要因を集約して予測としてまとめあげます。

この問題の分解は「フェルミ推定」の考え方にかなり近いです。もちろん要因の分解の仕方やそれぞれの要因分析には自分の持っている知識や情報などが大事になってくるでしょう。

最後に

このnoteでは良い予測をするための方法として「外側の視点」と「問題の分解」を紹介しました。これらの方法は特段難しいものではなく誰でもすぐに取り入れることができると思いますが、いちいちデータを参照するなど手間がかかります。しかしこの考える手間こそが現代社会では重要だと考えています。テレビやネットに溢れる情報を鵜呑みにするのではなく元となるデータや情報を参照することは多くの人にとって、そして社会にとって非常に重要だと信じています。

以上の方法論はあなたの仕事や日常生活に役立つに違いありませんが、もっと意識的に予測を行ってみませんか?我々が運営するPredictionGeeksでは政治経済やテクノロジーに関する予測を行っています。あなたの予測精度を定量的に評価するだけでなく、予測精度が高ければ賞金をもらえる可能性があるので、この予測手法を駆使して予測に参加してみてください!

参照

今回紹介した手法は早川書房『超予測力』でも紹介されています。この『超予測力』はアメリカで行われていた"Good Judgment"プロジェクトの運営者が書いた本になっており、正確な予測を行っていた予測者がどんな方法で予測を行っていたかについてまとめています。彼らは特別すぐれた能力を持っているわけでも特別な職業に就いているわけでもないのに、政治や社会情勢などについて専門家よりも予測精度が高かったと報告されています。「外側の視点」と「問題の分解」は彼らが採用していたちゃんと実績がある予測方法なのです。本には残りのテクニックや予測することの重要性など非常に興味深いことばかりが書かれているので是非読んでみてください!

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