見出し画像

🖊️深沢七郎自伝 「生まれてくるのは屁みたいなもの」世代を超えた価値観の奇跡カップリング 正宗白鳥の死

 或る年の秋の、或る日曜日の午後で、雨がシトシト降っていた。私は或る駅の人ゴミの中で、偶然、知人に出会ったのである。

 或る年の秋の、或る日曜日の午後で、雨がシトシト降っていた。私は或る駅の人ゴミの中で、偶然、知人に出会ったのである。
「正宗白鳥が死んだよ」
と私はその人に言った。昨日まで「正宗先生」と言っていたのだが、「センセイ」とか「サマ」などという敬称は、いらないのだ。 ーーー「白鳥の死」 深沢七郎 1963

かっこいい。場面文体と完全にピントが合っている。何食ったらこんなにいい描写が書けるのか。思想もかっちょいい、生きてるうちは先生としたっていたものも、死んだら敬称は不要だという。ほとんど宗教観でもと呼べるものが深沢七郎の文章の根底にある。

正宗白鳥が文筆業を始めたのは明治末期で、深沢七郎はまだ生まれていなかった。世代で考えても何週か前で、レジェンドというよりも、誰あんたという気持ちだったろう。しかしどういうわけかこの二人は気があったみたいだった。


小林秀雄と正宗白鳥が世代違いの論争をしていたのが、深沢七郎がデビューする20年も前で、その10年後に三島由紀がデビューするが、世代的には三島由紀夫と深沢七郎は同じで、しかしながら方々でギター弾いて渡り歩いていて、なんか気が向いたのか小説を書き始めたんだったか、もうちょいなんか子供の時に色々読んでたみたいな話も何処かで読んだ記憶がある。

深沢七郎のコンセプトはおそらく般若心経だと思うが、これにプレスリー、ビートルズと、比較的ポップな音楽が続く。そしてフラメンコ。道楽オシャレすぎる。

今が2020年だから20年前にビルゲイツとジョブスが喧嘩したり仲直りしたりして、10年前にiPhoneが出てきた、VRはその頃からコンセプトはあったが、年を経てビルゲイツがVRに投資し始めるみたいなもんか。実際はビルゲイツはアフリカで便所を作っているらしい。

生まれてくるのは屁みたいなもの、深沢七郎にとって、文筆業は屁のこきあいであって、なんとなくそういう価値観が何週か回って正宗白鳥とシンクロしたに違いない。
白鳥も良くそれがわかっていた


お願い致します