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労働委員会の存在感アップを|気ままに労働雑感

全国の労働委員会の公労使委員が年に一度集合し、労働委員会の現状と課題を共有する全国労働委員会連絡協議会総会が、11月18~19日にオンラインで開催されました。
労働委員会では、集団的労働紛争対応として不当労働行為事件審査と労働争議の調整、個別労働関係紛争対応としてあっせん制度を運用していますが、同総会では、いずれも処理件数が引き続き減少傾向にあることを報告しました。
集団的・個別紛争の受け皿として、労働委員会の存在感アップが大きな課題になっていると感じます。

不当労働行為事件審査における令和2年の初審取扱い状況をみると、新規申立ては前年比35件増の280件と前年を上回ったものの、前年繰越しを合わせた係属件数は過去最少だった前年を1件下回る782件にとどまっています。
係属件数は30年以上減少傾向にあり、1708件だった平成3年の半数以下まで減っています。
その間、労働者が個人加盟する合同労組による新規申立て割合が上昇するなど、事案の個別紛争化が進んでいる状況です。
令和2年については、初審の新規申立てのうち4分の3を合同労組事件が占めました。

平成15年まで年間新規係属件数が600件を超えていた調整事件についても、令和2年まで4年連続で200件台と低い水準にあります。

一方、個別労働関係紛争における労働委員会によるあっせんも、リーマン・ショック後の平成21年をピークに減少傾向が続いています。

このような状況を受けて総会では、岩村正彦中央労働委員会会長が、「中央労働委員会としては、公労使三者構成を活かした丁寧な対応や、簡易・迅速性、専門性などの利点があることを中心に、効果的なPR活動の展開を推進し、使用者や労働者における労働委員会の認知度を高めるための取組みを行ってまいりたい」と今後の方向性を示しました。

不当労働行為事件審査における初審では近年、命令によらない「取下げ・和解」による紛争解決が6割を占めています。
和解による解決は、労使双方が合意して終結に至ることから、紛争の長期化を防ぐ効果もあります。
労働委員会においては認知度向上を目的とした活動に力を入れるとともに、さらなる和解成立率の向上をめざし、積極的かつ丁寧な対応な和解勧奨を行ってもらいたいと思っています。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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