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NAIST受験FAQ(他分野向け)

目的:今までに受験生からいただいた質問をFAQとしてざっくりまとめる

注意:これは筆者の個人的な見解であることを心に留めておいてください。
正確な情報は、NAISTの学生募集説明会に参加することで得られます。入試に関する質問用のslackに入ることができ、入試係の先生から直接回答をいただけたり、今までの質問を閲覧できたりします。

筆者について

2022年に情報科学領域に春入学し、自然言語処理分野で研究を進めています。学部時代は、名古屋にあるの私立大学の文系学部(フランス学科)に通っていました。大学では数学に一切触れていません。フランス文化や言語学を少しだけ齧りました。高校時代も文系でした。従って、質問を下さる受験生の多くは、他分野からの入学を希望している方か、自然言語処理に興味がある方に偏っていることをご承知ください。

Q. 受験まで何をしていたか

2019年夏:プログラミングを趣味で始める。たまたまPythonを選んだ。
2019年秋:Pythonで機械学習ができることを知り、学び始める。
2019年冬:自然言語処理に興味を持つ。NAISTの受験を考え始める。数学の勉強を始める。
2020年夏:データサイエンス系のインターンを始める
2020年夏:志望研究室の先生と面談する
2020年秋:TOEICを受ける
2020年夏〜冬:ハッカソンやソフトウェアエンジニアのトレーニング講座、深層学習の講座、他大学の自然言語処理研究室の研究室活動に参加するなど広く齧る
2021年2月:オープンキャンパスに参加
2021年4月頭:小論文の初稿を書き、研究室の先生に添削してもらう
2021年5月中旬:オープンキャンパスに参加し、研究室の先輩に添削してもらう

Q. 得点はどれくらいだったか

合格最低点:139点/200点
自分の得点:145点/200点
内訳は分かりませんが、多分以下の通りくらいです。
英語:ほぼ満点 (TOEICスコア:855)
数学:ほぼゼロ点
書類:高くない(GPA:2.8/4.0ぐらい)
小論文・面接:多分高め

Q.文系学生がどう戦うか?

  • 数学の対策をできるだけ取り組みながらも、例え数学で点が取れなくとも合格するような戦略を取るのがおすすめです。数学の問題は(おそらく)指定教科書からランダムに、しかも2題のみしか出題されません。指定教科書全ての問題が解ける場合を除いて、解ける問題に当たるかは運次第です。したがって(数学は入学後に必要なので頑張るのはもちろんのこと)以下を重点的に取り組みましょう。

    • 小論文を限りなく完成度の高いものとする

    • TOEICのスコアを800点台に乗せる

    • 大学の授業を真面目に受ける

  • 不合格となった際にどんな選択肢があるか、どれなら納得できるか検討しましょう。

    • JAISTも考えており志望研究室の先生と面談も行いました。最終的にご縁があって都立大を併願させていただきました。自然言語処理は諦めることになりますが、AIITも考えていました。

    • 上記の大学院に落ちたら、浪人はせず、秋から就活してエンジニア職に就くことを考えていました。データサイエンス系のインターンに取り組んでいたのは、そのために実務経験を積んでおきたいという意味もありました。

Q.小論文ってどう書いた?

  • 小論文は余裕を持って書くことを強くおすすめします。4月頭に初稿を書き終えるのは受験生の中では早い方ですが、小論文の出来は合否に大きく関わるのでできるだけ早く着手するのがおすすめです。

  • どのような小論文が求められているかは、志望研究室の方針によって異なることがあります。面談時に質問しましょう。私の研究室の教員からは、理想はディスカッションなども書いて論文として出せるぐらいと言われました。また、「これまでの修学内容」部分はそれほど重視していないように感じました。自分も研究内容は卒論で何について書くかの一文しか書いていませんでした。一旦書けたら添削するから教員の元に送ってほしいとのことでした。一方で、受験生の公平を保つために、提出する前に小論文を読まない方針、小論文を通じて受験生のことがわかるような論文を理想とする方針の研究室もあると耳にしました。

  • 研究計画の書き方は何もわからず非常に悩みました。今でもベストプラクティスは分かりません。テーマを定めた後、研究分野で重要視されている最新のパブリケーション(例えば、自然言語処理ならACL, EMNLP, NAACLなどtierが高い国際会議の論文)で該当テーマに即しているものを読み、その分野で何ができていて何ができていないかを探るのが良いと思います。(まともに書かれている)Future work部分を参考にできることもあります。自然言語処理の場合、英語で読むのが難しかったら一旦は言語処理学会の論文などから漁るといいかもしれません。面談時に、ざっくりこんなテーマをやってみたい旨を話すと、じゃあこの論文を参照してみたらとアドバイスをもらえることもあるので、とりあえず相談してみてもよいと思います。

Q. 数学ってどう勉強する?

  • 筆者の数学学習歴:受験ではセンターも二次試験でも数IIBまでは使用しました(落ちましたが)。高3で文理分けだったので数Ⅲの途中まで授業は進みましたが、結構つまづいていました。数学は他の科目と比べて苦手で、大学以降も特に必要のない人生を描いていたので「もう一生数学なんてやるものか」と心に誓い大学に進学しました。

  • 数学アレルギーを克服した方法:比較的時間に自由が使えたので、自分がしっくりくる相性の良い教材を吟味し、自分の頭が一番動く時間帯に取り組み、疲れを感じたらやめるを数ヶ月〜1年強をかけて繰り返しました。

  • NAISTの受験数学については以前まとめを書いたので、参照してみてください。数学で点数を少しでも取りたければ、最終的には指定教科書を使用するのがおすすめです。

  • 指定教科書に取り組むまで:指定教科書は特にラングに関しては一応数Iレベルから始まっているので取り組むことは可能です。しかし、初学者が一人で進めるにはかなり重い内容となっています。指定教科書に手をつけるまでに以下の教材に取り組みました。

    • 文系プログラマーのためのPythonで学び直す高校数学:ほぼ忘れていた高校数学を薄ら思い出すのにちょうど良い。数IIBを一度でも学んだことのある人ならさらっと読めるぐらいの難易度。

    • プログラミングのための線形代数:ストレートに入試対策をしたい人には向かないかもしれないが、直観的な説明で自分とかなり相性が良い書籍だった。高校数学のベクトルが分かれば読めるはず。入試範囲外ではあるが確率統計編もおすすめ。

    • マンガ 数学が驚異的によくわかる:これも自分と非常に相性が良い書籍だった。Amazonでは販売されていないが大学の図書館で見つけた。微積に手をつける前に時間があれば読むと面白い。

    • ヨビノリの線形代数学:ストラングに取り組む前に、線形代数への入門ができる。高校数学のベクトルが分かれば理解できるぐらい易しい解説でわかりやすい。

    • ヨビノリの今週の積分:積分を解く感覚を思い出すために星3ぐらいまで一通り取り組んだ。NAISTの指定教科書に出てくる積分の問題は技巧的な問題はほぼないので、星4以降はやらなくてもよさそう。

    • マセマの線形代数・微積:院試受験生におすすめの書籍として有名でざっと取り組んだが、指定教科書と範囲や傾向が異なるので注意。マセマと指定教科書の違いは「マセマとストラング線形代数の違い」に詳しくまとめてくださっている。

    • NAISTの過去問:ざっと読んだが、教科書が指定されるより前の過去問で、傾向や範囲などが異なるので注意。

    • 高校〜大学数学の問題が掲載されているWebページ:NAISTの過去問と指定教科書の間くらいの傾向かつ、解説がわかりやすかったので必要な箇所を解いた。

  • 指定教科書に取り組む:指定教科書は演習問題に解説がなく解答すら貧弱だったので苦戦しました。似た問題をネットで大学数学のPDFを探して答えを推測したり、知恵袋から探したり、友達に質問したり方法を取りましたが、どうしてもわからない問題は諦めていました。他の受験生はMENTAというサービスで数学を指導してくださる方を見つけ、わからない問題を教えてもらっていたそうです。自分もそうしておけばよかった…

おわりに

追加してほしい内容があれば、Twitter(@Rodamille)などでご連絡ください。訂正事項があればnoteでのコメントに記載していただけると助かります。

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