2020J1第26節 湘南ベルマーレvs横浜F・マリノス@湘南BMW
8/15以来の無得点での敗戦となってしまいました。
この試合における最大のトピックは前半に見られた新しい布陣でしょう。マルコスが最前線中央に入り、いわゆる"0トップ"、"フォルス9"、"ファルソ・ヌエベ"の役割を果たしていました。
まあこれがなかなかうまく機能しなかったために点が取れなかったわけです。
ではなぜうまくいかなかったのか、そしてどこまで進捗があったのか。いつも通り成果と課題の切り分けをして考えたいと思います。
構成は以下の通りです。
⑴なぜ攻撃が停滞したのか
⑵ヒントはあった
⑶まとめ・考察
では、始めます。
【Starting Lineup】
■横浜F・マリノス
◇基本システムは4-3-3
◇前節からスタメン4人変更(畠中、和田、天野、松田)
◇前節から中7日
◇マルコスが最前線に配置
■湘南ベルマーレ
◇基本システムは5-3-2
◇前節からスタメン変更なし
◇前節から中10日
【なぜ攻撃が停滞したのか】
なぜ攻撃が停滞したのか。ここを解き明かそうと思います。
結論から言うと、前線に人数をかけて攻撃できなかったからです。0トップにした分、前線で起点となる選手がいないのでボールを前に運ぶことができませんでした。
もちろんマリノスだけの問題ではありませんでした。
湘南が縦にコンパクトな陣形を敷いてきたこともあり、マルコスが活きるライン間のスペースを消されてしまいました。
結果的に、本来ボールを受けて起点を作りたい場所から押し出されてしまった形です。
0トップをやるにあたって揃わなければならない条件の一つに、「相手DFラインをいかに押し下げられるか」というものがあります。
"偽9番"としてプレーする選手に時間とスペースを与えるために、両ウイングが高い位置を取って相手DFラインを押し下げるのです。これができなければ0トップをやるメリットはないです。
この試合のマリノスではそれができませんでした。
ウイングによる対面のDFとの駆け引きや緻密な位置どりが必要なので、なかなか付け焼き刃でできるものではないんですけどね。
【ヒントはあった】
しかし、すべてがうまくいかなかったわけではありませんでした。IHに入った和田拓也や天野純がマルコスを追い越して飛び出したシーンでは必ずチャンスを作れていました。その回数が少なかったこと、またビルドアップの局面で苦労した結果、ゴール前までなかなか辿り着けなかったことが課題でしょう。
たとえばこんな場面。
前半15分の決定機ですが、中盤に降りてボールを受けたマルコスからのスルーパスに天野が抜け出してキーパーと1vs1になりました。
結局止められてしまいましたが、これが決まっていれば、という綺麗な攻撃だったと思います。
ポイントは、後ろから飛び出してくる天野をDFは捕まえることができない、ということです。中盤から前線に飛び出すスピードにかけて天野は素晴らしいものを持っている選手なので、こうした飛び出しの回数をもっと増やしてほしかったですね。
全体的にうまくいかなかったのは事実ですが、このようにヒントは散りばめられていたのです。
【まとめ・考察】
まとめの項では、なぜこのシステムを試したのか、という経緯を憶測ですが述べたいと思います。
私は、ACLが念頭にあってこのシステムを採用したのではないかと考えています。というのも、ACLで起用できるCFが不足しているからです。エリキがウイングでフィットしつつある関係で、CFで使えるのがオナイウしかいない状態です。(ジュニオール・サントスは外国籍枠の関係で出られないものとする)
そうなったときに、マルコスを最前線に置く新布陣を構築できたらこの問題が解消します。
ACL初戦からこの0トップシステムをやるかどうかは置いといて、チームとしての引き出しをたくさん持っておくことは、そのままチームの総合力の高さになります。だからこそこうした取り組みもやっていかなければならないのです。
なぜこの段階で新システムを試すことになってしまったのか。それは連戦続きで練習する時間が取れなかったからでしょう。2週間後に本番を控えたこのタイミングで新しいことを試すというのは、苦肉の策と言えるかもしれません。
ACL本番まであと2試合になってしまいました。試せることは試し、できるだけ良い状態で挑みたいですね。
11/11 Wed. 19:30K.O. J1第26節 湘南1-0横浜
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