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【いま最も旬なチーム:ライプツィヒ】バイエルン・ミュンヘンvsRBライプツィヒ(2020/02/09)


どーも、ロッドです。

サッカー脳を退化させないようにしよう」ということでレビューを書くことにしました。

ちょうど録画リストに2月のブンデス首位攻防戦の映像が残っていたので、バイエルンvsライプツィヒの試合を書いてみようと思います。


最近DAZNなんかで過去の名勝負を見る機会はあるわけですが・・・。

やっぱりサッカーはものすごい勢いで進化しているのだと感じます。10年前の試合はそれはそれで面白いのですが、やはりプレースピードや、チームとしての戦術的な練度は今現在の方が数段進んでいるんですよね。

まるで違うスポーツに見えてしまうこともしばしば・・・。

やっぱり僕は今の進化したフットボールの方が好きみたいです。この試合を見返していても心からそう思いました。すごくレベルが高くて面白い試合でした。


さて、今回はライプツィヒに焦点を当てて書いてみます。

なぜかって?

いま最も旬なチームだと思うからです。ヨーロッパサッカーの再開を信じてやまない僕としては、再開後のCLでも良いとこまで行くと踏んでいます。

確固たるサッカーのスタイルがあり、フロントと現場が一体となって素晴らしいサッカーを作り上げています。


ライプツィヒの過去、現在、未来など、ピッチ内外の取り組みについてはこちらの動画にて濃密に語られておりますので、ぜひご参照ください。

めちゃくちゃ興味深くて面白いのでおすすめです!!


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スタメンはこんな感じです。

バイエルンは王道の4-2-3-1、ライプツィヒは、後ろは3バックですが、前線の配置が局面によってかなり変化します。が、基本的には3-4-3という表現が正しい気がします。


【囲みだ!囲みだ!】


はい、というわけでボール非保持から始めていきたいと思います!

「必ずしもボール保持が攻撃、ボール非保持が守備とは限らない。」

ライプツィヒは、身をもってこのメッセージを強く訴えかけているような気がしてなりません。

要するに、ライプツィヒの攻撃は、ボールを持っていない状態から始まっているんです。


前線から激しいプレッシングでもって相手に襲いかかり、奪って一気に速攻で仕留める、というのが彼らの最大の狙いであり、大原則です。だからこそ相手がボールを保持している時間帯は、ライプツィヒにとっては絶好の攻撃のチャンスなんですね。

ここでは、その大原則を体現するためのプレッシングの約束事について述べていきたいと思います。

結論から言うと、ボール非保持の際には「縦横のコンパクトさ」を保つことを念頭に動きます。

《”縦横”のコンパクトさ》 
■縦 
  ✔︎ DFラインからFWまでの距離が短い
   ー 25〜30mくらい
  ✔︎ ライン間のスペースを空けない
   ー 縦パスを入れさせない
   ー 苦し紛れの縦パスを引っ掛けて奪うことが狙い
  ✔︎ DFラインを高く設定
   ー 裏のスペースが狙われやすい
   ー 3バックは俊足でカバーリング能力に長けている
   ⇒致命傷にならず

■横
  ✔︎ 2-3ユニットがボールサイドにスライド
   ー 最前線の3枚とボランチの2枚で構成
   ー サイドに追い込んでボールを奪うことに主眼
  ✔︎ DFラインの動き方
   ー ウイングバックについて
    ・ 基本的に相手のSH/WGに付く
    ・ 対面のSBがボールを持ったらアプローチ
   ー HV(両脇のCB)について
    ・ 積極的に前へ出て守備
    ・ 対面の相手が下がって受ける場面でもついていく傾向あり

このように、明確な約束事でもって縦横のコンパクトさを保ちながら密集を作り、相手を囲んでボールを奪うことに長けたチームなのです。

まさに”機能美”です。笑

じゃあこの試合のバイエルンはどうやってこのプレッシングを掻い潜って前進していたの?という話になるわけですが・・・。

大きく分けて前進の方法は2つありまして。

①単体で剥がされた場合

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上図は前半32分のシーンを図解したものです。なかなか前進の糸口が掴めないバイエルンでしたが、そこに風穴を空けたのがチアゴ・アルカンタラ。

左SBのデイビスからのパスを受けるや否や、クルッと反転して単体で相手を剥がしてライン間のスペースに進入。前進に成功しました。

ライプツィヒとしては、こうした個人技によって単体で剥がされてしまうと前進を許す格好となってしまいます。


②喰いつかされてワンタッチの浮き球でひっくり返された場合

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こちらは前半10分の場面。

チアゴとニャブリのパス交換に対して4人が喰いついてしまったライプツィヒ。

呆気なくWBの裏のスペースをバイエルンの左SBデイビスに明け渡してしまい、あわやのチャンスを作られてしまったシーンになります。

構造上の欠陥というよりは、ボールホルダーのチアゴにあまり強く圧力がかかっていない中で喰いつきすぎてしまったライプツィヒ側のミスという見方ができますが、稀にこういったことが起こってピンチを招くといったところでしょう。


これら2つの場面に共通するのは、打開したのがチアゴ・アルカンタラだということ。やはりスーパースターですね。素晴らしいプレーの数々でした。


【とにかく前へ!前へ!前へ!】


次は、ボール保持です。

といっても、このチームは”保持”というほどボールをしっかりと持ちません。やはりここにも、明確な決まりごとがあります。

それは、とにかく縦に!速く!攻めること。

この傾向は、⑴ビルドアップ⑵ポジティブトランジションの局面に色濃く出ます。

先に断っておきますが、今回の試合はライプツィヒにとってアウェイの試合であり、しかも相手はバイエルン・ミュンヘンです。なので、これが彼らのいつもの姿であるかどうかはわかりません。ライプツィヒとしては、普段よりもかなりリスクを冒さないようにしていた可能性があります。

では、先述した2つの局面について説明します。


⑴ビルドアップ

ビルドアップには、必ず出口が設定されています。誰にボールを預けたらスピードアップをする、という部分がチームの共通認識として定められているのです。

例えばポゼッション志向型のチームであれば、相手のMF-DFのライン間であることが多いです。マンチェスターシティだったら、デ・ブルイネがライン間で縦パスを受けて一気にスピードアップするシーンをイメージしていただけるかと思います。

この点、ライプツィヒは、ライン間に無理やりパスを通すようなことはしません。

ではどうするか。

スピードのある前線の選手を走らせ、相手DFラインの裏のスペースに長いパスを送り込むんです。細かくパスを繋いで攻めの糸口を探すよりもはるかにスピーディーかつシンプルな手法であり、ライプツィヒがやりたい”縦に速い”サッカーに合ったビルドアップと言えます。


⑵ポジティブトランジション

ライプツィヒの真骨頂は、このポジティブトランジションの局面においてより強く見られます。

注目すべきは、ボール奪った後の最初のパスを狙う場所です。

これまたポゼッション志向の強いチームは、安定してボールを保持するために細かく繋ぐ傾向にあるのですが、ライプツィヒは、まず目指すゴールに一番近い位置、つまり最前線にいる味方に長めのボールを出します。そして、その最前線の選手に対して素早くサポートに向かい、レイオフなどを活用しながらスピーディーにゴールに襲いかかります。

試合を通してボールを奪った直後のプレーを見ていると、必ずと言っていいほど最前線にボールを送り込んでいるのです。チームの中に明確な決まり事があるのは明白であり、これを愚直に遂行する一体感も感じられます。


以上のように、「縦に速く」という明確なビジョンのもとに、それを体現する共通認識がこのチームにはあることがわかります。


【まとめ】


以上、ライプツィヒに焦点を当ててブンデスの首位攻防戦を見てみました。

チームに明確なビジョンがあり、それを実現するための選手が揃っているのが強さの秘訣だと僕は考えています。例えば、高めに設定するDFラインの裏をケアできるだけのスピードを最終ラインのクロスターマン、ウパメカノ、ハルステンブルクは有していますし、前線のヴェルナーらも相手のDFラインの裏を鋭く突くスピードがあります。

やはり、チームの方向性がしっかりと定まっていて、そのために動ける強化部が備わっているクラブは強いと感じました。


今回はあまり触れませんでしたが、バイエルンには盤石の強さを感じました。ライプツィヒのプレッシングに対しても、臆することなくボールを繋ぎ、逆に撹乱するようなポジショニングをチアゴやキミッヒが中心となって行う様には、さすがの王者の風格が漂っていました。
バイエルンの強さは、あまり言語化されていない部分でもあると思うので、また機会があったら考えてみたいですね。


国内外のサッカーがいつ戻ってくるのかはわかりませんが、戻ってきたときに前と変わらず、いや、もっと楽しめるように、良い準備をしておきたいものです。今後も気まぐれで何か書くこともあるかと思いますので、その時は目を通していただけると大変ありがたいです。

長文にお付き合いいただきありがとうございました!

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