知ってますやってます

また今日もやってしまった。

ちょっとした会話の中で、相手が発した話題に対して「それ知ってます!」は、良い方に作用することもあるが、別に良くならないこともある。

私の経験則では、悪くはならないけど良くなりもしないことの方が多いと思う。でも今日も言ってしまった。


会社に、めっちゃ怒られてる人がいた。めっちゃというのは度合いのことであり勢いではない。懇々と深めに怒られていた。

詳しい話は聞いていないが、どうやら100%その人が悪いのではなくて、色々入り組んだ末にその人が悪いことになってしまってる状態っぽかった。気の毒だ。

その人は同僚に慰められていた。「元気出してくださいよ!明日はきっと大丈夫ですよ!」と励まされていたが、ぶっちゃけ無理があるだろと思った。私なら周りにそれを聞かれていることを気にする自意識過剰と、自尊心の傷つきで病んで仕事休んでしまう。

そんな渦中にいる方が、私に突然話しかけてきた。2枚の紙を私の前に差し出し、コピー用紙、こっちの色とこっちの色だと印象が変わりますよ!と。

販促ツールを印刷する用紙のことだった。今回のキャンペーンは抽選で食べ物が当たるもので、でかでかと美味しそうな食べ物の写真が写っている。

差し出されたコピー用紙は青と黄色だった。食べ物が青いと食欲が失せる気がするのは誰もが感じたことある感覚だと思う。対して黄色の紙に印刷された食べ物は、同じ紙面でも大変美味しそうに見えた。

そこで私が「本当ですね!次印刷する時は黄色にします。教えてくださってありがとうございます!」と言えば超ウルトラハッピーエンドなのだ。

なのに。私は。

その人が私に脈絡なく突然、何のきっかけもなく話しかけてきたのは、私の憶測だけど、たぶんそうでもしないと心が壊れそうだったからで、

なんとか笑おうとした時にたまたま近くに私がいたから、何かを伝えて発することで気を紛らわすというか、抱えている問題からちょっとでも目を背けて救われたいと思ってたんじゃないかと。

今ゆっくり冷静になって考えたら、絶対そうとは言い切れないけどきっとそういう方向の感情があったと想像できるのに、

なんでその瞬間だけはそこまで頭が回らないんだろうかね。

私は「私も黄色で刷ってます!」って言ってしまった。事実だけど、それを言っちゃあ、無意識にマウント取ってしまってないか。マジでだせぇ。空気読めない奴。こういうこと何回繰り返せば気が済むんです?いい歳して……。

聞き方によったら「内容に合うよう効果的な色で印刷するスキルを私は持ち合わせています」っていう鼻につく自慢をしているようにも聞こえるし、「今そんなことに気がついたんですか?今まで知らなかったんですか?」って煽ってるようにも聞こえるし、話しかけた時のその人の気持ちを想像したら、なんとか救われたくてやったのに返り討ちにあったみたいになるやん……なるやん……。

自分はすでに同じことに気づいていて知ってます!やってます!ってアピールする発言など、すべきじゃないのだ。相手の傷ついて弱った心を治してもらい自己肯定感を持ってもらうべく、どれだけ自分が既に知ってても「教えてくださってありがとうございます!」という低姿勢の発言をしていたら、人の心を救えてたかもしれないのに。私にはその心配りが求められていたのに。私はこういうところが!精神年齢が!クソガキだ!

とっさに気の利いた発言ができない自分に辟易としたので、戒めの覚書です。

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