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54歳おじさんがひとりでサマソニ2023に参戦してみた件

こんにちは。
タイトル通りの内容なのですが、8/19・20に開催されたSUMER SONIC 2023 TOKYOに、ひとりで参戦してきました。

当方、今年で54歳、特に健康に不安はありませんが、とはいえ年々それなりに年齢を感じてはおります。

40歳頃にひたちなかのロックインジャパンに参加したのが、最後の夏フェスだったような記憶があります。サマソニについては、2006年以来、17年ぶり2度目の参加となりました。
元来、暑さと人が多い場所が苦手なので、中年おじさんになってからはフェスから引退したつもりだったのですが、今回はBlurLIAM GALLAGHERのラインナップが発表された瞬間、最速でチケットを購入してしまいました。

そんな身の程知らずのおじさんが行き倒れ寸前になりながらも、サマソニ2023を乗り切ったレポートになります。若い人たちのように各会場を縦横無尽にはハシゴできた訳ではありませんので、内容は薄めですが…..

初日8/19のレポート

チケットを取った半年前は「サマソニに向けてジムでトレーニングして体力を仕上げておこう」と意気込み、実際5月くらいまでは順調だったのですが、その後仕事に忙殺され、体力調整に失敗し不安を抱えたままのスタートとなりました。

そのため、無理はしないでおこうと用心しつつ会場へ向かいましたが、とにかく17年前と比べてケタ違いの暑さで、海浜幕張駅に到着した時点で早くも来た事を若干後悔しました。

とはいえ、入場ゲートをくぐり係員にリストバンドを付けてもらうと、久々に体感するフェスの雰囲気に割とあっさり高揚してしまい、連れが居ないのをいいことにひとりで俯き気味に「むふふふ」と気味の悪い声を発する始末。


事前にしっかり自分なりのタイムテーブルを組んでいたのですが、インドア会場のメッセも人の多さで冷房の効きが弱く、とても音楽に集中できる状態でなかったので、まず最初に行ったのは「涼しいポイントを探す」でした。

フェスの観客というよりも外回り営業マンのような自分の行動に嫌気がさしつつも、まだ観客が少な目だったPACIFIC STAGEの後方が意外と涼しい事を発見。いきなり腰を落ち着けて涼んでしまいましたが、そこでたまたま観た台湾のバンド落日飛車は、シティポップの影響をうかがせる心地よい演奏で、日本の観客も大きな拍手を送っており、個人的には良い掘り出し物でした。

次はSONIC STAGEへ移動し、サブスクで軽く聴いた程度だったNulbarichを鑑賞。ソフトでスマートなイメージのバンド、という先入観を持っていたのですが、思った以上にロックっぽいといいますか、力強くタイトな演奏で、印象が少し変わりました。


同じくSONIC STAGEで、これは当初から必ず観ると決めていたCorneliusを、頑張って会場の真ん中くらいまで進んで鑑賞。YMOのサポートギタリストとしての小山田圭吾の演奏は何度か生で体験しましたが、Corneliusのライブは今回が初めてでした。もっとエレクトロニック・ミュージックしているかと思っていたら、とんでもなくド迫力のギターロック。バックに流れる映像も演奏の一部といっても良い程の秀逸なセンスで、特に何の曲かは忘れてしまったのですが、60~90年代までのロックレジェンドたちの映像(ストーンズ、ジミヘン、プリンス、ポール・ウエラー、オアシス、ブラー等)が流れ、ロックへのリスペクトが感じられて、Corneliusへの印象が大きく変わったライブでした。

次は、そのままSONIC STAGEで、前回の記事でも紹介したWET LEGを鑑賞。
入場規制まではかかっていませんでしたが、パンパン満員の入り。
You Tubeで見るよりもずっとチャーミングな印象のユニットで、海老?ザリガニ?の謎のコスプレが印象的な曲「Wet Dream」では、観客もしっかり曲間のハンドクラッピングを合わせたりと、やはり日本での人気が上がっている印象を持ちました。
おそらく客層も90年代オルタナティブ好きと重なっているようで、早めにMARINE STAGEのBlurへ移動を開始する観客も。私も後ろ髪をひかれつつ、歩いてMARINE STAGEへ徒歩で移動を開始しました。

54歳おじさんにとっては、この移動が最初のヤマでした。17年前も暑かったとはいえ、当時まだ30代後半で、それほど移動で苦労した記録はなかったのですが、今回はMARINE STAGEがやけに遠く感じます。鉛のような質量に感じられる熱く重たい空気をかき分けつつ、やっとMARINE STAGEへ辿り着きましたが、とてもアリーナへ行く元気は残っておらず、控えめにスタンド2階席に着席しました。


目当てのひとつ、Blurについては、個人的には93~94年くらいだったと思うのですが、確か渋谷公会堂かNHKホールで観ているのですが、その時は当たり前ですがデーモン・アルバーンも若くはっちゃけていて、最初から終わりまでぴょんぴょんと飛び跳ねていた印象だけが残っていました。

30年ぶりに観たBlurは、堂々として自信に溢れており、それでいてスタジアムバンドとして変に手慣れたような感じは無く、どこかやんちゃな雰囲気を残していました。セットリストも最新作「The Ballad Of Darren」を軸にしつつも、全キャリアを網羅する内容で、Song2での観客とのコールアンドレスポンスも完璧でしたし、Girls and BoysやParklifeでは合唱が沸き起こり、2階席から見ているとまるでウェンブリースタジアムかと錯覚する瞬間もありました。

実際、ロンドンではこの7月に9万人フルハウス×2日間の、全英国民絶賛のライブを成功させたとの事で、渋谷でぴょんぴょん飛び跳ねていただけのブラーは、30年かけて名実ともにトップ中のトップ・バンドに成長していました。ワンマンでの再来日を期待せずにはいられません。

初日でほぼ燃え尽き気味でしたが、帰り道で夜空にドローンで描かれたサマソニのロゴを目撃。17年前には考えられなかった演出に驚くばかりでした。

2日目8/20のレポート

前日はMARINE STAGEで熱中症患者が100名以上発生した件が大きくメディアでニュースとなってしまった事もあり、おじさんとしてはここは無理せず事前に確保していたホテルで昼過ぎまで休養し、午後遅めに会場入り。

最初にオリジナル・ラブを観たかったのですが、炎天下のBEACH STAGEは見送り、屋内のMOUNTAIN STAGEでINHALERを鑑賞。
U2のボノの息子イライジャ・ヒューソンがVoとして率いる、21年デビューのUKロック界の新鋭バンドです。

U2も好きなバンドのひとつなので、彼らには少し前から注目しており、事前にアルバムもざっと聴いていました。
聴いた人はみな同じ感想を持ったと思いますが、やはり遺伝子は凄いというべきか、まさに若い頃のボノにそっくりの声質で、正直なところアルバムを聴いた時もその点が妙に気になってしまい、いまひとつ作品に集中できませんでした。

ところが、生で聴いたINHALERの印象は、声は確かにボノっぽいですが、ストレートで適度にポップで、初々しくも将来性を感じさせる一体感のある演奏であり、とても好感の持てるバンドでした。

この後、メッセ内で自主的にへたり込んで休憩しつつ、個人的に最大の目当てであるLIAM GALLAGHERを観るため、MARINE STAGEへ移動。前日の反省を踏まえ、無理せずシャトルバスを利用しましたが、これは体力温存面で大正解でした。
「やはりおじさんになったら、夏フェスでは虚勢は張らず素直に何かに頼ろるべきだな」と一旦は悟ったのですが、ここまでで前日に比べかなり体力面の余裕が出てきたため、最後くらい調子に乗ってみるかと、無謀にもアリーナに突入。


それでも最初はアリーナ後方で余裕ぶって鑑賞するつもりだったのですが、トリに控えるKENDRICK LAMAR待ちの、強面のヒップホップ・ファンに周囲を囲まれてしまい、そこから逃れようともがいているうちに割とアリーナ真ん中くらいの位置まで押し込まれてしまいました。周りは20~30代の若者ばかりで、何処を見ても50代のおじさんなど見当たらない…と軽く絶望していたのですが、よーくみると40代とおぼしき女性ファンがちらほら。やはり女性は強いなーと感心していると、定刻にオープンニングSEのFUCKIN’ IN THE BUSHESが爆音で鳴り響き、リアム登場。

1曲目Morning Gloryからの続けざまのRock 'n' Roll Starでアリーナは大合唱、すでに完全に出来上がってしまいました。
OASISをリアルタイムでは体験していないはずの20~30代が若者たちが、曲の頭から歌詞を覚えているのは驚きでした。

過去3作のソロアルバムからの代表曲を挟み、Stand By Meではサビの歌唱を観客に任せるサービスぶり。長いコロナ禍を経て、ついに日本でも観客が一体となって「Stand By Me♪」と声を合わせる様は、実に感動的でした。

さらにはラストで演奏されたOASISの代表曲であるWonderwall~Champagne Supernovaまで、非の打ちどころのない素晴らしい歌唱と演奏でした。

以前の記事でも書いたのですが、個人的にOASISは渋谷クアトロの初来日ライブを観たり、ロンドンまでBE HERE NOWツアーを観に行ったりと、もっとも思入れのあるバンドで、バンド解散以降のリアムの動向もずっと追ってきました。2010年代前半の彼はかなり荒んだ生活をしており、正直このまま引退するつもりなのでは、と心配していたのですが、17年にソロで再スタートを切って以降、右肩上がりで調子を戻しています。

ひいき目抜きで、いまのリアムのボーカルはOASIS全盛期の90年代半ばと比べても引けを取らないレベルです。19年に公開された映画「AS IT WAS」では、リアムが早朝4時に起床してランニングする姿が記録されていました。
あの悪童の限りを尽くしたようなリアムが時を経てプロ意識の塊に変わった様を確認できたのは、実に感慨深いものがありました。

思入れの強さから思わずLIAM GALLAGHERの記述が多くなってしまいましたが、馴染みのなかったKENDRICK LAMARも後学のために途中まで鑑賞しました。個人的にはヒップホップ系はあまり詳しくなかったので、ほぼ人生で初めて「本場/本物のヒップホップ・アーティスト」を観る経験だったのですが、ステージ上にバンドはおらず1人きりのパフォーマンスにも関わらず、とてつもないオーラとド迫力に圧倒されました。

ここまでで、きっちり1日分の体力を使い切った感覚があり、かなりの達成感と充実感を得て、帰路につきました。

まとめ~サマソニ2023の所感

熱中症多発の件で変な注目を浴びてしまい、一部では批判も受けた今年のサマソニですが、17年ぶりに2日間、参加したおじさんの目線で述べると、運営側はとても頑張っておられたと思います。

幕張メッセ内のステージ上からもMCの方が「こちらの屋内会場とマリンスタジアム会場は、環境が全く異なりますので、別のフェスと思っていただき、十分な給水と準備をしてください」と呼び掛けていましたし、マリンスタジアムでもステージから放水を行ったりと、できる事にはしっかり取り組んでいたように見えました。


アリーナに水とお茶以外が持ち込めなかった事や、入場の導線が過密だった点は、おそらくプロの知恵を集めれば、工夫次第でもう少し改善できるのだろうと思います。

また、炎天下で誘導や入退場確認などを担当していたアルバイトの若者たちや、どんどん貯まるゴミ箱を素早く片付けていた施設側の担当の方々には、つくづく頭が下がる思いでした。
ただ、彼らスタッフの安全や負担も考慮すると、来年以降はたとえばMARINE STAGEなど日よけの無い会場については、開始時間をずらすなど、段階的な見直しが必要とは思います。

観客側と運営側で今回の酷暑下での夏フェスをきちんと検証し、双方で知恵を出し合って、20年以上かけて育ててきたサマソニを、もっと言えば日本の音楽フェス文化を守っていく必要があると感じました。

ともあれ、コロナ禍の3年間の憂鬱を払拭する、祝祭感に満ちた素晴らしい2日間のイベントで、17年ぶりに参加できて幸運でした。

あらためて関係者の方々に御礼を申し上げます。

(おわり)






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