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チープな中華マイクの改良(その2)

【メタライズド・ポリエステル・フィルムコンデンサに交換】

中華コンデンサマイクにつきまして、音の改善作業をやっております。本物のコンデンサマイクが使われており、もともと「素質はかなり良い」ものですが、回路や作りに「少々残念な」ところがあります。それで前回は100円ほど投資しまして、回路構成が原因で発生している「サー」という(かなり大きめの)ノイズを除去しました。これでクラシックギター演奏時の音撮りでも十分に使えるようになりました。今回は、さらに音響的な性能を上げることにします。

メタライズドフィルムコンデンサ図1


写真で黄色の枠で囲んだところに、小さな長方形のチップがあります。これはコンデンサというものでして、直流は通さないのですが、交流だけ通すという部品です。このコンデンサを回路の途中に入れますと、電気的に前後の回路を分離したうえで、音声信号だけをしっかり通すことができます。これを「カップリング・コンデンサ」と言います。本機で使われているコンデンサは「積層セラミックコンデンサ」というものです。価格は非常にお安くて1個で0.1円もしません。なお、市販の高価なコンデンサマイクシステムでも、本機と同じ「積層セラミックコンデンサ」が使われています。

メタライズドフィルムコンデンサ図2


携帯電話のようなデジタル回路の場合はこの部品で全く問題ありません。ところがマイクのようなアナログ回路では、コンデンサの性能が音に直接的に影響します。

音声信号が通過する箇所に、積層セラミックコンデンサなどを使いますと、わずかながら波形が歪んでしまいます。反応速度の影響で「位相遅れ」という現象が起きてしまいます。エレキギターを弾かれる方でしたらご存じでしょう。エレキギターのなかで使われているコンデンサを交換しますと音が大幅に変わります。それと同じです。かようなアクティブコンデンサマイクの場合も、音声信号が通過する箇所にあるコンデンサを高性能なものに総入れ替えしますと、マイクの性能を大幅に改善できます。1ランク上のコンデンサマイクに様変わりします。

ということで、今回は、音声信号が直接通過するところにある4個の積層セラミックコンデンサを半田コテで丁寧に取り外しまして、写真のような「メタライズド・ポリエステル・フィルムコンデンサ」に交換しました。

メタライズドフィルムコンデンサ図3


マイクを繋いでみたら、なにげに良さそうな気がしますが、はたしてどうでしょうか。理論上はよくなるはずですが、コンサートホールにある大きなスピーカーあたりに繋いでみないと、正直なところは解りませんね。なお、この部品は、見た目はあまり格好良いものではありませんが、音響的な性能は抜群です。そのせいで価格も非常にお高くて、これは1個900円もします。4個交換しますと、すでに本体価格より高くなってしまいますね。まあ、遊びだから・・・。

メタライズドフィルムコンデンサ図4