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華やぐマーチに導かれた私

ANSWER TOUR 新代田 Live CRUSH!

怪物バンド。
Nothing's Carved In Stone ANSWER TOUR 2021-22 

昨年秋に開催された野音公演で、アルバムリリース・ツアーが発表された時の私の感情として、「きっと魂の籠った一音一音にバンドの良さを再実感させてくれるのだろうな」と記してあった。
まさかそのままの通りになるとは。

今回のツアーで引っ提げていたアルバム”ANSWER”は、これまでのナッシングスとは違う面も見られた。 

私にとってのツアー初日、WWWX公演。

根拠はないけれど、ライブ化けを期待して臨んだ。 
こんな勝手に手が挙がるのか!ってぐらいに最高にロックだった。
この時私は、漠然と彼らに限界など存在しないのではないかと思ったりもした。
”もう言うことないから。ここからノンストップで行くよ!”
音を鳴らせることに大きな喜びを覚えた少年のような純粋さを持ったロッカー。
期待を上回り続けてくれるナッシングスは本当面白い。

パワーアップした”ANSWER”を目の当たりにできることがとにかく楽しみだったファイナル、豊洲PIT

良い緊張感がそれぞれの力強い音から伝わった。
登場から楽しそうな村松拓(Vo. / Gt.)の姿が印象的だった。
「すごい楽しい!」
ライブが、音楽が好きなんだろうなと何度目かの確信をした。

冒頭に記した、”怪物バンド”。
WWWXで見た時に例えたくなった表現である。
何となく例えてみたこの表現に意味が宿った。
音源で聴いた時に毛色が違うと思った”8th AL ANSWER”、逆にライブでの仕掛けが気になると思った”ANSWER TOUR 2021-22”。
今度は冒頭の言葉を引用する。”魂の籠った一音一音”。
今までのナッシングスでは想像が出来なかったかもしれないサウンドさえも、これはナッシングスでしょ!と知らないうちに好きになってしまうのは、奏でる一音一音に魂が籠っているからであり、そこに辿り着くのは4人の根本にあるものがやっぱり純粋にロックを、音楽を愛する気持ちそのものだからなんだと思う。
豊洲ではそんな熱い熱量を直で受けすぎたからか、キラーチューンで攻めてくるフェスのステージを観ているようだった。体感時間も40分ぐらい。
一公演一公演を大切に、全力で挑んで積み重ねてきた成果とそこでの気づきが集約されたのが今回だから熱量の高さを感じたし、まるでフェスのように感じてしまったのだろう。

「マスク越しでもみんなの表情を探るのも慣れてきたし前は、伝わってるよとか言ってたけど言わなくても通じ合ってると思えるようになってきた。」

確かに言わなくなった。これはナッシングスに限らずのことでもあるけど、そのことを拓さんは「お客さんとの信頼を実感することができた」と言っていたことがお客さん側としてすごく嬉しかった。

2.27 "BEGINNING 2022 for RULE's"                     新代田FEVER

十分なディスタンスを取った上での開催。
それなのにどんどん距離が近づいている気がした。
心の中で通じあえれば距離がどうだろうとバイブスは高まるし、一つになってしまうんだぜとFEVERが、ナッシングスが教えてくれた。
それぞれが思い思いに身体を揺らしたり、手を挙げながらナッシングスの音楽を自由に楽しんでいるようで最高だった。自由な空間。
ANSWER TOURの裏ファイナルと位置付けられた本公演。
メンバーも心なしか2日前よりも気が置けているようだったな。
「こうやって集まってくれた人たちと一緒に作り上げるのが楽しい。」
個人的ナッシングスのライブあるあるの一つに、知らないうちにお客さんも演者も同じ目線で空間を創造しているような感覚になってしまう、というものがある。
拓さんの一言にまた確信を持たせてもらった。
一層音が直で響いてくるような、他のことは全部忘れて一対一で対峙している感覚が強くなる小箱。
熱すぎるツアーの集大成を目の当たりにしてからのこの日は、そんな感覚がピッタリすぎた。
もちろん、やはり、時間が過ぎるのもあっという間で、そろそろ折り返しかと思ったら「早いもので残り2曲です。」早すぎです。
そのままの通り、”ガチのライブハウスでの熱いライブ”。このフレーズが見合う最高に熱いライブだった。FEVER!
FEVERといえば、拓さんが名前にちなんで「FEVERしてください!」と発した。
元々ボルテージ高まりまくりの自分からすれば任せてくれと言わんばかりの勢いだが、そこから始まった”In Future”がかっこ良すぎた。
この一連の流れでテンション上がらないなんてことは到底ないでしょう、と後から振り返っても思う。
バンドが楽しくて仕方ないというのを近くで見続けられるのが最高に楽しい。
探究心の深い彼らの次の作品も、それを生で観れる日も楽しみだな。

ツアーファイナルの話に戻るが、そこで私は「演る機会が減ってしまう曲もあるかもしれない」と記していた。
でも新代田で拓さんは、「ANSWERの曲たちをここで終わりにするのではなく、これからも大切にしていきたい」と言っていた。
本人も最高傑作だと自負する本作にまた違う場面でも触れることができるらしい。
場数を踏むごとにナッシングスの音として一段と輝きを増していく気が勝手にしているANSWERの曲たちを。

3.1  Live CRUSH!                                                SUPER BEAVER × Nothing's Carved In Stone

ガチなロックバンド同士によるガチすぎるツーマン。
この2組が織りなすステージはどんなものか、そこから生まれる化学反応を待ち侘びた日。
そんな私の期待をそのまま体現してくれたツーマン。
お互いへのリスペクトから絶対負けないという気迫、両バンドの根幹の熱さを目にした。
ここまで記してきた2本に続きまたここでもビシッとロックバンドというものを見せてくれた。
挨拶代わりのようにスタートを切った”Deeper,Deeper”
完走したばかりのツアーの一曲目も飾ったこの曲を、この場でもまた自信を持って、磨きをかけて鳴らしていた。
そこから畳み掛けるように放った”In Future”
今日もナッシングスは変わらず本気だ。オーディエンスの私も高く挙げた掌に力を込めた。
”November 15th” ずっしりと響き渡る最初の音。会場の空気を取り込んだ。
ANSWERツアーのアンコール最後に届けられていたのを通して私は、サビで一気に手があがるのが、最後の盛り上がりをみせるのが好きだと感じていた。
そんなこの曲を序盤に投下。なんだかゾワゾワした。
しっとりと始まったこの曲に誰もがまず取り込まれただろう。
そうして待っていたかのように始まったサビ。
怒涛の勢いできた2曲を受けたさっきまでの感情が蘇るように掌を挙げた。
続いて、”Pride” ナッシングスが信じたロックを、想いをそのままLive CRUSH!の舞台にぶつけていると改めて実感した。
そこから生まれる夢も希望も誰にも奪うことはできない。
そして、”Beautiful Life”
今まで聴いてきた中で一番ロックに聴こえた。これも磨きがかかったからなのか。
磨きはもちろん、これまでの、 そしてこの瞬間のたぎる想いが音に籠ったのかもしれない。
まだまだいけるだろう、”Like a Shooting Star”
ここで一気にビーバー勢のことも掴んだ印象がある。
そこから、”Spirit Inspiration” ”Out of Control”とキラーチューンでさらに攻める。
最後は、”Walk”
ボルテージを高めて、熱かった、楽しかったで終わらせるのではなくて、現在のナッシングスの願いが籠っているであろう”Walk”で締めるところが、また続きを観たいと思わせる何かになる気がした。
真っ向から正当なロックバンドの意地を見せてくれた。

SUPER BEAVER
こちらもやはりガチガチに攻めてくる。
その場にいる一人一人と対峙して直で爆音を届けてくれるバンドだから、終演後の私はなんだか爽快感があった。
渋谷龍太(Vo.)の佇まいから、楽器隊3人の真っ直ぐ来る音から本気が重々伝わってきた。
生音最高だぜとベタなことを胸を張って言いたくなるライブだった。
それぞれが現実を頑張るために鳴らしている彼ら。
一見すると光が眩しく見えそうだが、曲、向き合う姿勢、言葉からお互いもがき続けようなと鼓舞されているような気がした。
ツーマンだけど、この場所に居る人も含めてのイベントだから何マンかわからないと言っていたのが確かにそうだと思えるほどの一体感がそこにはあった。

真っ向からロックを鳴らして挑んでくるところが共通して好きなバンドだからこそ、どこかの点で交わるところがあると思うし、そこに痺れを感じる良い夜だった。


3日間とも違う面も覗けたような気がする。
ツアーファイナルは、とにかく楽しそう。
新代田では、ロックバンドの醍醐味を体現。
Live CRUSH!では、昔からの盟友との久々の対バン。負けられない。
自分たちのスタイルで攻める。
その中でも全くブレていなかったことは、ロックバンドとしてとにかく直球。なんだか誇らしい。

中身が濃すぎてあっという間すぎたというより、本当にいろんな面を見せてくれたという気持ちの方が強い。




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