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特別すぎた野音の情景

9/19(日)Nothing's Carved In Stone "Live at 野音 2021"

今回、抱いた感情は”今回限りしか抱けない”感情だと思った。

たとえ同じアーティストで同じ会場でのライブだとしても全く同じ想いを抱くことはないし、そもそも「今日のライブで感じたことはこの先のライブでも感じることはないかもしれないな」と思うことが中々ないような気もする。

だが、この先もきっと行われるであろう同じ野音公演を目にしてもナッシングスを始め公演に関わる全ての方や集まったお客さんの2021の今の気持ちで臨む野音を通して生まれた感情にはならないような気がして今回の想いは心の中に大切にしまっておきたいと思った。
4人ともこの舞台で音を鳴らせることを嬉しく思う気持ちが出ていた。

「たくさん話したいこと、言いたいことあるけれどそれを言ったらどうしても暗くなってしまうことの方が多いから想いは音楽に込めます。ついて来てください。」というような拓さんの言葉にあったようにナッシングスが鳴らす音には届けたいことがしっかりと込められていて力強かった。
ズシズシと心の奥まで響いてくるその力強い音と秋の野音ならではの雰囲気の相性がとても良くて目の前に広がっている風景のみに身を任せて音を楽しめた。
思い出すたびにすごく素敵な夜だったなと思える。

自分の中に直接響いてくる生音が魅力的なライブハウスでのサウンドとはまた一味違う野音の舞台を作りあげる空の色、気温、風、虫の音など自然が更にサウンドをかっこよくて夢中にさせてしまうものへと彩ってくれる。

台風の影響でもしかすると雨が降る可能性もあった中で夏かと疑ってしまうほどの快晴で迎えた当日。
当日の朝、快晴な空を見て楽しみがすごく膨らんだ。
そして開演時間(17時30分)。薄暗くなった空の下で生音のかっこよさを何度も実感させてくれる痺れるほどにかっこいいサウンドが響き始めた。
”Wonderer”のアウトロでたまたま風が吹いたのでふと空を見上げたら開演当初よりも暗くなっていてもうすぐ日が沈む頃だと思った。時間の移り変わりを肌で感じられるのも野外ならではだなと思ったりもした。
段々と夜が近づくにつれて綺麗にライトアップされる照明、輝きを助長する演出。
生音,野音が創り出す風情に身を任せるには十分であった。

本当に予想外とも言えるほどの快晴で夜空にも4人がとても映えていた。
さすが晴れバンドと称賛できるところでもあるのだが「みんなの想いが伝わって晴れたんだと思う。」と今日という日を待ち望んだ全ての人たちの願いのおかげで素敵な夜を創れたのだと表現してくれた。

その全ての人たちの願いはもちろん、制作に関わる全ての人の本番を迎えるまでの様々な努力が身を結んだ結果、野音での空間を素敵な夜だったと締め括ることができるのだろう。

野音はナッシングスにとって大切な場所であり、まして今回は2年ぶりの念願の開催。
2年分の想い、音を鳴らせる喜び、それらを受け取れる,感じられる幸せが詰まった一夜。
特別に特別を重ねたような夜に、ついこの想いは今回限りしか抱けない感情なんだろうなと思ってしまうのも無理ない話だなと思う。

たくさん歌ってくれて嬉しいという感覚はありながらも野音になびく風のごとくあっという間に過ぎてしまった2時間であった。

次はアルバムを提げたライブハウスツアー。
きっと魂のこもった一音一音にバンドの良さを再実感させてくれるのだろうな。

Nothing’s Carved In Stone ”Wonderer Tour”
6.23 EX THEATER ROPPONGI 



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