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70s British Hard Rock #4【Q-W】

Quatermass - Quatermass : Deluxe Edition (CD+DVD) (2013)

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 70年代の英国ロックバンドがちょっと前から再結成して日本に来たりしてそれなりにニッチな人気もあるみたいだし、アルバムは何度もCD化されてそのニッチな要求に応えるが如く紙ジャケ、発掘ソース、DVD5.1ch盤などと当時はほとんど売れなかったにもかかわらず90年代以降安定的なアイテムとして定着している。まったく不思議なお話で、ロックはそうやって歴史の一部になっていくのだろうと思うくらい。もっとも当時は知られることの多くなかった情報が今の時代ではありとあらゆる部分まで解明されることで、だから故に聴いてみようと思う人も多いだろう。自分もそういうのはある。

 Quatermassの1970年の唯一作「Quatermass : Deluxe Edition (CD+DVD)」がCD+DVD盤で再発された。内容は通常のアルバムにシングル曲「One Blind Mice」とそのB面曲「Punting」の追加。これは昔からレパートワーのCDでも入ってたので特に目立つものでもないが、何故に「One Blind Mice」が冒頭に入っているのかシングルを聞いてからアルバムを聴けと言うような入れ方ではあるが、今の時代なら飛ばせば良いだけだからいいか。アルバムの印象は相変わらず過大評価され過ぎじゃないか?と思うが、それもこれもディープ・パープル/レインボウ絡みの情報が多々流れ、メンバーもその後の活動歴が割とクリアーになってきたことで実力派バンドだと言われてきたからだろう。メジャーグラウンドで語られるとこのバンドは全然面白味が無いけどと思う。マイナー世界の中で語るならばアルバムジャケットの素晴らしさから音のくぐもった感とかやりっぱなし行きっぱなしの歌とかワンフレーズにこだわる曲展開と見せ所はたくさんあって魅惑的だが、大好きです。このハモンドの使い方はもう古臭くて古臭くてこれぞハモンドです、って感じ。

 それで今回のCD+DVD盤では「I'm Afraid Not」というレコーディングセッション曲が中途半端ながらも入ってて苦肉の策だけど、伝説のバンドQuatermassの断片であるものは全部纏めて入れておけ的な意味合いからすればありがたいと言うべきか。それよりも自分的には1974年のライブに驚いた。1974年に活動してたのが驚き。アルバム一枚のバンドでセカンド・アルバムは全然出て来なかったので、当然バンドは解散していたと思ってた。これはもっと追求しないと。メンバーそれぞれのセッション活動と年代を見てホントにやってたのかも知りたいし、そんなライブ音源あるなら全部入れて聴かせろと思うがどうしてこういう中途半端なことするのか、次の商売考えてるとか。「Quatermass : Deluxe Edition (CD+DVD)」はそのライブ曲だけだ。DVD5.1chは自分にはどうでも良いし、それだったら1974年のライブ丸ごと、更に1970年のライブも入れてほしい。どうにも釈然としないリリースな気もするけどこれが精一杯だっただろう。

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 英国B級も含めて70年代のロックの楽しみは音だけじゃなくアルバムジャケットにも表れているもので、どのバンドも個性的なジャケットや面白いものが多々ある。そのヘンで有名なのはヒプノシスやロジャー・ディーン、キーフがあって大いに楽しめる。またレーベル毎の特色もモロに出てくるので、そういう楽しみ方もできる。そんなことで色々な楽しみ方があるけど、アルバムの音が基本で混沌とした時代の産物とばかりにアルバム一枚で消えたバンドの多いこと。しかもそのアルバムが滅茶苦茶カッコ良かったりする。

 ジャケットはヒプノシスの作品で高層ビルの谷間を翼竜プテラノドンが飛び交う素晴らしいアンマッチ感を絵にしたもので、Quatermassのイメージを決定的にしている秀逸なアートワーク。それだけで音のセンスが楽しみになるが、この手のバンドにしてはQuatermassは結構有名で、ディープ・パープル絡みのバンドと語られる。イアン・ギランやニック・シンパー達と一緒に組んでいたメンバーが結局メンバーを加えてトリオ編成のバンドとして世に出てきた。しかもこのアルバムに入ってる「Black Sheep Of The Family」がリッチーのレインボウのファーストでカバーされたり、同じ曲がファット・マットレス(ノエル・レディングのバンドだが)でもカバーされていた。

 音的なもので言えばEL&Pと同じ編成、同じ方向性もあって比べられるけど、もっとハードロック。ピアノ、オルガンと言う鍵盤楽器でハードにギターの代わりにプレイしながら歌もかなりシャウト系。ただ哀しいかな、鍵盤奏者がメインなので普通にアドリブパートに入るとプログレッシヴ色が強くなる面白さがある。歌もハジけ切れていないと言うかB級的で面白い。テクニックはそこそこだし正しく英国の何でもあり的な音だが難しい。中ジャケで見られるバンドメンバーのルックスはそれらしくて良いが、とは言っても英国ロックの中ではかなり評価されているバンド。自分はそこまで聴かないバンドだけど。鍵盤主導のバンドだから。その手のバンドでよく聴くのはグリーンスレイドか。

 今ではCDが再発ボートラ付き。紙ジャケでもリリースされた。元は英国ハーベストからのリリースで、ピンク・フロイドとパープルを抱えていたハーベストからのデビュー作品はかなり期待されたと思う。

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