見出し画像

Iron Maiden

Iron Maiden - Iron Maiden (1980)

画像1

 NWOBHM界で最も成功した、そしてハイレベルなクォリティの作品を生み出すバンド、アイアン・メイデン。ステーヴ・ハリスの才能と執念によって一本のスジが通っているところが現代まで続いていて、それがまたカッコ良い。そんなアイアン・メイデンが世間に衝撃を与えたファーストアルバム「鋼鉄の処女」がNWOBHMの最高傑作か。

 1980年リリース、その前にはシングル「Running Free」でメジャーデビューしているけど、スティーヴ・ハリスの執念は、恐ろしいまでのメンバーチェンジを繰り返しながらもひたすら自分達の音を追求する姿勢がアマチュアの頃から繰り返されて、このファーストアルバム「鋼鉄の処女」の頃ですら流動的なメンバーの制作だった。それでこのクォリティ。

 簡単に片付けられないレベルの作品で、今となっては相当キャリアの長いバンドになったけど、英国ロック好きな人は通っておかしくないバンド。HM的な側面がクローズアップされいるので取っ付きにくいが。アイアン・メイデンに辿り着くのに遠回りしました。イメージがヘヴィメタルでグロテスク感あった。どのアルバムにも登場するエディ君のおかげだけど、飛びつかなかった。勿体ない。しかし、今はかなり虜になっているバンドのひとつです。英国的独特の美しいメロディラインや旋律はいくつもの曲で聴けるし、初代ボーカル、ポール・ディアノのパンクエッセンスある歌声も繊細。アイアン・メイデンの最大の魅力である楽曲のアレンジと構築美の高さ、更にギターソロを含むギターの展開が炸裂してます。

 冒頭の「Prowler」から強烈なリフと展開、そしてギターソロインパクト絶大な名曲で30年近く経っても色褪せずその衝撃を与えてくれます。続いての「Remember Tomorrow」の正に大英帝国でなければ産み出されない美しさはウィッシュボーン・アッシュの「King Will Come」に匹敵する、そして拡大解釈して発展させたスタイルの人気の高い曲。シングル「Running Free」はパンク的と呼ばれるくらいシンプルに迫ってくるシャッフルな曲で、ドラムの生々しさが浮き出て、ポール・ディアノの強引な歌が入るが、シングル向けのシンプルな構成でバンドの姿を上手く表している。アイアン・メイデンのひとつの側面を大々的にアピールして人気を得たスタイルの頂点「オペラ座の怪人」こそスティーヴ・ハリスの意地の集大成。ジェネシスマニアのスティーヴ・ハリスのセンスだろうけど、見事な楽曲。この美しさと繊細さを出しながらバンドの主軸であるHM性を出し、アルバム全編で聴かれるベースラインの凄まじさが特徴的。個性の集団。サムソンで浮いていたブルース・ディッキンソンの歌声すらも後には簡単に織り込んでしまえるくらいの懐の広さを持つバンドで色々な所で凄いを持っている。

 B面もまた美しい曲がひたすら並べられて、完全に大英帝国の音世界が広げられている。ここまで英国らしい音を出していると思わなかったので、聴いた時には結構驚いた。素直にHMバンドと入った人はセンス良いし運も良いと思う。出会えただけでも幸せなバンドでもある。

 アナログ時代とアルバムジャケットが異なっていて、現行CDはあくまでもCDのジャケットが使われている。パッと見ると大して違いがないように思えるのはこのアートワークセンスの素晴らしさ。アルバムジャケットをエディ君で押し通すバンドイメージ戦略も最初から貫いている点も見事。そしてアルバムが40分程度も聴きやすいし捨て曲はないし、録音された音も荒削りだけど、もの凄く生々しいアナログの温かみのある音の録音だから聴きやすいから悪いところが見当たらない。英国ロック史に必ず残すべきアルバム。

ここから先は

18,128字 / 19画像
この記事のみ ¥ 100

好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪