見出し画像

Ratt & Mötley Crüe

Ratt - Ratt (1983)

画像1

 Rattは80年代のLAメタル筆頭格のイメージがあるが、当時はスリリングでカッコ良いリフを奏でたルックスのケバいエアロスミス的なバンドだった。LAメタルと呼ばれたのはその後になってからだから、色眼鏡なしに聴くとストレートに独自のR&Rをやってる。1983年にインディーズでリリースされ、その後メジャーでもリリースされたデビューミニアルバム「Ratt」。今はレアアイテムらしいけど、大抵のレアアイテムは聴くとがっかりするので、本作も例に漏れずレアアイテムだけに留めておく方が良い。いくつかの曲はこの後のRattでは聴けないサウンドがあるのでファンは欲しがるだろうが。

 Ratt独特で良い曲やカッコ良いリフばかりでもないけど、ややマイナー的要素があって意気込んでる感じ。こういう粗野なラフデッサンの作品や楽曲があってファーストでプロ的にレーベルの意向も入って洗練されて成長していくから、余計にインディーズで好き勝手に作った作品は重宝されやすい。ただ、このままでは商業路線には乗れない音ながら、「Ratt」は、もしかしたら全キャリアの中で一番バンドらしいか。「Sweet Cheater」のスピード感は心地良いし、「Back For More」もアマチュアながら響くセンスある。

Ratt - Out Of The Celler (1984)

画像2

 80年代に入り、新たな時代を担うギターヒーローが何人も誕生して、ウォーレン・デ・マルティーニ=ラットのリードギタリストもその中の一人で、今でも活動する地力を持っているギタリスト。ラットのもう一人のギタリスト、ロビン・クロスビーはクスリによって今は亡くなっているが、それも時代がラットを忘れてしまったから。それでも一躍ヒーローの座を感じた人生は幸せな面もあったと凡人ながらに思う。

 ラットはMTV時代のPVのインパクトもあったけど、音的にカッコ良いと思えた曲は「Round And Round」。二つか三つの曲のリフをひとつにして弾いているので複雑になって、コピーするには難易度の高い曲だったギターソロが弾けないで終わる曲はあったけどこれほどリフが弾きにくい曲も珍しい。ウォーレンが一人で凝って作った曲と思うけど、その分カッコ良くて、ボーカルの声域も狭いけど、個性にして上手く歌ってた。それまでの暗いハードロックから飛び出た明るくキャッチーでカラフルなバンドもコンセプト勝ちで、ウォーレンのプレイも力強い右手のピッキングが特徴的だった。単なる速弾きではなく、ここぞと言う時に速弾きをカマしてくれるクールさが良い。

 次のサードアルバム「Invasion of Your Privacy」に入ってるシングル曲「Lay it Down」も同じように変則的なリフだった。このアルバムだと初っ端の「You're In Love」が単純明快なリフでキャッチーな歌メロとPVのインパクトが強かった。古い映画のキスシーンだけを繋いだ名場面集のプロモーション用のBGMな感じで面白かった。

続きをみるには

残り 9,889字 / 11画像
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪