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70s British Rock 【N・O・P・Q】

9:30 Fly - 9:30 Fly (1972)

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 英国の深い森の散策はいつ飛び込んでも面白い発見がある。更に紙ジャケCDやリマスター盤のリリースによってとんでもなくレアなものまでCD化されて、音だけ取ればオリジナル盤を上回る音質にアップされている。それが良いかは別として、売る側もCDが売れなくなってるのであの手この手で考えるし、カタログは多い方がそりゃ有利だと。リスナー側からしても嬉しい話なので別にその商法に騙される事はありがたい話。そうでもなければまずCDではリリースされなかったバンドのひとつがこの9:30Fly(ナイン・サーティ・フライ)です。

 ジャケットのイメージとバンド名でかなり損しているし、実際自分も手に取って一番で買わなかった。やはり、虫やクモはバンド名にするとそれだけで損する。触りたくないと言うか。メジャーになればそれでも良いけど。ジャケットも蜘蛛の巣にかかったハエと意味不明に9時半を示す時計ではワケ分からない。そして今のネット時代に於いてもあまり情報が出てこない。つまり紙媒体の時はもっと情報が少なくて、一体どんなバンドだ?と興味はそそられるモノだった。リリース当時はEmberと言うマイナーなレーベルからリリースされていたがインパクト強かった。

 メランコリックなフォークを中心とした幻想的なサウンドで、エレキギターはアクセント的に入ってきて基本的にアシッドらしいしっとりとした音。フォーク的サウンドの要素が強いけど、A面最後の「Unhinged」はかなりの名曲です。オルガンもメロトロンもフルートもあり、もともとマイケルとバーバラのウェインライト夫婦によるバンドで、そのヘンが作品にも影響出ていて牧歌的な雰囲気すらある。歌はダンナさんの方でいわゆる女性歌モノではない。しかし楽曲によって実にバラエティに富んだ楽曲が多く、B面に入ると更に顕著でハードロック調なサウンドから一気にメランコリックなアシッドフォークに奥様のヴォーカリゼーションが入る。ある意味David BowieやT.Rex的な傾向の見えるサウンドに相通じる。1972年の作品なので、ちょっと遅かったが相当面白い音を出しているので名盤の域に達してしまうだろう。本作品一枚で行方不明となったバンドですが。

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