見出し画像

Paradise Lost

Paradise Lost - Gothic (1991)

画像1

 ロックの歴史の中で金字塔と言われるアルバムもそれほど多くはない。別に誰が決めたワケでもなく、多くの人が何かを語る時のそのアルバムから歴史が変わった事であるかのように語られるだけ。そういう逸話はホント、どこから発祥していくのか、大抵は初めて何々を取り入れた、こんな音は初めて出てきた、と後になってサバスみたいに暗黒の帝王の元祖になる。

 Paradise Lostの1991年二枚目のアルバム「Gothic」は後のゴシックメタルの根源と称されるアルバムで金字塔だ。1991年でこの音なら凄いと言われるのも理解できる。まだ表舞台は華やかな気配が残ってた1991年でロック史は暗黒の時代に入る前。80年代中後半は英国もニューウェイブも盛んになり暗い音もたくさん出ていたから発想はありだが、こういう混ぜ方は誰も思い付かなかった。デスメタルバンドだからこの頃だと普通にアンダーグラウンドの暗いメタルバンド程度だろう。日本のインディーズの方が進んでいたし、Doomは近いスタイルだったが、それでも金字塔を打ち立てたのはParadise Lostの「Gothic」。

 ミドルテンポ以下のリズムで重々しく低音重視のメタリックな音はサバス的だけど、そこに低音声で暗黒サウンドを目指して音を出すのはなかった。明らかにニューウェイブ系の影響。この後しばらくしてインダストリアルメタルも出てきてもっと無機質になるけど、ここではまだ人間が血を流し続けるみたいな暗さがある美学。それがこのアルバムで体現されてデス声になる直前の声と女性ボーカルの対比も使われているし、ここから発展させたのも分かる。だから故このアルバムがゴシックの元祖。

ここから先は

6,638字 / 9画像
この記事のみ ¥ 100

好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪