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Måneskin - Rush! (2023)


2023年といえば何といってもマネスキンの話題に尽きる。

 現代最高にカッコ良いロックバンド、マネスキン。それも驚く事にイタリアから出てきている不思議だが、そこには往年のイタリアらしい雰囲気はさほど見られないので、普通に世界レベルのロックバンドとして見ていられる楽しみがあるから世界は狭くなった、と言うよりも情報ネットワークが整備されて世界中がほぼ均一にカッコ良いものや面白いものを発見出来る環境が整ってきたと言う方が正しいだろう。世界がそのバンドを見つけてくれると言うのかな。自分もマネスキンを発見したのは2022年春先頃だったのでつい最近ではあるが、これだけ若くてここまでロックしてるバンドである事に驚いた。調べていくと70年代の往年のロックバンドからの影響が大きくて、そこに彼らのリアルタイムのバンドのサウンドも入り込み、一部はイタリアン的センスが存分に発揮されているので古臭い音の中に最先端のロックイズムが感じられ、パンクのエッセンスも取り込まれているから刺激的、且つ彼ら自身も世間を手のひらで踊らせているかのような暴れぶりでリスナーを魅了している。

 そんなマネスキンの2023年作「Rush!」はこれまでのサウンドと過酷なまでのワールドツアーの経験値から生まれた多数の楽曲から厳選された音が詰め込まれた現在のところ最高傑作間違いなしのぶっ飛びアルバムに仕上がってて、世界中のチャートを総ナメしているようだ。その結果が秋に行われるアメリカのマジソン・スクエア・ガーデンでのライブ開催に繋がるが、イタリアのバンドでは多分史上初の快挙だろう、しかも英語もあるがイタリア語の歌も存分あるバンドなので世界は良い音を見つけるようになった。今作は先行シングルの「Gossip」でレイジのトム・モレロがギターソロで参加した事が話題となっているが、楽曲そのものもパンチと風刺の効いた強烈なチューンで何度となく聴きたくなるマネスキンらしい楽曲で痺れる。何せギタープレイは往年の古き良きロックバンド風味ながらもフレーズはブルースとは相容れない独自のセンスによる音なので、不思議感も募る事ながらオーソドックスなスタイルには共感を覚えるし、そのセンスの良さはとても20代前半の若者のプレイには思えないほどの才能が迸っている。同じ事は紅一点のベーシスト、ビクトリアにも言えるが、彼女の楽曲センスとベースフレーズの良さがマネスキンサウンドを決定付けている事は一目瞭然ながら、圧倒的なバンドのグルーブ感を出している存在感の大きさが本作でも溢れんばかりに主張しているから聞き所も多い。ドラムにしても正確無比にビートを叩き出しているのは当然ながら、これもまた不思議なことにシンプルながらも妙にグルーブしているのでヴィックとのコンビネーションがソリッドに仕上がってて最高にカッコ良いから驚く。更にその上を超美形男前のダミアーノがクセのある歌声でメロディを歌い上げるから怖いものなしのサウンドに仕上がる。

 どの曲も聞き所満載で、ギタリスト的にも楽しめるし、歌でもバンドでも普通に曲の良さだけでも存分に何度も繰り返し聴いてしまうレベルにある傑作。そして更に熱い。とにかくこの熱さはイタリアならではかもしれないが、しつこいくらいに熱さを歌っている時もあるので惹き込まれていく。アルバム終盤にはそれまでシングルで発表していた楽曲が立て続けに収録されているので、最後まで全然飽きることなく、どころか終盤になればなるほどに盛り上がっていくぶっ飛びの作品なので頼もしいアルバム。これからも強烈に突っ走っていくだろうマネスキンのロックイズムに期待満点で楽しんでいきたい。YouTubeでも各種ライブイベントの模様が続々とアップされているので是非見てもらうとマネスキンのライブの凄さ、ロックイズムの凄さをアルバムとは別次元で体感出来るのでオススメ。


好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪