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Faces #1

Faces - First Step (1970)

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 ロックの系譜ではストーンズの後にリトル・ストーンズと呼ばれたバンド、フェイセスを紹介する節がある。今ではそういう言い方もしないかもしれないが、言い得て妙な部分もあり、こだわりを持っていた頃は「そんなことはない、フェイセスはフェイセスでストーンズの子分じゃない」と言い張ってたが…。いや、なるほどリトル・ストーンズとは上手く云ったものです。もちろん全然意味が違うので子分ではないが。

 ジェフ・ベック・グループから脱退したロン・ウッドがタイミングを見計らってロニー・レインに俺を入れてくれ、と云ってロッドと共に参加することになったスモール・フェイセスだったが、でかいツラした二人が入ったためSmallを取っ払って単なるFacesになったバンド。経緯で云えば簡単そうに聞こえるけど、メインソングライターのスティーヴ・マリオットを失った英国ロック史に名を残すバンドメンバーにしてみればこれこそ救世主とばかりに相乗りしたのかもしれない。そんなファーストアルバムが「First Step」。アメリカ盤では「small faces」と書かれているが、実際にはfaces。レア盤かもしれない。昔レコードを探していた頃はどっちも良く見かけたけど。

 なんというのか、まだあの酔いどれバンド感の強くない出来映えで、割とブルースベースではあるけどカントリーチックなロニー・レインの曲もあり、土臭い感じのロックもあって面白い。特徴的なサウンドは?と云われると困るけど、最初の「Wicked Messenger」で好き嫌いが分かれるかも。これでグイグイと引っ張り込まれる人はこの手のサウンドがマッチする人。ロン・ウッドも弾きまくってるし、ロッドの歌声はもうかっこ良の一言で、グイグイと聞かせてくれる凄さ。他のメンバーは確かに影が薄くなってもしょうがないと思うくらいロックな傑作に仕上がっている。後のアルバム「ロング・プレイヤー」「馬の耳に念仏」の方が有名と云われるが、それは酔いどれロックバンドの真骨頂が出ている意味での評価が強く、自分はこの「First Step」の香りが好き。英国的な、ともすれば凄くB級にもなりかねない音。ロッドがいたからそれはなかったけど。

 ジャケット見ると、ロッドがまだ小さく縮こまってて、後から参入したハズのロニーはど真ん中にいる不思議な関係。そしてスモール・フェイセスの頃のサウンドはまったく表に出てくることがなく、完全に別バンドになってるのも面白い。たった二人の加入なのに音楽性がガラリと変わってしまったバンド。そして名作。いいね。ロックだよ。

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