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Gary Moore #1

Gary Moore - Grinding Stone (1973)

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 ロックを表面だけ見ているととても才能あるミュージシャンがやっているようには見えない時が多い。それこそパフォーマンス性が高い人は特にそう見られるし、実際パフォーマンスだけの人もいるからその違いは見ているだけでは分からない。それではアルバム聴けば分かるのかと言えばそうでもない。アルバムは作って売るものだから本人の才能とは別の話。そのヘンが商品になってくると履き違えてはいけないボーダーラインかもしれないが、そんな難しい事でもなく、単純にミュージシャンの才能が高い人はシーンでも目立つ。裏方で才能ある人も数多くいるので必ずしも目立たないが、ミュージシャンの才能がなければ成り立たない。

 Gary Mooreは十代の頃からロックシーン、ギタリストでシーンに登場して天才少年と謳われた逸材で、その才能を生かして死ぬまでプレイし続けたギタリスト、ミュージシャン。ゲイリー・ムーアはスキッド・ロウのギタリストでシーンに出て来たが、数年でバンドは解体。その後ハタチくらいでThe Gary Moore Bandで1973年に「Grinding Stone」をリリースしている。これがまた時代が時代で英国のロックシーンど真ん中だから、英国ゴッタ煮ロックサウンドで、ロック、フュージョン、ジャズ、ブルースなどのエッセンスを詰め込んだセッション作品。長尺楽曲が幾つかあって、ギター弾きまくりセッションで目立つ。プレイスタイルは後のゲイリー・ムーアと異なり、当時のシーンにありがちなブルースベースにフレーズを組み立てていくギターで珍しく、基本3コードの曲ばかり。音楽的に何がしたかったより、ギターを弾きたいから作られている作品。それでもハタチ頃のアルバムだからどの曲も熱い。若気の至り発散そのままに熱い。曲によってはロリー・ギャラガーを聴いている感覚に陥るくらいで、歌の乱雑さも似ているので楽しめる。

 後のゲイリー・ムーア評があるので、作品の評価は低いが、シーンから見た時の本アルバムの立ち位置は実に高い。正にブルース・ロックからロックシーンへと飛躍する架け橋アルバムと言えるし、その熱気を見事に伝えているアルバム。未熟でバランスの悪い作品でもあるが、このアグレッシブさは凄い。ゲイリー・ムーア好きなら本作の熱気も分かると思うが、ギターフレーズのキラメキが物足りないのは事実。

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