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Rammstein & Lindemann, Emigrate

Rammstein - Herzeleid (1995)

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 初期は超重金属音楽を奏でていたRammsteinのファーストアルバム「Herzeleid」は日本では未発売。1998年にリリースされた如何にも生理的拒絶反応を狙ったアルバム・ジャケットからこのバンドの売るための路線は明確だった。反面、新しい世代のサウンドを出していて超重金属音に加えてデジタルテクノサウンドを混ぜた不思議なもの、そこにドイツらしい超硬質なパフォーマンスとポリシーを持ち込み、サーカス的な炎劇で見るものの心を奪う見事な演出。メタルサウンドに炎劇と神々しい宗教感を取り入れ、更にメンバーはステージのMCなしで無個性無人間性、ただひたすらパフォーマンスで観客を魅了するスタンス。初期から見聞きしていたから知っている事実で、CDを聴いているだけでは分からない側面。本来バンドに対するリスペクトはここまで見て聴いてから言うべきだが、そこまで実践できていない自分のもの悲しさ、思い入れの度合いによる。

 「Herzeleid」を最初に聴いた時は驚いたし、今でも彼らのレパートリーに上がってくる名曲が多数入っている。昔のメタルより更に単純化されたギターリフでひたすら刻み込み続け、そこにインパクトのあるメロディとキャッチーなサビを入れつつ、ボーカルがドス声だから決して軽く聞こえないマジック。更に浮遊する鍵盤のデジタルサウンドがバンドの特徴を強めている。単調なリフとリズムにキャッチーなメロディを被せる至極当たり前のメタルな図式で盛り上がり、またバラードではベースがひたすらに目立ち、ワンパターンフレーズで成り立っている見事な作品。レベルが異常に高いファーストアルバム「Herzeleid」はジャケットは最低だが、中身は名盤の域に入る超重金属サウンドのドイツ産。音もともかくながら初期のライブパフォーマンスも見てもらいたい。ミュージシャン魂とエンターティメント性がどれだけ見るものにインパクトを与えるか分かるし、これこそプロと唸ってしまう。既に20年近くシーンに存在している重鎮だが、まだ今でも楽しませると事に体を張っている集団、Rammstein。

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 インダストリアルメタルと言うジャンルもあり、日本語では産業的、工業的だから、要するに無機質の意味か。言われれば納得するが、最近の細かいジャンルの単語はよく分からない。今回紹介するラムシュタインも久々にファーストアルバムも良いと。このバンドは凄く進化していて、今や超重鎮扱いのバンドでもあるし、音はやはりヨーロッパのバンド、ドイツのバンドで荘厳さを増している最近の傾向。そんなラムシュタインの最初のアルバムを見直してみよう。

 1995年リリース「Herzeleid」は未だ日本盤がリリースされない傑作。もう13年も前と驚くが、自分がラムシュタインを知ったのは多分1998年頃でちょっと遅かった。映像を見て楽しむバンドで最初はDVD「Lichtspielhaus」を見て楽しんだ。何度も見て新しい音世界を満喫しながら刺激を受けました。「Lichtspielhaus」はセカンドアルバム「Sehnsucht」のツアー時を収めたDVDで、まだファーストアルバム「Herzeleid」とセカンドアルバム「Sehnsucht」の曲しかなく、初期の新鮮さが楽しめる。それでもスタジアムでやってるから初々しさはなく、既に貫禄たっぷりではあるが。

 「Herzeleid」は屈強な男達のバックに花のアップと気色の悪い、いかにもホモっぽいジャケットで、アメリカでは違うジャケットでリリースされていた。こういうブラックなジョークを本気でやれる所が面白いし、基本的にラムシュタインはコミックバンドでエンターティナーだが、最初期からメディアにそれをアピールする事も難しかろう。それをジャケットで表現したヘンな奴ら。

 しかし、中味は凄い。最初からアタマ振ってしまう超金属的なメタルサウンドで、ボーカルは重低音ボイスで無機質なデジタルビートととにかく燃える。前半の楽曲群の激しさとノリ具合はとんでもないスケールで、とても新人バンドのファーストアルバムと思えない出来映え。中でも「Asche Zu Asche」はキラーチューン。ライブでもマイクスタンドに火を点けながら歌う演出だが、燃えるリフとキャッチーなフレーズによる歌メロ、鍵盤が白音符を鳴らし続けて荘厳な雰囲気を出しつつ、単調なギターの激しいリフが繰り広げられて宗教的に盛り上がる。炎を使ったステージングも入るので、正にゾロアスター教のように火を崇めながら陶酔できる環境が構築される。続けて演奏される「Seemann」はベースのリフレインが印象的なバラードで、ライブは観客席にゴムボートを出してメンバーが乗っていく演出も見られた曲。アレンジは超ヘヴィだが、楽曲、メロディラインのセンスは素晴らしく、ポップスターが可愛くアレンジして歌っても十分に通じるクオリティ。ラムシュタインのバラードは凄く上手くて美しい曲が出てくる。やはりヨーロッパ人の成せる業か。

 「Du Richst So Gut」もキャッチーで燃える。思い切り単純にプレイして、アレンジは鍵盤を入れて、デジタル要素も織り込んでいる新しさもあるし、バンドコンセプトがきっちりしている魅力的なバンドになっている。そこにコメディも入るから余計に楽しめる。まず映像を見てインパクトを楽しんで、音で二度美味しい。

 先日DVD「Volkerball」をリリースして今は一段落しているので、また活動再開を楽しみにしているけど、いつの時代も驚かせてくれるパフォーマンスが準備されているのでじっくりと機が熟した頃にまた見たい。

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