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Jazz Vocal

Alexis Cole - You'd Be So Nice To Come Home To (2011)

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 最近はジャズ歌ものを選ぶのに悩む事なくアルバムジャケットで選んでいる。元々中身はさほど違いを理解できないので、心地良いかだけで合わないモノもないし、普通に聴ける範囲が多いから気分の時には無差別に漁ってる。その中でも好みに当たると嬉しい。

 女性ジャズボーカルのAlexis Coleの2011年の作品「 You’d Be So Nice To Come Home To」。そう言えばいつもセクシーなジャケットで心ソソられる作品が多いけど、「 You’d Be So Nice To Come Home To」では(自分は知らないけど)著名なスウィングジャズバンド、One For Allと一緒にやった、ふたつの大型アーティストが合体した作品で話題になったが普通に聴いても素晴らしい作品。自分の好みど真ん中の音で、アレクシス・コールの舌足らず的な歌声に加えてバックのスウィング感は正にジャズ感で良い。それでいて現代的。日本のEgo Wrappin’のような感覚になる雰囲気があるから、純粋にスウィングジャズボーカルアルバムと言い切れない。

 ジャケットが、ヨーロッパの黒電話ならもっと雰囲気出たけど、プッシュ式の公衆電話でも雰囲気出ているから見事。何気ない一コマを切り取ると芸術的なショットに見えるから面白いセンスで素敵です。中身の歌も音も素敵でごきげんなスウィングを満喫。

Billie Holiday - Strange Fruit (1939)

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 都会の気ままな暮らし、とは言わないけど遊ぶ気になれば遊ぶ所に困らないのが都会の良いところ。普段は都会の喧噪から離れたくてリラックスしたいけど、ほとんどのウィークディはどこかにいる。でも最後に落ち着くのはジャズやブルースの流れるショットバー。どの街でも必ずそういう看板はあるので、生演奏もあればレコードやCDを流す場所もある。JBLでそれほど大きな音でなく流すジャズも味がある。当然ハードバップやオーケストラではなくジャズボーカルが良い。若い頃はそういう雰囲気が好きで適当にジャズヴォーカルを入手して部屋で流していたけど店には敵わない。それに気付いた時から家では聴かなくなった。

 ジャズヴォーカルはかなり古い部類で1930年代から40年代に盛んになった歌もので、キャバレーソングと似て非なる世界だった。ビリー・ホリディの「奇妙な果実」は有名な作品とタイトル。

 ビリー・ホリディの歌声の素晴らしさ。魂の叫びと言うものの、この人の歌は感情、情熱そのもの。割と不幸な生活を送っていたけど、それが故に歌の表現は凄い。「奇妙な果実」でも伝わるが、最近のCDは音が良いので低音から生々しくリアルに録音されている彼女の息づかいまで聞こえる。そういう生の空気が今の時代には出せない良さで、1930年代はマイク一本で全て録音してたから凄い緊張感で真剣勝負になる。後は「All of Me」が好きで、ビリー・ホリディも歌ってる。「Summertime」や「Georgia on My Mind」もメジャーだけどこの人がメジャーにしている。ジャケ写真見ても古いけど綺麗な人だしピュアだ。

Carla Bley & Paul Haines - Escalator Over the Hill (1971)

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 ピンク・フロイド人脈は意外な繋がりをもたらす。メンバーチェンジもなく完結しているので、交流関係が広くなかったが、60年代から英国のアングラでプレイしてたからヘンな交流も納得する。ニック・メイスンのソロアルバム「空想感覚」を取り上げた時に出てきたカーラ・ブレイの名盤「Escalator Over the Hill」が気になった。

 1971年にリリースされた「Escalator Over the Hill」は製作に1968年から71年の3年間を要した二枚組大作。ところが70年前後はロックの世界では激動の時代で、3年も時間掛けてたら陳腐化してしまう。カーラ・ブレイはフリージャズ系統なので常に前衛姿勢なのでこのアルバムがリリースされた。

 「Escalator Over the Hill」はもの凄いプログレです。フリージャズの要素は大きいけど、基本的に大作の名の通りにジャズベースのオペラアルバムで歌で展開していくが、流れていく音楽が退廃的で前衛的なフリージャズフォーマット。静かに流れてトロンボーンやサックス、トランペットがノスタルジックな雰囲気を出してる。その中にジャック・ブルースやジョン・マクラフリンの新進プレイヤーがハードに登場してくる。両名ともロックよりもジャズの方が大きい存在だった。

 その他のフリージャズ系のメンバーは名前を聞いた程度だが、カーラ・ブレイの存在やプレイすらも知らなかったから、まだ自分の聴いている領域は狭いと認識したアルバムです。ヘンなプログレ好きな人は「Escalator Over the Hill」も斬新な発見のあるアルバム。

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好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪