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  • 2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く

    『Rockin’on 2020年3月号 2010-2019 究極の100枚』を順番に聴いていく企画です。

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2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~9.David Bowie『★(Blackstar)』~

70年代、80年代のデビッド・ボウイは好きだった。カルトヒーローだった70年代、ポップ路線の80年代。両方ともかっこよかった。世間的な評価はさんざんだった映画『ビギナーズ』の主題歌『Absolute Beginners』も大好きだった。90年代以降の彼の音楽はあまり聴いていない。 このアルバムは結果的に彼の遺作となった。70年台とも、80年代とも違うサウンド。より実験的なサウンドだ。正直いって、一聴して好きになるタイプの音楽ではない。ジャズっぽさもあり組曲のような構成の表題

    • 2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~8.Beyonce『Lemonade』~

      天下のビヨンセである。泣く子も黙るビヨンセである。特別ファンでなくても、ビヨンセの曲1曲も知らないという人はそんなにいないだろう。いつぞやのサマソニでみた、ビヨンセはやはりエンターティナーとして圧倒的な存在だった。(調べたら2009年だった。) そんな先入観はいったん捨てて、聴いてみた。やはり、圧巻である。ソウルフルで力強いボーカルは、他の追随を許さないものがある。私はもともと、この手の音楽は得意分野ではないけれど、そんな私でさえ、一聴して好きにさせてしまうだけの歌の力があ

      • 2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~7.Vampire Weekend『Modern Vampires Of The City』~

        ヴァンパイア・ウィークエンドといえば『A-Punk』のPVで、太鼓たたいてるお兄ちゃんたちというイメージ。いわゆる、ロック ミーツ カリビアンミュージックという感じの音楽。 当アルバムもやはり、その延長線上にある、予想通りの音。悪くはないんだけど、そうインパクトもない。前作『Contra』、デビュー作『Vampire Weekend』と比べて、本作が出色の出来かと言われれば、そうでもない。 なんか、ネガティブになってしまったが、基本的には好きなバンドである。でも、全2作が

        • 2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~6.Arcade Fire『The Suburbs』~

          アーケードファイアは知っている。知っているというか、このアルバム10年前に聴いていた。この10年間の洋楽をほとんど聴いて来なかったので、それを復習しようという企画なのだが、2010年はまだギリギリ洋楽を聴いていた時期で、このアルバムは結構聴いていた。 10年後に改めて聴いてみて思うのは、こんなにポップだったっけ?ということ。いや、もともとポップはポップだったんだけど、いわゆるインディロック臭さがあまり感じられないなということ。私の中でのアーケードファイアの位置づけは、R.E

        2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~9.David Bowie『★(Blackstar)』~

        • 2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~8.Beyonce『Lemonade』~

        • 2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~7.Vampire Weekend『Modern Vampires Of The City』~

        • 2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~6.Arcade Fire『The Suburbs』~

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        • 2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く
          10本

        記事

          2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~5.Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』~

          正直、またきついの来たなという第一印象。『ヒップホップの新王者』と呼ばれているそうだが、私には全然その良さがわからない。ヒップホップにソウル、ファンク、ジャズの要素も取り入れた、所謂、ブラックミュージック(人種で音楽のジャンルを括るのは嫌いだが、ここでは敢えてこの言葉を使う。)のデパートのような音楽だなとは思う。 だけど、なんか心に響くものがない。同じヒップホップでもカニエウェストは、まだすんなりと聞くことができたが、こっちはただ退屈に聞こえてしまう。 例によって5回は、

          2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~5.Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』~

          2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~4.Billie Eilish『When We All Fall Asleep Where Do We Go?』~

          さて、ビリーアイリッシュである。予告編でもふれたように、この連載を始めようと思ったきっかけを作ったアーティストだ。 映画のエンドロールで、初めて『Bad Guy』を聞いた時、SoundHoundで曲名を調べてみたら、ビリーアイリッシュとありびっくりした。最近の洋楽に疎い私にさえその名前は聞こえて来ていた。「世界中のティーンから絶大な支持を集めるポップスター」として。ところが曲自体は聞いたことがなかったので、どんな曲うたう人だろうと思っていたら、これである。衝撃を受けた。ティ

          2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~4.Billie Eilish『When We All Fall Asleep Where Do We Go?』~

          2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~3.Kanye West『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』~

          2009年のMTBアワードか何かの授賞式で、カニエウェストがテイラースウィフトのマイクを奪って「ビヨンセこそこの賞に相応しい。テイラーなんか引っ込んでろ。」(実際はそこまでは言ってない。)みたいなことを言ってから、カニエウェストが嫌いだった。 で、その翌年にでたこのアルバムは聴いてない。ちょうどはやりの洋楽についていくのを諦めかけたころだったのと、もともとヒップホップ系の音楽が主戦場でなかったからである。 で、このアルバム。先入観なしに聴いてみた。「カニエってこんなにポッ

          2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~3.Kanye West『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』~

          2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~2.James Blake『James Blake』~

          困りました。私の琴線に全く触れません。暗いトーンの楽曲にくぐもったボーカル。いやいや、こういうアルバムは第一印象はあまりよくなくても、何回か聞くうちにじわじわと良くなっていくもの。そう言い聞かせて、5回は聴いてみようと思いました。 で、5 回聞いた感想。ごめんなさい。やっぱりよくわかりません。 こんな企画を始めた理由のひとつは、食わず嫌いをなくして、自分の音楽の興味の幅を広げたい。そう思ったからです。ロッキン・オンがこのディケイドの100選に選んだアルバム。多くの人が絶賛し

          2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~2.James Blake『James Blake』~

          2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~1.Daft Punk『Random Access Memories』~

          ダフトパンクはもちろん知っている。それほど聴いてきたわけではなかったが、さすがに『One More Time』は知っている。ペットショップボーイズよりはもう少しクラブサウンドよりのテクノポップデュオというのが、当時の私の認識である。 で、本作である。 一聴して思ったのは、『むっちゃ普通やん』である(いい意味で)。もともと非常にキャッチーなエレクトロサウンドのユニットだとは思っていたが、それでもどこか尖がっている部分があって、テクノ少年やクラブミュージック好きのための音楽とい

          2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~1.Daft Punk『Random Access Memories』~

          2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く~予告編~

          この10年ほど、洋楽というものをほとんど聴いてこなかった。いや、聴いてこなかったといえば嘘になる。Spotifyも有料会員になっているし、洋楽自体は、1日数時間聴いている。しかしそれはほとんど、80年代、90年代のロックばかりである。正確に記せば、この10年ほどの洋楽というものをほとんど聴いてこなかった。 なぜ聞いてこなかったかというと、忙しかったというのもある。人間忙しいと、新しい音を開拓しようという要求は乏しくなり、慣れ親しんだ音を聞きたくなるもんだ。単に年老いたのかも

          2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く~予告編~