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落語形式で考えよう;報道されてる品質不祥事はマネジメントシステムで防げるってホント?

【第四十二回】  購買と業務委託-後編


熊さん 「8.4.3は、外部供給者に対する情報、って標題を持ってヤスね。アレ、一行目に外部供給者に伝達する前の事が書いてありヤスね?」

大家さん 「ウン、伝達する前に要求事項が妥当であることを確実にしなければならない、ってことが書いてあるな。だけど、伝達内容は設計や開発部門や技術部門が決めることだろうし、それには生産部門や検査部門が関係する事柄も含まれるよな。だから、買い手としても売り手の中で確認がされているか心配になるとISOの委員達が考えたんだろうね。」

熊さん 「それで、決めたことが妥当なのか関係部門が確認して、トップが関与して決めてくれって事で、確実にしなければならない、って言ってるンでガンスか。ダレのためかって言えば買い手のためだ、ってワケで。伝達事項はかなり具体的に六項目挙げているようでヤスな。」

大家さん 「ああ、そうだね。ただ、この訳の『次の事項に関する要求事項』ってのは意味が伝わりにくいと思うのでな、ここは『次の各事項のための要求事項』ってのに置き換えた方が良さそうだ。」

熊さん 「なるほど、そう置き換えた方が分かりやすいでヤンスね。c)の力量の要求ってのは普通の購買でも伝達が必要なんでスカイ?」

大家さん 「いや、ここに挙げている六項目は要求する事が必要の場合ということで、力量の要求の伝達は業務を委託する時は必要だけどな、単なる購買の時は購入先の管理の評価の一環で評価して済ますことが多いと思うよ。」

熊さん 「そうでしょうな。d)の相互作用、ってのはなんのことでヤンス?アッシにはよく分かりゃしませんでヤンスが?」

大家さん 「ああ、これかい?これは原文ではインタラクションって言っていてな、どの供給者のどの部署、あるいは、ダレと接触して情報をやりとりをするかを明確にすることを求めているんだ。これは特に業務委託する時に、予定外の事が起こって相談することが必要になったときなどに、責任のある情報の取扱をさせるために大事になるんだ。」

熊さん 「アッ、なるほど。e)に外部供給者のパフォーマンスの管理及び監視って言ってヤンスけど・・・。」

大家さん 「これはな、一件ごとの受入検査とは別に、外部供給者の信頼性の実績の確認をするための事を言っていてな、普通の購買の時は相手のプロセスがどうなっているかは相手の企業秘密に守れられていて立ち入ることは認められないことが多いんで、実績のレビュー以外にはできる事は少ないかも知れないが、」

熊さん 「あ、そうか!」

大家さん 「業務委託をする場合には買い手に約束した事の少なくとも一部を外部に委託しているんで、委託した業務がキチンと行われていることを定期、不定期に立ち入って確認する必要が委託元側にあるので、立ち入る時に委託した業務の範囲内で外部供給者の協力を得るために、立ち入ることを予め伝達しておく必要があることを考えての事だと思うよ。」

熊さん 「そうでヤンスか、普通の購買を含めた全部のケースで立入が必要というワケではないんでヤスな。必要か必要でないか、売り手の品質マネジメントシステムの信頼性に関する説明責任性を考えて判断しなって事ですな。その意味では、f)に言ってる事も同様って事でヤンスな?」

大家さん 「そうだな。」

熊さん 「これまでの品質不祥事の事例の話しでも、外部委託のマネジメントの失敗で不祥事を起こした事例がありヤシタな。もっと真面目にISO9001を理解しとけば防げたようでヤンスね。」

大家さん 「ウン、購買や委託の実務者じゃなく、管理者の理解が必要だったんだな。」

熊さん 「ところでよぅ、外部供給者がISO9001の認証をゲットしてたら、8.4.1の『外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,要求事項に適合していることを確実』にした、って言って良いんでヤンスね?なんせ、ややこしい要求をクリアしてるってカネを使って第三者機関に認めもらっているンでヤスよ。」

大家さん 「ウーン、悩ましいところだな。ISO9001に認証は顧客要求事項を実現する能力に関係する品質のマネジメントシステムの適合性を認めているんで、必ずしも顧客要求事項を実現出来ると認めているワケではないんでな。」

熊さん 「だって、現場も立ち入って審査をしてるんでガショウ?」

大家さん 「それは間違ないけどな、第三者機関が見ているのはよその企業の現場だ、同じ業種でも企業にはそれぞれ狙い目は違うだろう?だから、外部供給者の選択のための入り口としては使えるだろうけどな、出口としてはISO9001認証に頼るのは正しいやり方とは思えないよな。」

熊さん 「入り口ってぇのは適切でないと思われる外部供給者をふるい落とすことで、出口は適切だと思う外部供給者を決めるって言うことでヤンスな?」

大家さん 「ヤッパリな、狙っている製品を実現出来ると言うことを自分で確認して、その上でそれが偶然でなく実際の納入でも継続出来る安心感をISO9001適合性認証で確認するということが正しいやり方じゃないのかな。」

熊さん 「あ、そうか、認証機関がISO9001認証で見てるのはよその製品でヤンスからね。」

大家さん 「そうなんだ、特に設計・開発を含む事業の場合は、技術の要求内容とレベルが発注者それぞれで違うだろうから、ISO9001認証を得ているってことだけに頼るわけには行かんとワシは思うよ。」

熊さん 「よく分かりヤシた。エーと、これで8.4は終わって、次はいよいよ生産の事になりヤスね。」

大家さん 「そうだな。キリが良いから、この先は次の機会にしようじゃないか。

 (次回に続く)

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