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落語形式で考えよう;報道されてる品質不祥事はマネジメントシステムで防げるってホント?

【第三十三回】  品質マネジメントシステムを支える制度の質


熊さん 「エーと、7.1のどんな資源が必要かってぇ話しはここまでで、次は資源をどう扱うかってことに移るようでヤンスけど、最初に出てくる力量って事でガンスが、力量ってぇ普段あまり聞かねぇ言い方でヤンスね?」

大家さん 「うん、そうだね。日本の品質管理では長い目で仕事を考えていたんで、人の能力を伸ばすために社内の教育を重視してきたんだけどな、ISO9001は目先の買い手の品質要求の実現の説明責任に狙いがあるんで、先の効果を狙った教育っていう事でなく、今その仕事をキチンとできる実力を重視した人の配置をしていることを説明する事を重視しているんだな。」

熊さん 「なるほど、だからc)で証拠として文書に残して顧客に見せることができるようにしておく事を求めているんでガスね。」

大家さん 「そうだね。7.3の認識ってのも初めは、何だ、と戸惑って会社のスローガンを作って覚えさせたこともあったようだがな、品質方針や品質目標の理解が少しずつ深まって、担当している部署や仕事の事だと分かってきて、顧客に理解してもらうという目的を考えて指示書の内容の充実に繋がってきているように思うよ。」

熊さん 「7.4のコミュニケーションも、勝手気ままに伝達していたら内にも買い手にも混乱の元になりやすンで、当たり前の事でヤンスね。」

大家さん 「7.5の文書化した情報ってのは、情報の文書化と言い換えた方が理解しやすいとは思うんだが、日本の中で理解が正しく行われてこなかった ように思うんだ。」

熊さん 「どういうことでガンス?」

大家さん 「インターネットを見ると、業務の明確かつ効率的な枠組みができるとか、業務に一貫性が与えられるとか、あるいは教育訓練の基礎となる、などのことを挙げて、適切な文書化が不可欠の要素だと言う解説がみられるけど、文書化って言うことを正しく理解していないように思うんだ。」

熊さん 「何ででヤンスか?」

大家さん 「文書化って言葉は文にするって事だと考えたらそうも考えられるけど、元のドキュメンテーションって英語には、証拠に残すために文書にするって意味があるんだ。証拠として調べたいと考えるのは誰かって考えると、ISO9001は買い手の要求事項を実現する能力を保有しているという説明を行うためだから、さっき言ったような自分の利益のためが直接目的ではないんで、文書化しなけりゃならない範囲が変わってくるハズなんだ。」

熊さん 「そうなんですかい!」

大家さん 「買い手のための要求と考えりゃ、7.5に書いてあることは当たり前だと分かるがな、自分のためと誤解すりゃ、なんでそこまで言われなきゃならないんだって反感を持つことになることがあり得るって思うよ。」

熊さん 「原則のところをキチンと押さえておくことが大切だって事でヤンスね」

大家さん 「7.5はいろいろ書いてあるけど、今言った原則をベースに読むと、アーなるほどと腑に落ちてくると思うな。ただ、文書化した情報って言葉はなんだと思うかも知れないんで、チョット説明をしとくとな、」

熊さん 「そりゃぁありがてぃこってす。」

大家さん 「もともと品質の管理の話し仕様とするってえと、クチで説明してもなかなか信用してもらえないから、こんな風に指示をだしていますとか、結果はこんな風に記録に取らせて指示と合うことを確認していますとか文書を見せて説明するよな。」

熊さん 「アッシの仕事でも親方からちゃんと記録を取って見せろって言われていヤス。」

大家さん 「でな、指示書も記録も紙で作るとは限らないので、両方を文書化した情報っていうことにしたんだ。」

熊さん 「それじゃぁ指示書と記録を区別出来なくなるのとチャイますか?」

大家さん 「それで、区別をするために、指示書を言うときは維持する文書化した情報、記録を言うときは保持する文書化した情報って言うことにしているから気をつけてな。」

熊さん 「なんで、維持と保持なんすか?」

大家さん 「指示書の方は状況で指示を変えなきゃならんので、メンテナンスをするという意味で維持って言ってるのに対して、記録は証拠とるモノだから変えちゃならんだろう、もし変える必要があったら見え消しにして変えたことが分かるようになってなきゃあ証拠としての価値がないんだ。」

熊さん 「よく分かりやした。」

大家さん 「7.5.2に適切性及び妥当性に関する適切なレビュー及び承認って書いてあるがな、これって見逃されやすいことだから気をつけたらいいよ。」

熊さん 「どういうことでやんすか?」

大家さん 「計画をさせていますからご安心下さいってお客に言ったってお客は簡単に安心出来ない、マネジメントが責任を以て内容をチェックして承認する仕組みを作って動かしてなきゃならないよ、ってことなんだ。」

熊さん 「そういや、大家さんが説明してくれた不祥事の事例の中に、計画作りを担当者に任せっぱなしにしてマネジメントが見てなかったために不祥事の発生を防げなかったという事例がありやしたね。
いろいろ話してくれてありがとさんです。取りあえず今日はここまでにさせてもらいヤス。次回は第8条の運用、ってことについてお願いしヤス。」

大家さん 「ああ、良いよ。またな。」

 (次回に続く) 

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