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落語形式で考えよう;報道されてる品質不祥事はマネジメントシステムで防げるってホント?

【第五十一回】 品質マネジメントシステムの改善-中編


熊さん 「じゃあ、10.2の事でヤンスけど、不適合って8.7でなんか言ってなかったでヤンした?」

大家さん 「ああ、言ってたよ。8.7じゃあ不適合なアウトプットはちゃんと処理をして買い手に迷惑をかけないようにしなきゃいけないって事を言っていた。だけどその時、不適合な状況をどう処理しなきゃいけないかはまだなにも言ってなかっただろう?それで、10.2で取り上げていると言うことなんだ。」

熊さん 「なるほどな、不適合なアウトプットが出た時にゃ、買い手に迷惑をかけないようにそのアウトプットをどうするかとと言うルールが要るのは当然として、どうしたら不適合な状況が起きないようになるかを考えるルールもなきゃ将来の買い手から信頼されないって事でヤンスね。」

大家さん 「しかも、不適合な状況は技術的な原因があって発生する事が多いけど、その奥に業務を管理、つまりコントロールするためのマネジメントシステムがあって、そこに原因があって不適合が起こる事になったんだ。それで、マネジメントシステムというルールの問題点をハッキリさせて是正する事が必要ってワケなんだ。」

熊さん 「奥が深いでヤンスな。」

大家さん 「うん、そうだな。」

熊さん 「ところで大家さん、10.2.1のa)に書いてる不適合の対処ってぇことは8.7で書いている事の焼き直しに見えるンでガスが、違いヤスか?」

大家さん 「いや、8.7で言っているのは不適合が起こったアウトプットで、ここで言っているのは不適合な状況、原因の事だよ。」

熊さん 「例えば、検査結果を偽って検査報告書を作っていたという内部通報があったという不祥事が報道されていたじゃない。アレに当てはめて説明してみたらどうなりヤス?」

大家さん 「あのようなケースなら、直ぐに状況を確認して、不正な検査報告書が作成された行為を確認してそれを修正し、正しい検査報告書に修整して買い手に通報しなきゃならないし、製品の回収や買い手の処置の手助けなどをしなきゃないかも知れないな。」

熊さん 「検査成績書って、担当者が作ったモノがそのまま発行されるモンなんでヤンスすか?」

大家さん 「いや、当然チェックされるハズだ。検査報告書のチェック体制がお粗末だったために担当者の作った検査報告書がチェックされずに発行されたことが分かったらチェック体制を正しくしなきゃならん。こう言ったことが10.2.1のa)が言っていることの一つの形だと思うよ。」

熊さん 「じゃぁ、10.2.1のb)が言ってることを当てはめたらどうなるんでヤス?」

大家さん 「そうさな、どうして検査担当者あるいは検査担当部署が検査成績書を偽装せざるを得ない事に追い込まれたかを調べると、担当者が面倒だった、なんてこともあるかも知れない。だけど、検査規格が実際の品質と合わないけど開発部門からは買い手の実際の使用で問題がでないはずと言われ、しかも納入仕様の変更の申し入れを営業から断られ、仕方なく検査部門が折れて検査結果を曲げて検査成績書を作っていたなんてことが分かることもあるかも知れないんだ。」

熊さん 「ありゃま!虚偽の検査成績書の問題が、実は別の問題をえぐりだすって事も有るって事でヤンスね!」

大家さん 「さらに、なぜ品質仕様と実際の品質が合わない原因を調べ行くと、品質仕様を設定するときに、十分な評価を行わないで少数のサンプル評価で決めたために、品質の分布の端の方の値を中央値と間違って仕様を設定したために、検査結果の実績が検査仕様と合わなくなったが、今更買い手に言えないから、検査部門が検査結果を曲げてつじつまがあうようにさせられていたという事があるかも知れないんだ。」

熊さん 「ヘエヘエ」

大家さん 「また、事業の途中でコストダウンなどを目的にプロセスを変更したためにアウトプットの品質分布が少しずれたんだけど、買い手でのパフォーマンスには影響しないはずだと開発部門が言うんで買い手には仕様を変更しないまま黙って変更していて、検査部門に検査結果を曲げてつじつまがあうようにさせていたというような事が有るかも知れない。」

熊さん 「へえー、まるで推理小説を読んでるような感じがするでヤンス。」

大家さん 「技術問題を考えるだけでなく、こんな風なマネジメントシステムの問題を考えることは、その結果がその当初の問題だけでなく、そのマネジメントシステムの要素が関係するいろんな局面を確認するきっかけとなるんで、効果が大きいのだよ。」

熊さん 「b)の3)に書いてる『類似の不適合』って言うのは、技術的に似てると言うことじゃぁなく、マネジメントシステム的に似てる不適合って考えるのが正しそうでヤンスね。」

大家さん 「そうだと思うよな。」

熊さん 「そんなことが分かってくると、10.2に書いてることは理解出来そうでヤンス、記録の要求も売り手の事を考えての要求じゃぁないってぇことも。」

大家さん 「そうかい、そうかい。」

熊さん 「10.3に書いている『継続的改善』って事についちゃ、さっき言ってくれたことで分かりヤシたけど、『継続的』ってぇことは、四六時中改善しなきゃって事でヤンスか?チョット行きすぎじゃぁありやセンか?」

大家さん 「この原語は四六時中を意味する『コンティニュアス』じゃなく、時々を意味する『コンティニュアル』だから安心しな。」

熊さん 「そうでスカイ。いずれにしろ、マネジメントシステムで品質を考えるってぇことは意味が大きいんでヤンスね。」

 (次回に続く)

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