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落語形式で考えよう;報道されてる品質不祥事はマネジメントシステムで防げるってホント?

【第四十四回】  生産活動とサービス提供活動の実行管理のマネジメントは-中編


熊さん 「f)の言ってる事がチョット分かりにくいんでヤンスが、説明しておくれヤス。」

大家さん 「うん、ここは悩んでいる人がいるって聞いたことがあるな。製品の実現過程では過程ごと、あるいはその過程の後の段階で検査や測定をして確認していくことが原則だけどな、工程によってはその工程以降、最終工程になっても検査や測定ができない場合があることがあるのだよ。」

熊さん 「そういや、アッシらの仕事でも、基礎のコンクリート打設なんか打設した後の強度の計測を要求されたって困ってしまいまっさぁ。」

大家さん 「でも基礎の強度は大切だろう?どうしてるのだい?」

熊さん 「いやね、ソン時は使った打設前のコンクリートを抜き取って固めて、そのサンプルの強度を計ってもらってまっさぁ、基礎そのものじゃないけど。」

大家さん 「そう、それだよ。それが『製造及びサービス提供に関するプロセスの,計画した結果を達成する能力について,妥当性確認を行い,定期的に妥当性を再確認する』って事の一つだよ。」

熊さん 「そうでヤンスか。やり方がキチンとしていたということが言えたら、結果を測定出来ない場合でも買い手には安心してもらえるってぇワケですな。」

大家さん 「そうなんだ。」

熊さん 「g)に『ヒューマンエラーを防止するための処置を実施する』ってありヤスが、バカよけをしなきゃなんねいと言ってるンでヤンスか?」

大家さん 「ヒューマンエラーというのは、熊さんの言うようにうっかり忘れたり、間違えたりという人的な錯誤で起こることを言うんだな。ISOでは力量の要求のマネジメントの中で明確に取り入れた要求事項に含まれているという認識があったんだけど、力量だけではカバーしきれないリスクをマネジメントシステムとしてどう管理するのかについて議論があって、g)の要求が残されたと言うことらしいんだ。ただ、マネジメントシステムの要求だから、必ずしもバカよけ設備などが必要ということではないとワシは思うんだ。」

熊さん 「じゃぁどうすれば良いンでヤンス?」

大家さん 「元々マネジメントシステムってのは、指示と確認をする仕組みだから、その正しい指示と丁寧な確認の仕組みがあったらヒューマンエラーは相当防げると思うよ。」

熊さん 「安全作業にはヒューマンエラー防止設備が必要なんとチャイます?」

大家さん 「もちろん、作業安全などのためのヒューマンエラー防止設備は必要だがな、それは作業安全マネジメントシステムのことで、品質マネジメントシステムとは別の問題だ。g)が求めているのは『処置』、元の言葉でアクションなんで、指示書を丁寧に作り、作業のモニターを注意深く行う仕組みを作ればそれだけでヒューマンエラー防止策になると思うがな。」

熊さん 「よく考えろ、ってワケでヤンスね。で次に行って、h)に「リリース,顧客への引渡し及び引渡し後の活動を実施する」って事が書いてありヤスが、」

大家さん 「ああ、そうだね。ただし、このh)も『管理された状態』に含める事を求めていて、リリース,顧客への引渡し及び引渡し後の活動の実施も管理された状態でやらなければならないよって言うことを意味していてな、実施することそのものをココで求めているワケではないんだ。」

熊さん 「そうでヤンスか、分かりヤシた。ン-で、8.5.1で書いてることはほとんど製造及びサービス提供の管理、コントロールのためのことでヤシて、製造及びサービス提供の実現に必要な過程のことは言ってないのはどうしてかなと思っているンでヤスが?」

大家さん 「ああ、それはな、第7条で既に扱っているからだよ。」

熊さん 「アッ、そうか!
8.5.1はこの辺で終わりにして、8.5.2に移らせてもらいヤス。」

大家さん 「識別及びトレーサビリティって処だな。」

熊さん 「識別ってぇのは、名前をつける事でヤンしょう?」

大家さん 「ああ、名無しではどれが適合品か区別がつかないからな。」

熊さん 「それとは別に、実現プロセスってヤツの進行につれて監視、測定が次々に行われていきヤスから、行われたかどうか、結果がどうだったか区別ができなきゃならねえって事も言ってヤスが、買い手から見れば当たり前でヤンしょうなぁ。」

大家さん 「ああ、そうだよな。当たり前の事だって、言っとかなきゃごまかす企業が現れないとも言えないからな。」

熊さん 「トレーサビリティが要求事項となっている場合って事が書いてありヤスが、どういう意味でヤンスか?」

大家さん 「トレーサビリティってのは、製品などがどういう部品や材料で、あるいは、どういう条件で作られてきたか遡ることができる事を言っててな、そのためには製品だけでなく部品などにも番号などがつけられていて、どれがどれに使われたか、工程条件がどうだったか分かるようになってることが必要なんだ。」

熊さん 「それは買い手が要求したときだけでヤンスね?」

大家さん 「要求事項となっている場合となっているからそうなんだけど、買い手がそう言っていなくても、売り手としても、買い手から苦情を言われたときなんかを考えたら考えて置いた方が良いことが多いのじゃないかな。」

熊さん 「なるほどな。ところで、一意の識別、何て聞き慣れない言葉が使われてイヤスが、ほかと区別のできる識別ってぇ事でしょうな?」

大家さん 「熊さんの言うとおりだよ。」

熊さん 「8.5.2はこんなもんで良いようでヤンス。」

 (次回に続く)

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