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落語形式で考えよう;報道されてる品質不祥事はマネジメントシステムで防げるってホント?

【第四十七回】 品質マネジメントシステムのパフォーマンス評価 


熊さん 「チワ-大家さん。今日もISO9001の話しの続きを聞きに来ヤシたぁ。」

大家さん 「待ってたよ、熊さん。第9条からだったよな。じゃ、またパソコンを用意して、と。」

熊さん 「そう、そこで。この第9条はパフォーマンスの評価ってぇ標題を持ってヤスが、製品がいいかどうか評価をしようってンでヤンスね?」

大家さん 「イヤイヤ、またISO9001は品質マネジメントシステムの標準だと言うことを忘れているな。」

熊さん 「ア、そうか、製品の性能評価じゃ品質マネジメントシステムの評価にはならないか!じゃ、品質マネジメントシステムの評価と製品とは関係がないってことでヤンスか?」

大家さん 「製品の性能ってのは製品が持ってる性能のレベルって事だけど、ISO9001のマネジメントシステムは一つひとつの製品の性能レベルをよくする事は考えてはいないんだよ。」

熊さん 「え?そうでガス?」

大家さん 「ISO9001のマネジメントシステム要求は買い手や関連の法律・規則の要求を満たした製品を確保する能力が売り手にあることの説明責任を果たすことを目的としているって言っただろう?品質マネジメントシステムが説明責任を果たせるかどうかを評価をするためにはデータが必要で、だから、品質マネジメントシステムの評価は品質マネジメントシステムがどの程度有効に使われているか、その結果として要求を満たした製品をどの程度確保できたか、その結果で買い手がどの程度満足したかというデータを取って初めて考えることができるんだ。」

熊さん 「なるほど、そうでヤンスか。それで、9.1の標題の『監視、測定、分析及び評価』ってなっていヤンスけど、何を監視、測定、分析及び評価すりゃ良いんでガスか?」

大家さん 「うん、そうさな。監視は原語ではモニタリングと言っていて対象を目や映像装置で観察すること、測定は対象の特性を測ってデータを採取することで、分析は採取したデータを詳しく調べることで、評価はデータの分析結果を比較対象と比較して善悪や優劣を決めることだよ。」

熊さん 「フーン、そうか、売り手の品質マネジメントシステムだけどもっと具体的にしなきゃなんねいってんで、9.1.1の『一般』って項で、売り手の品質マネジメントシステムを評価するために、何を調べたら良いか、データの採取方法をどうするか、いつ採取するのか、採取したデータをいつ、どういう体制で分析し、評価をしたらよいかを決めろって言ってるンでヤンスね。」

大家さん 「そうだ、そうだ。それで、品質マネジメントシステムの評価は会社としての責任で出さなきゃならないと言ってるから、分析したデータの評価会議みたいな仕組みで行う事も考えた方が良いと思うよ。」

熊さん 「品質マネジメントシステムの評価をやってますってぇことの買い手への説明責任ってヤツのために記録を作れ、って言ってるのでヤンスな。でも、チョット行きすぎてるってことはないでヤンスか。」

大家さん 「いや、買い手になって考えりゃ、今から製品を発注しようとする時の意思を決定するために、同種製品の事業の状況を知ろうとすることは当然の事だよ。なんせ、ミスは恥だという精神論的な考えをする事のある日本と違って、ISO9001は人間のやることにミスがある事は当然で、大切なことはミスを反省して再発を防止することだという、言ってみりゃぁキリスト教的な考え方に立っているんで、こう言う要求をしてるんだと思うよ。」

熊さん 「なぁるほどなぁ。でも、いざ品質マネジメントシステムの評価をしようと言っても、調べた結果をどう評価すりゃ良いか戸惑ってしまうのとチャイます?」

大家さん 「そのためには9.1.3を見てみると良いよ。」

熊さん 「ウン?どれどれ、9.1.3分析及び評価かぁ。a)からf)いずれもデータを必要としヤスね。g)はa)からf)で見つかった問題の再発を防止するために、品質マネジメントシステムの弱さがどこにあって、どう変える事が必要かという事でヤンスね?」

大家さん 「そうだよな。」

熊さん 「9.1.3のb)に顧客満足度ってぇのが突然出ているように感じヤンスが、これは?」

大家さん 「いや、済まなかった。顧客満足度ってのは9.1.2に要求されてるんだけど、説明の都合上、飛ばしてたんだ。」

熊さん 「ンーと、顧客満足度ってぇと顧客に聞いて見なけりゃぁなんねいンと違いヤス?安くて良いものを提供してたかなぁなんて気持ちが売り手に働いてしまいそうでヤスけど、ここでは『顧客のニーズ及び期待が満たされている程度』を買い手がどう受け取っているか監視評価する程度って事で、売り手は少し安心できるンじゃありゃセンですかね?」

大家さん 「そうだね、ここの要求を早とちりして買い手に『我が社の製品の満足度は如何です』かなんてアンケートを送っている売り手があるって話しも聞くけど、必ずしも直接買い手に聞くことが要求されているワケではないんだよ。全面的に無駄って言うわけじゃないけど、顧客のニーズ及び期待が満たされている程度は普段の納入データや営業の付き合いの中で判断できる場合もあるから、要求されていることを思い込みでとらわれるのではなく、その売り手の製品の性質をよく考えて、注記も参考に取り組み方を具体化して欲しいと思うよ。」

熊さん 「そうでヤンスねぇ。」

 (次回に続く)

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