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落語形式で考えよう;報道されてる品質不祥事はマネジメントシステムで防げるってホント?

【第四十五回】  生産活動とサービス提供活動の実行管理のマネジメントは-後編


熊さん 「次の8.5.3は、顧客又は外部提供者の所有物って標題を持ってイヤスけど、所有物ってどういうことでヤンス?」

大家さん 「所有物ってのは、ある人や企業が所有権を持っているモノという意味なんだ。買い手の場合、製品に組み込むための部品や材料や、製品を作るためのプロセスを売り手に貸与して製品を作らせると言うことがあるんだ。」

熊さん 「アッシらの場合も、施主さんが気に入ったドアや飾り窓をどこかで買ってきて、それを組み込んでくれと頼まれる事がありヤス。」

大家さん 「その場合は、その部品や材料、プロセスの所有権は買い手にあるのでその検査責任は買い手にあって、売り手側は民法で言う善良なる管理者の注意義務、よく善管注意義務って短く言うけど、それを傷つけたり紛失したりしないように守ることが責任だと言うことなんだ。」

熊さん 「民法なんて遠い事だと思ってヤシたが、身近に関係するモンでヤスなぁ。」

大家さん 「外部提供者の場合も同様で、結局、所有権が外部提供者にあるか売り手に移っているかで考えたら良いんだよ。ここは善管注意義務の事を言ってるんで、難しいことを書いているんではないことが分かると思うよ。」

熊さん 「なるほど、ここに書いてある事がゼンカンチュウイギムって事ですか、言われりゃそうでヤンスね。」

大家さん 「じゃあいいね、8.5.4の保存に行くよ。8.5.4じゃあね、個別の事を考えるといろいろ違いがありすぎて書けないけど、マネジメントシステム要求だから、要求事項への適合を確実にするために必要な程度って書いているんだ。実際には製品の特性に合わせたキチンとした指示書を作る必要があることは言うまでもないだろう。」

熊さん 「8.5.5は引き渡し後の活動っていう標題がついてヤスが、引き渡しを終えたら売り手は買い手にすることはないンと違いヤスか?」

大家さん 「8.5.5には、引渡し後の活動に関する要求事項って書いてあるだろう?買い手との売買契約書などに、定期メンテナンスや作業員の訓練、産業廃棄物の処理などの受託の事項が含まれている場合があるだろう?」

熊さん 「ああ、そんな時はa)からe)の事項を考えながらどこまでやったら良いかを決定しろ、って言うことでヤンスか?」

大家さん 「そうだね。」

熊さん 「これも、マネジメントシステムへの要求として書けるのは原則になるから、引渡し後の活動に関する要求事項を満たす範囲と書いてしまえばそれ以上は書く事がないという事なんでヤンスね?」

大家さん 「そうだと思うよ。8.5.6の変更の管理ってのは、8.1の話しの時に変更はリスクが大きいって説明したことを思い出して欲しいんだけど、ここでもそんなことでレビューと管理を求めているんだ。」

熊さん 「アッ、思い出しヤシた、実務部門に押し付けず上の人が企業として責任のあるレビューと管理をしなけりゃなんねいって事でヤンスね?」

大家さん 「エラいね、よく思い出したね。そう考えれば、8.5.6も分かると思うね。そういや、知床で観光船が沈没して多くの人命が失われた事件があったな。」

熊さん 「ああ、あれは犠牲者が可哀想で、遊覧船会社が無責任だって批判されるのも当然でヤス。」

大家さん 「そうなんだけどな、だけど船は輸送手段の一つで、20トン未満の小型船舶だって国が小型船舶安全規則を定めてな、遊覧船会社が規則に合うか定期的に検査をさせているんだけど、北海道運輸局から委託を受けた検査機関の行ってた遊覧会社の監査が運行安全管理者の実態や安全運行管理の信頼性欠如を見逃すなどいい加減だった、って批判があるみたいだ。」

熊さん 「本当だったらひどいね!」

大家さん 「検査の結果は検査機関の検査員、検査チームの検査能力に左右されるから検査能力の問題に光が当てられて検討されるだろうけど、それだけじゃあなく、検査チームの行う検査結果をレビューする委託側の体制の問題にも光を当ててもらわなくっちゃ安心出来ないよね。」

熊さん 「あ、そうでヤンスねぇ、ISO9001の話しを聞く内に、そこまで考えなくっちゃ犠牲になった人たちが浮かばれないって思うようになりヤシたよ。」

大家さん 「それにな、緊急連絡のための無線通信が機能していなかったことも報道されているだろう?チョット調べて見たんだけどな、国交省が所管している小型船舶安全規則では救命設備として双方向で通話のできる無線電話装置を二個持ってなけりゃならないことになっているようなんだ。」

熊さん 「だけど、事務所のアンテナは折れてたって言うし、衛星電話は故障して使えない状態で出航して、結局、客の携帯電話を借りて非常通報がされたらしい、ってぇ言うじゃない、どうなっていたんでヤンしょう?」

大家さん 「ウーン、そうなんだよな。小型船舶安全規則では無線電話設備を求めてはいるけど、運用管理の詳細は決めてないらしいんだ。だから、船舶検査の時も検査がゆるゆるだったんじゃないかな。もともと、無線通信は総務省の所管する電波法で定められているんだが、電波法は国民の公平で安全な電波の利用のための法律で、船舶の安全運行は狙っていないんだよ。」

熊さん 「へー、そうでヤンスかぁ。」

大家さん 「だからな、国交省で早急に電波法と電波法施行規則を引用しながら小型船舶安全規則を改正して、無線電話機能の運用上の要件を明確にすることで実質の検査を行えるようにして、船舶の運行の安全管理が行えるように考えて欲しいな。」

熊さん 「ホントでヤンスね。マネジメントも企業のマネジメントから、行政のマネジメントに拡大して、ついには立法のマネジメントまで、いろいろ出てきヤシタな。
時間も経ちヤシたんで、じゃ、今日はここまでにさせてもらって、次回は8.6からでお願いしヤス。」

大家さん 「じゃあ、またな。」

 (次回に続く)

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