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落語形式で考えよう;報道されてる品質不祥事はマネジメントシステムで防げるってホント?

【第二十八回】  品質マネジメントシステムの計画とリスク及び機会の関係-後編


熊さん 「ところでよぅ、リスクと機会を決定する時にゃ、4.1で明確にする事を求めた外部及び内部の課題と、4.2で求めた買い手を含む利害関係者の要求事項とを考えてリスク及び機会ってヤツを決めなきゃならん、って言っているでヤンスね。4.1、4.2の要求については前に聞きやしたけど、なんでリスク及び機会を決定するときにこのことを考えなきゃならねえって要求しているンですかい?」

大家さん 「リスクと機会はなんだ、って考えて見たって自分の事は分かっているつもりでも自分のことは以外と分からないものなんだよ。例えば、熊さん、お前さんは自分じゃちゃんとしているって思っているだろうが、そそっかしいから時々失敗してカミさんに心配掛けているじゃないか。」

熊さん 「いやーお恥ずかしい。」

大家さん 「お前さんの仕事だって、ツーバイフォーなんて新しい建築法が入ってきて戸惑ったことがあったろう?あるいは、世の中の環境の取り組み意識が変化して、建築の際に出てくる廃材の処分に戸惑った事もあったろう?」

熊さん 「確かにそんなこともありやした、大家さんには何もお見通しで。」

大家さん 「だから、リスク及び機会ってのを考える時にゃぁ自分を中心に考えるだけじゃなく、買い手の身になって考えたり、世の中の状況から考えたりすると、よく見えるモノなんだよ。」

熊さん 「なーるほどなぁ、カカアの心配もありがてぃ、って聞くようにしなけりゃならないンでヤンスね。」

大家さん 「ま、そんなわけで6.1.1でリスク及び機会ってモノの決定をしなけりゃならん、といっているんだな。」

熊さん 「チョット待っておくんなせぇよ。決定するだけじゃぁ何にもならねぇンじゃござせんか?」

大家さん 「またそそっかしいところが出たなあ。取り組みは次の6.1.2で求めているよ。」

熊さん 「あっ、なるほどこのa)でヤスですかい。ISO標準ってのはまどろっこしいねぇ、さっさと、決定して対処しろ、っていてくれりゃぁいいのに。b)で言っている品質マネジメントシステムプロセスへの統合及び実施ってヤツの計画は4.4を引用しているようでヤンスけど、4.4には見当たりませんゼイ? 6.1の間違いじゃぁありゃせんですかい?」

大家さん 「ウン?ホントだね、よく気がついたね、そそっかしだけじゃないんだな、熊さんや。」

熊さん 「この第6条の主語はトップかなと思っていやしたけど、組織ってなってヤスねぇ。組織って一体誰なんですカイ?」

大家さん 「ISOのマネジメントシステム標準では、組織っていう言葉は、自らの目標を達成するため責任,権限及び相互関係を伴う独自の機能をもつ個人又はグループ、って説明されていてな、明記はしてないけど指揮官の下に何階層かのマネジメント層と実行の部隊を持つ構造を想定しているようなんだ。」

熊さん 「まあ、会社も役所もそんなモンでやンしょう。」

大家さん 「で、計画ってのはトップが総合的な計画を作ってな、それを元に何らかの機能を分担した部門が階層を経て具体化して実行計画が作られて、それが実行部隊に指示がされることになるんだ。それで組織のマネジメントを担う人がそれぞれの立場で計画をするんで、一般的には具体的に特定して書くことが出来ないんでな、トップが直接の責任を持つ第5条以外は、組織は、っていう表現になってるんだ。」

熊さん 「それぞれのマネジメントが自分の機能と責任範囲を考えて処置をする、ってことでガスね?」

大家さん 「そうだね、ワシはそう思うんだ。で、次に行くとな、6.1は主にマネジメントに関する計画のことだけど、6.2は品質目標という現実的な事に関する計画のことだ。」

熊さん 「品質目標は、前に大家さんが、品質目標と聞いて企業の総合目標と思っちゃいけねえよ、顧客の要求事項と関連の法令及び規制要求を実現するための、品質方針で決まった経路の部署、部門での品質目標のことだ、って言った事を思い出しヤス。」

大家さん 「そう考えりゃ、6.2に書いてあることは難しいことじゃないと思うがな。」

熊さん 「へえ、そう思いヤスけンど・・・、監視、伝達のことは書いてありやすけど、肝心の実行の事は抜けているように思いヤス。」

大家さん 「ウン?アー、実行のことは4.4のf)にあるんだがな、待てよ、これでは6.1のことしか言っていないから、そういえばチョット片手落ちだな。」

熊さん 「エーと、この6.3に書いてある変更の管理が重要だってぇことは、前のところで説明をもらった事を思い出しヤス。」

大家さん 「そうかい、それは良かった。今日もだいぶ遅くなったので、ちょうどキリだし、第7条からの続きはまたにしよう。」

熊さん 「へい、ガッテンでぃ。またよろしくたのンます。」

 (次回に続く) 

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