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ついた嘘と、実力の定義

私の家では
私は200歳まで生きることになっている。

お腹の中で第二子が死んでしまった時に、
小さな息子に言った約束をずっとそのまま

お母さんはこの子の分まで生きるから
200歳まで生きるわ と

正直自分でも200歳まで生きれる気はしていない。さっさと燃え尽きるならそれでもいいかと思っているし、必ずしも長生きがいい事だと言えるのかもよくわからない。

ただ、当時4歳の息子に
命がある人は辛くっても生きるんよ 
という事を伝えたかったんだと思う。
咄嗟に言った、嘘つきなわたし。
旦那もそうなんだとクールに聞いてた。

息子に伝えた嘘は、
第二子にも届いて欲しかった言葉。


最近ノマドランドという映画を観た。家を持たず車上生活をする人々の映画だ。

ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーンは、リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。キャンピングカーに全てを詰め込んだ彼女は、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることに。毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ね、誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく。


ホームレスではないの、ハウスレスなのよ
というセリフが印象的だった。

経済的な事情で家を失った人、その生活を自ら選んだ人、壊れかけた車に乗っている人もいれば、豪華なキャンピングカーに乗っている人もいる。映画に出て来る人たちの殆どが実在するノマドの人たちで、皺の1本1本に感じるものがあった。

予定通りにいかなかった人間の切実な事情。
それでも人は生きていく。
私はどうだろう、想定外の未来、ガラガラと崩れる現実が立ちはだかっても、こんなにもタフでいられるだろうか。

映画の最中、最近出会った落合信彦さんの言葉をずっと思い浮かべていた。

「たとえロンドンに飛ばされても、パリに行かされても、そこで生きていける。日本という国から切り離されて、ニューヨークのスラム街でゴミを漁っても生きていく。その力を俺は実力だと思う」

実力の定義。

本当に実力がある強い人とは、こういう人のことを言うんだなと思ったら、200歳まで生きるんだって言った嘘つきな自分が何だか恥ずかしくなっちゃってダメだね。

でも弱い人は弱い人なりの生残りの作戦があるというのも真実で、私の防災鞄の中にはファイルを1冊入れてある。

地震や火事の災害時用に持ち出す、防災鞄。

織り機を失っても、また迷わず同じような織り機が作れるように、自分でカスタマイズした箇所を細かく書き残した記録のファイルを入れてある。
針と糸、昔自分で作った卓上織り機の設計図と、それから糸を紡ぐスピンドルも。

実力の定義を語れるほど強く生きていく自信はないけれど、クヨクヨしながら200年は生きたくない。

弱い人は、弱いなりに、想像して、いつもいつも想像して
色んなカードを準備して、いざという時にそのカードを出せるように
賢く生きていきたい。

抱っこする前にいなくなってしまった子と、先に逝った猫たち、祖父母に

胸を張って会える日を楽しみにしてる。



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今回も読んでくださり有難うございます。ゴールデンウィーク、早朝に一人自転車を飛ばしてモーニングショーを観ました。10人にも満たない映画館で観た映画は、決してブラボーと明るくなるような映画ではありませんでしたが、今の時代の変わり目にみる映画としておすすめしたいなと思いました。

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