見出し画像

売るではなく買うをデザインする視点から目指すもの

「マーケティングをSNSに頼る時代はもう終わる」
少し前から言われてきたその意味が分かってきた。

インターネットをひらくと知らないことが多すぎて、自分は無知だと感じると同時に、知らなくてもいい情報ばかりだなとも思う。
何が正しくて、何が間違っている?
毎日毎日同じ話題のニュースやSNS。正しい答えが知りたくて時間をかけて探しても、いまいちしっくりこないエビデンス。読解力がないコメンテーター、権力者のような物言いばかりの価値のない議論、自分に足りないものは何なのかを教えられている気がするSNS。きりがない。
ネット社会って苦しい。目の前にあるものは、ただの端末なのに。

向き合い方を見直す時期が来たのだと思う。
このままでいいわけがない。思考停止で際限なく情報をみている。

そのうちのどれくらいの情報が、明日の自分を励ますのだろう。

私は物を作って、売るという仕事をしている。
売上の9割がインターネットからの注文で、仲介地点を持たない作り手とお客様を直接繋げるという方法だ。宣伝の為にSNSを使い、SNSからの誘導率は7、8割を超える。お客様とのコミュニケーションをとる場としても役立つため、何年も前からこの販売方法に頼ってきた。
それを今考え直そうと思っている。

私が販売方法を設計するとき、
いつも考える基準がある。

どう売るか ではなく、どう買いたいか。

今の時代に自分だったらどう買いたいかを徹底的に考える。
買うをデザインするってやつだ。
どう売るかを考えるのは、白紙に絵を描く緊張感に似ている。どう買いたいかを問うと気負うことなく理想のモデルがポンポン出てくる。

1 信頼できる生産者から
2 常に適正な価格で(生産者と消費者の間の歪みを生まないコストバランス。お互いが幸せ)
3 購入後も末永くアフターケアの安心感
4 世界中のどこからでも24時間アクセス可能な自由さで

今までもこれからもこの4つは変わらない。
とうとう5つめの課題に取り掛かる。

5 ノイズ(雑音)がない世界(ネット)でどう楽しさや感動を共有するか

つまり、インターネット特有のつまらなさをどう排除し、一定の距離を保った離れ小島のようなフィールドで、ビジネスとして成り立たせるのか。

面白い課題だ。

ネット販売は店舗販売と違い、お店に行くまでのワクワク感や体験が圧倒的に少ない。

気持ちのよい天気の日にフラッと行ったあの日、
馴染みの店員さんの笑顔を思い浮かべながらお店に向かう道、ありがとうと手から手へ渡される商品、そういう体験は店舗販売でしか得られない。
それに比べるとインターネットは味気ない。
それを認めた上でインターネットという土俵で勝負すると決めた以上、その分の心地よさを上回る演出を目指し努力を惜しんではならない。

広告やら、なんやかんやの余計な情報、雑音が多すぎて時代と共にこれでもか!とエスカレートしているネット社会。そんな中で、ネット販売のみを貫く私を選んで買って下さるお客様には感謝しかない。

最近インスタグラムが大幅に改善され、使いにくさと増量したノイズに驚いたが、先日複数の大手SNSが連携して特定のトピックを発信しているアカウントを大量に停止するというニュースが流れた。
アカウント停止そのものが正しい判断だったのかの議論は横に置き、そういうもの(SNS)に自分のビジネスの大きな部分を委ねていたのかと思うと目が覚めると同時に、嫌になってしまった。

行きていくために服を買い、布を装う。
人間らしい生活のためにあるこの仕事、何とか平和に残していきたい。
元々手織りは万人に受け入れられるキャッチーな職業でもないから、競争相手も少ない。世間との距離を保ったまま好き放題挑戦するくらいが丁度いいのかも。

私は残念ながら世の中を変える術は持ち合わせていないけれど、
混沌とした世界の中で、小さくこじんまりとRoccaという世界観を失うことなく、思い出してくれる人にいつでも笑顔で待っているお店を
インターネットという世界の中で作っていけたらと真剣に考えている。

明日の誰かを励ますようなネット社会を、まずは自分から作るんだ。どんなにそれが目立たず小さな声だったとしても。

取り掛かり始めたばかりで、大幅アップデートはまだ少し先だけど楽しみにしていて欲しいと思う。

.......................

今回はこれからどうしていくかという、フンワリした題材で書きました。
日頃見ている風景と感情、直感をビジネス視点にリンクさせ、時代と共に変化させていく事はとても重要な事だと思います。
まだお披露目できるような形にはなっていないけれど、今私はそんなことを考えながら生きています。

今回も読んでくださりありがとうございました。
また書きますね。

いただいたサポートは新しい書籍を購入したり、研究費に使わせて頂きます。宜しくお願いします!