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うちはうち、よそはよその食文化

小学生の頃は僕が友人の家に遊びにいくことが多かった。
土曜日は友達の親がお昼ご飯をご馳走してくれたりしたもんだ。
ひょんな事から味わう、他人の家庭の味・・・小学生のころはそんなことは考えなかったが、「今後は友人宅でご飯をいただくのは遠慮しよう」という出来事があった。

ある日、友人宅で遊んでいたら友人の母親が「お昼ご飯一緒に食べなさいね〜」とご馳走してくれたことがあった。友人が「お昼はなにー?」と聞くので

「オムライスよ」と言った。

その瞬間友人二人で「やったぜ!」と飛び上がったもんだ。なんせ小学生はオムライスが好きだ。味の濃いケチャップライスに、あつあつの卵、そしてその上にさらにケチャップ。考えたら恐ろしい量のケチャップを摂取してたなと思うけど、そんなのはどうでもいい。

あのケチャップライスと卵のハーモニーが最高だと。
自分では作り方はよくわからないが、毎日食べたいくらいだと思っていた。

わくわくしながらおばさんの呼ぶ声を心待ちにしながら手を洗う。いよいよ「できたよ〜」の声でマッハで食卓に滑り込む。もう小学生なんで遠慮なんてものは知らない(笑)目の前にガッツリ卵と、その上にかかったケチャップの赤と黄色のハーモニーがなんとも眩しい。「いただきまーす!」とばかりに友人とスプーンでオムライスをかきこんだわけだが・・・。ケチャップライスの部分が普通の白飯だった。

「んん?おぉ?ぬおー??」

俺の口の中はいつも食べているケチャップライスと卵モードだったので、白米の色と味に驚いた。
ふ、普通のご飯じゃねーか・・・どういうことだ?
横の友人を見ると「う、うめー!オムライス一生食えるわー」とこの世の終わりくらいの勢いで美味しそうに「卵焼きご飯」を食べまくっている。
その時気がついた。。そうかこのご家庭では白飯+卵焼き+ケチャップがけ=オムライスなのだと。
もちろん卵焼きと白米も最高だけど、ケチャップライスに比べたら白米なんて、無味も無味。
「やっぱいらないス」どころかむしろ一気に食っておかわりまでせんばかりのリアクションでスタンバってたし、横の友人はもう食べ終わろうとしている(笑)

「オムライスまだおかわりあるからね」


というおばさんの優しさが逆に地獄で、残すわけにもいかずテンション檄落ちのまま1杯目を食べ終えた。
友人はランランとした目で「オムライス、二杯目もいくよな?」と待ち構えているが、絶対いらねぇーと思った瞬間に見たかった番組の時間になったので一杯目を完食し、そのまま友達とテレビの方へ走りなんとか難を逃れた。

「ご、ごちそうさまでしたー!大変おいしかったございましたー!」
と中途半端な岸朝子でお礼をいって難を逃れた(?)

そうだ、我が家の常識=友人宅の常識ではない。この時に痛感した。
もう友達の家でご飯をいただくのはやめよう。
一峰報告義務がある思い、帰宅してから母親に「お昼ご飯をいただいた」と報告した。

「何食べたんだ?」と聞かれたので


「白いご飯に卵焼き乗せたやつ」

とあくまでオムライスじゃないというスタンスで報告した。

母親は友人宅に電話をして「うちの若いモンがお昼ゴチになったようで」的なお礼をしていたが、メニューの内容については触れていなかった。

夕方になって母親が今日の晩御飯は何がよいか?と聞かれたのでもちろん
「オムライス」と答えた。

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