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点訳自動化への道のり 2

前回からの続きです。
https://note.com/robotic_ko/n/naf36c081722d
このブログの目的は点訳素人のBPM勉強中の人間が、友人から聞いた「点訳ボランティアの作業の尊さ」を発信し、テクノロジーで何か助けられないか、皆さんに助力をお願いするためのものです。

友人のアレンジで、静岡県視覚障害者情報支援センターを見学
点字の仕組みや点字データの活用に関してご教示いただきました。
http://i-center-shizuoka.jp/

点字ソフトが開発されるまでの作業
1点ずつを紙の裏側から手で打ち製本していたとの事で、やはり大変な作業です。(なので左側から打っています。)
ボランティアの方々はここから研修をはじめ1年半ほどのカリキュラムを履修されるとの事で本当に頭が下がります。

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ここから点字ソフトになったのは大きな変化であったとの事。
手作業の時にはやはり修正作業も一苦労だったそうです。もし水にぬらしてしまったりしたらやりなおし、打ち間違えたらふやかしてから水のりを薄めた液を染み込ませ元に戻す等の作業もあったそうです。

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点字にすると文字数が増えます。並べてみるとかなりページ数が増えています。下の画像を見てみると、漢字をひらがなに直したり、これから数字を書くと定義しているのが解ります。ある意味プログラミングに通じるものを感じました。

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こちらは自動点訳変換ソフトEXTRAの画面、静岡では会議資料や広報誌等に自動点訳ツールを利用されているそうです。
Wordで作られた以下画像のページを事前にメモ帳でテキストのみに編集してから読み込み変換をされました。
作業を分業で行うことも可能で、規則に従ったひらがなのみのファイルに変換した後に、一旦出力したデータをボランティアが構成するのも可能との事でした。

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では、なぜその作業フローを全ての作業に採用しないのか確認したところ以下の観点があるようです。
自動点訳向いているコンテンツと向いていないコンテンツがある
・向いているコンテンツ=修正が少ないもの
 表現が少ない会議資料等のコンテンツ等
・向いていないコンテンツ=修正が多いもの
 難しい読みが必要な漢字が多く使われているもの
 ニュアンスの表現が必要なもの
 図やイラストが使われている(実用書等は多い)
点訳者の熟練度によって異なる
・細々な修正が入るコンテンツでは、同時に点訳を進めたほうが早いと感じる点訳者もいる。

点訳のルールは複雑で多岐にわたり知識がまだまた乏しい執筆者は、今回自動点訳ツールの画面でを触るだけでは、修正ルールや、ツールの構造を把握できませんでした。そんな同時点訳を扱えるボランティアの皆さんは非常に優秀で優れた技術をお持ちなのだと感じました。
現在この優秀なボランティアの確保が難しく、いつか作業者いなくなってしまう可能性があるそうです。
点訳技術習得には長い時間がかかり、また作業にも長い時間がかかります。熟練にも勿論長い時間が必要です。
そこで今後必要になってくるのが自動点訳のツールを使った仕組みかもしれません。テキストのみで構成された書籍であれば、自動翻訳ツールを使えば点字を打つことなく、点訳校正のルールを学ぶだけで作業が出来るかもしれません。
またこれまでもボランティアの減少を考え、各地の団体(注1)で、自動点訳ツールの活用、視覚障害者支援に利用される各種テキストデータ(弱視用コンテンツ、音声コンテンツ)の利活用をそれぞれで模索してきたとの事です。
今回お話を聞いたことで点訳自動化だけではなく、より広い範囲で検討する必要があるかと感じました。

今回の記事は自動点訳ツールに関するところまでとしましたが、次回よりテキストデータの利活用に関して投稿を考えています。

この素人によるブログにはご意見が様々あるかもしれません。
地域を跨いで、知識のある方からの訂正依頼や、こうしている等のご意見をお待ちしております。
またエンジニアやコンサルの方からの提案があればアシストしていただきたく思っています。何卒宜しくお願いいたします。

今回、ご紹介いただいた自動化点訳ツール EXTRA
http://www.extra.co.jp/extra/#gaiyo
【おもな機能】
テキスト、仮名、点字の3レイアの同時表示、編集が可能です。
テキストファイルの他、Microsoft Word 、一太郎文書、HTMLファイル、PDFファイル等からのテキスト抽出が可能です。
BESやブレイルスターなどの既存の点字データファイルの読み込み、保存が可能です。
各種プリンタへの対応を強化し、日本国内で使われているほとんどの点字プリンタに対応しています。
データベースによる分かち書き補正機能「コーパス補正機能」(※)を搭載しています。
※ 全国視覚障害者情報提供施設協会の認可を得て、サピエ電子図書館の点字データを分析し作成したデータベース(点訳コーパス)を使って、点字分かち書きを補正します。
点訳時の複数候補選択機能により、自動変換の際に複数の読み方の候補がある語を見つけて表示し、ユーザが必要に応じて修正できます。
点字文書を細かく設定、編集できます。
ページレイアウトの設定、ヘッダ行(ページ行)の編集、見出し、右寄せなどの段落スタイルの設定、目次の自動作成、表紙、奥付の作成、2つ折りなどの点線を自動挿入などが可能です。
ファイルを選択し、マウスの右クリックで表示されるメニューから、EXTRA for Windowsで開く、印刷、点訳 が可能です。
インターネットに接続された環境では、ソフトウェアの自動更新が可能です。
JAWSやPC-Talkerでの音声読み上げが可能です。
ユーザ辞書登録可能です。
出典:有限会社エクストラ

こちらの素晴らしい製品を開発されている会社は、なんと静岡の会社との事でした。いつかセミナー等機会があれば是非参加させていただきたいと思います。

末筆になりますが、知識無い第3者の訪問質問を受け入れ、ご協力いただきました、友人と静岡県視覚障害者情報支援センター職員様にお礼申し上げます。

ロボティク子

(注1)点字図書館は各自治体の配下に設置されています。

「図書館」と名前はついているが、図書館法に基づく図書館ではない(文部科学省ではなく厚生労働省所管であり、障害者福祉の範疇となっている)。また点字図書に限らず音訳による録音図書の貸し出しや製作、生活情報の提供、さらにはそれぞれのネット配信を手がけるなど現状にそぐわないとして、近年は多くの施設で「点字図書館」から「視覚障害者情報提供施設」、またはそれに基づいた呼称に変更がなされている。
なお、一般の図書館でも、点字図書や録音図書(近年は特にDAISY)を多数扱っているところも多い(公共図書館・専門図書館の障害者サービス)。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

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