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RoboSapiens 製品開発秘話<その2>


RoboSapiensの製品開発秘話 第2弾
です。
前回お届けした、Karugaroo誕生秘話をまだお読みでない方は、そちらもあわせてご覧ください。


戸田建設様からのお声掛けからスタートした『BambooBot(バンブーボット)』開発


前回ご紹介した自律移送ロボット『Karugaroo』は、苦労の末完成しましたが、物流の「ラストワンマイル」には競合が多く、なかなか厳しい状況でした。
そのような時、戸田建設様からお声掛けがあり、巻尺アクチュエータの縦と横のxy軸は必要なく、高さ方向で伸縮する機構を活用して、建物内の空気質の計測をできるようにしたいというお声掛けがありました。

”ファシリティマネジメント”という新たなトレンド


ファシリティマネジメントとは、企業・団体が持つ設備や利用環境を戦略的に管理し、将来を見据えた最適化をはかろうという、アメリカで生まれたマネジメント手法といわれています。

建設業界でも、従来の建てて終わりというわけではなく、建設後の設備メンテナンスのコスト効率などを高め、居住者の居住満足度を高めるファシリティマネージメントの考えがひろまり、戸田建設の方が巻尺機構のアクチュエータに注目されたのでした。
それまで戸田建設様では、ビル内環境を最適に保つため、空気質などの環境計測を固定センサや移動ロボットでおこなってきたそうです。

しかし、高さを変化させて計測することができないことが課題となっており、この巻尺アクチュエータの機構を使うことで解決ができるのではというお考えだったそうです。

そして戸田建設様との共同研究がスタート。それが『BambooBot』開発のスタートにもなりました。

BambooBotを用いた実証実験として、執務スペースの床面・作業机・天井と高さを変えながら、作業場の照度が労働安全衛生規則を満たしているかを確認する法定検査の自動化実験を行いました(下図)。その結果、いずれの作業エリアにおいても法定基準を満たしているというレポートを作成することができました。また、部屋の形状によって光の当たりづらくなる領域ができることがわかり、内装の最適化に役立てることもできるようになりました。


『BambooBot』の発表へ


戸田建設様との共同研究のフィードバックもあり、2022年11月、環境計測や設備点検などの施設管理を、人の代わりに行うロボット『BambooBot』が発表されました。


この『BambooBot』は、3次元のあらゆる位置での計測を可能にするセンサーロボットです。巻尺アクチュエータの機構を用いた伸縮機構で40cmから2mの高さまでセンサーやカメラを昇降することができ、自律的にルートを巡回することが可能です。

取得した温度・湿度・空気質・映像などのデータを3次元マップに描画することができたり、設備のシステムと連携することができ、設備のランニングコストを下げ、入居者の満足度を向上させることにも寄与するというものです。

『BambooBot』の導入イメージ


風速・風量測定の様子
(『BambooBot』の先に装着した風量計で、高所の風速/風量を手元のスマホで確認する例)


ところで、この『BambooBot』の名前の由来ですが、ニョキニョキ伸びてくるものということで、タケノコからの連想での命名したそうです。下の写真にもあるように製品ロゴにもそのイメージが反映しています。

『BambooBot(バンブーボット)』


製品発表後、ひろがり続けるニーズ

『BambooBot』を発表するプレスリリース配信をしたのは、2022年11月末でした。1年ちょっとが経過し、最近の状況を少しご紹介します。
 ◇倉庫やスーパー、図書館などの高い位置まで棚がある環境で、
  『BambooBot』で高い位置からの撮影をし、棚卸し確認をする。
 ◇データセンターで、高い位置の棚にあるサーバー監視やアナログ計機の
  読み取りをおこなう。
 ◇非接触生体センサを『BambooBot』に載せ病院内を巡回し、入院患者さ
  んの健康状態を見回りする。
上記をはじめとした様々なご要望を頂戴し、実際に使い始めていただいたり、共同研究をおこなったりしています。

一般的に2m以上の高さでおこなう高所作業は、労働安全衛生法で作業の安全対策など人手や労力がかかります。『BambooBot』を、高所作業などの危険な作業の代替や見回りなどで活躍の場をひろげ、安全や省力化に貢献していきたいと考えています。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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